2013年07月03日

ニコ二コ動画をサイトに埋め込むと著作権侵害?

 違法にアップされているニコニコ動画やYouTubeを自分のサイトやFACEBOOK等に貼り付け埋め込んでいる例をよく目にする。
 私自身もやってみたいと思ったことがあるのだが,弁護士として,違法な動画を自己のサイトに埋め込むわけにはいかないと思っていた。

 しかし,大阪地裁の平成25年6月20日判決によれば,違法にアップされたニコニコ動画を埋め込むことは著作権侵害にならないようだ。

 裁判所は
原告は,被告において,本件記事の上部にある動画再生ボタンをクリックすると,本件ウェブサイト上で本件動画を視聴できる状態にしたことが,本件動画の「送信可能化」(法2条1項9号の5)に当たり,公衆送信権侵害による不法行為が成立する旨主張する。
しかし,前記判断の基礎となる事実記載のとおり,被告は,「ニコニコ動画」にアップロードされていた本件動画の引用タグ又はURLを本件ウェブサイトの編集画面に入力することで,本件動画へのリンクを貼ったにとどまる。
この場合,本件動画のデータは,本件ウェブサイトのサーバに保存されたわけではなく,本件ウェブサイトの閲覧者が,本件記事の上部にある動画再生ボタンをクリックした場合も,本件ウェブサイトのサーバを経ずに,「ニコニコ動画」のサーバから,直接閲覧者へ送信されたものといえる。
すなわち,閲覧者の端末上では,リンク元である本件ウェブサイト上で本件動画を視聴できる状態に置かれていたとはいえ,本件動画のデータを端末に送信する主体はあくまで「ニコニコ動画」の管理者であり,被告がこれを送信していたわけではない。したがって,本件ウェブサイトを運営管理する被告が,本件動画を「自動公衆送信」をした(法2条1項9号の4),あるいはその準備段階の行為である「送信可能化」(法2条1項9号の5)をしたとは認められない。

と判示した。

 要するに,違法な動画がアップされているニコニコ動画を自分のサイトに埋め込んだとしても,違法な動画を送信する主体はニコニコ動画であり,埋め込んだ人ではないのであるから,埋め込んだ人に著作権侵害は成立しないという判断だ。

 ニコニコ動画をサイトに埋め込むと,一見すると,その動画はサイトの一部になっているかのように見えるようになる。
 リンクを張ることが著作権侵害になるかという議論において,あたかもサイトの一部のようになっている場合には,著作権侵害になるという見解が有力に主張されている。
 それと同じように考えると,違法にアップされたニコニコ動画を埋め込むことも著作権侵害になりそうであり,大阪地裁の判断が出たとしてもグレーな問題であると思う。

 いずれにしても,大阪地裁の判断も,違法にアップされていることが明らかな動画を埋め込むことは,著作権侵害の幇助として違法になることを前提としており,気を付けた方が良いことはいうまでもない。

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2013年06月10日

活発化し続ける下請法

 公正取引委員会の発表によると,2012年度に下請法違反で事業者を指導した件数は,過去最高になり,下請業者に返還された金額も過去最高になったとのことである。
http://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/h25/may/130522.files/130522.pdf

 公正取引委員会の山本和史事務総長は,記者会見で「長引く不況を背景に,下請け業者にしわ寄せが来たのではないか。」と分析したそうである。
 しかし,過去5年間の下請法違反の指導件数は,年間2949件から年間4550件へ右肩上がりに増加しており,感覚的には,そこまで,下請けいじめが増加しているとは思えない。

 そう思うと,増加の一つの理由は,公正取引委員会が下請法違反に対する監視の目を強め続けていることにあろう。
 また,もう一つの理由として,下請法についての知識が広まり,下請業者から違反に対する通告などが増えたとういこともあるのかもしれない。

 いずれにしても,元請としては,下請法違反に今まで以上に気を付ける必要があるし,下請としては,下請法違反について公正取引委員会が積極的に行動してくれることを期待してもよさそうである。


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2013年04月25日

労働者の無断欠勤と解雇

無断欠勤を続ける労働者を解雇する場合,何日ぐらいの無断欠勤であれば解雇できるのであろうか?

 「労働者の責に帰すべき事由」に基づき解雇予告手当なしで即時解雇するためには,労働基準監督署長の解雇予告除外認定を受ける必要がある。
 そして労働基準監督署では,「2週間以上正当な理由なく無断欠勤し、出勤の督促に応じない場合」であるかどうかという基準に従い,解雇予告除外認定をしている。
(参考)
http://tokyo-roudoukyoku.jsite.mhlw.go.jp/library/tokyo-roudoukyoku/seido/kijunhou/shikkari-master/pdf/kaiko.pdf
 そうすると,一応は「2週間以上正当な理由なく無断欠勤し,出勤の督促に応じない場合」であれば,即日解雇が可能と考えられそうである。

 裁判例はさまざまである。

 平成24年4月27日の最高裁判例では,40日の無断欠勤であっても解雇(諭旨退職の懲戒処分)は無効であると判示している。
 精神的疾患が疑われ,「妄想と思われる問題が解決しない限り出勤しない」とあらかじめ使用者に伝えていたという特殊事情が存在した場合であるが,なかなか厳しい。

 昭和60年5月24日東京地裁判決は,経歴詐称での解雇を認めた事例であるが,17日間の無断欠勤があったとしても,仕事熱心であったなどの事情を考慮すると,無断欠勤を理由とする解雇は無効であると判示している。かなり微妙な例に思える。

 平成6年5月30日大阪地裁判決は,職場でもめて2日間の職場放棄(無断欠勤)を理由とする解雇を無効と判示している。同じく平成7年10月31日山形地裁判決も職場でもめて1日間の無断欠勤を理由とする解雇を無効と判示している。よほど特別な事情がない限り1日,2日の無断欠勤で解雇することは不可能であろう。

 解雇を有効とする裁判例がなかなか見つからなかったが,6ヶ月の無断欠勤を理由に解雇を認めている平成2年11月8日横浜地裁判決があった。しかしながら,6ヶ月の無断欠勤が解雇理由にならないはずもないであろう。

 結論として,何日間の無断欠勤であれば解雇できるということはいえず,無断欠勤に至った事情によって,いろいろと異なるというしかなさそうである。

この記事を書いていたら,1月下旬から行方不明無断欠勤を続けた珠洲警察署の20代男性巡査長を分限免職とすることになったという4月18日の報道を発見した。http://www.hab.co.jp/headline/news0000011479.html分限免職は,勤務実績などを理由に公務員を退職させる制度で,懲戒処分ではない。詳しい事情は分からないが上記最高裁判所の判例を踏まえて3か月の無断欠勤でも懲戒免職はできないと判断したのかもしれない。


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2013年04月21日

電王戦−コンピュータが人間を圧倒

 プロ棋士5人と5種類のコンピュターが対戦する将棋電王戦は,3勝1敗1分とコンピュータ側の圧勝で終わった。
 昨日行われた最終局,人類代表は,三浦弘行八段。プロ棋士の中でも10人しかいない現役A級棋士である。
 一方のコンピュータ側の代表は,GPS将棋。670台のコンピュータから構成されるクラスターマシン。1秒間に2億5000万手を読むモンスターマシンである。

 いかにモンスターマシンでも,最後に勝つのは三浦八段と信じていたが,結果をみるとGPS将棋の圧勝。
 三浦八段は王手をかけることすらできず,GPS将棋の堅牢な矢倉囲いは乱されることすらなかった。
 その圧倒的なコンピュータの強さには私だけでなく,プロ棋士すら恐怖していた。

 作家で医師の海堂尊氏は,「医学の現場ではカルテも電子化され,コンピュータなしでは治療できない。コンピュータに支配されているともいえる(笑)」と最終局を見てコメントしていたが,弁護士の分野でも,そんな時代がくるのかもしれない。

 15年前にコンピュータが人間のプロ棋士を圧倒する時代が来るとはとても信じられなかった。
 15年後にはコンピュータの作成する訴状が,人間の弁護士が作成する訴状より,ずっと完成度の高いものになっているのかもしれない。


 SF作家アシモフの提唱したロボット三原則の第1条は,
  ロボットは人間に危害を加えてはならない
というものである。

 コンピュータに惨敗したプロ棋士は,打ちひしがれ,ときに涙を流す者さえいた。
 もはやロボット3原則は,SF世界だけのものではないのかもしれない。


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2013年04月16日

グーグルのサジェスト機能に対する損害賠償命令

 ある人物が自分の名前をグーグルで検索しようとすると,
「〇山〇男、暴力団」「〇山〇男、犯罪者」
 といったように,サジェスト機能により犯罪行為を連想させる単語が検索候補にあげられることを不服としてグーグルを訴えたことは以前のブログでも紹介した。

 今朝の新聞によると,東京地裁は,昨日,本件につき,グーグルに対して,表示の差止と慰謝料30万円の支払を命じる判決を言い渡したようである。

 以前ブログで紹介した時点では,「仮」処分であったわけであるが,正式裁判によっても,差止が認められたというわけだ。

 報道によると,裁判所は、「表示によって男性の名誉毀損(きそん)やプライバシー侵害に当たる違法な投稿記事を容易に閲覧しやすい状況をつくり出している」と指摘し,原告の請求を認めたらしい。

 裁判所の仮処分命令をグーグルが無視したため,原告は,困難な訴訟を提起することになり,ようやく勝訴判決を得たのである。
 弁護士費用だけでも30万円ではとても足りないであろう。
 にもかかわらず慰謝料30万円というのはあまりに低額に思える。 
 
 裁判所は,自己の出した仮処分命令をグーグルに無視されるという,いわば屈辱を味わっている。その上での判決なのであるから,もっと厳しいものであってもよいのではないかというのが感想だ。

 判決内容の詳細を知った後に,しっかりと判決の妥当性を確認したい。

 ちなみに「内田清隆」でグーグル検索をしてみると,サジェストされるのは,今現在では,「犯罪者」でも「悪徳」でもなく,「法律事務所」「弁護士」「ブログ」「facebook」であった。まずは,一安心である。
 「イケメン」「美男子」がサジェストされないことに対しては若干の不満も残るが,「内田清隆」で検索が行われた場合には「イケメン」をサジェストすべきだとグーグルを訴えても,残念ながら勝訴の見込みはないといわざるを得なそうである。

 
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2013年03月16日

カルロ・クリヴェッリと魔術的裁判

 私の最も好きな画家にカルロ・クリヴェッリがいる。

 近代的合理思想が広がるルネサンス時代のイタリアにおいて,断固として魔術的思想を貫き通した画家である。
 クリヴェッリは「遠近法」を空間を合理的に描く手段としてではなく,二次元の世界を不可思議に歪曲し眩惑的な効果を生み出すだけのために利用し,リアルにものを描くために開発された精微な「写実法」を非現実的なまでに徹底することで,現実世界の虚構性を白日の下にさらけだした。

 まだ地球が平らで,山を越えれば神々の唄が聞こえた魔術的世界に生きた「最後の魔術師」ともいうべき画家であった。

 魔術的時代が終わっても,司法の世界では,クリヴェッリの生きた魔術的世界の影響を色濃く残した裁判がつい最近まで行われていた。
 重い石を括り付けて川に沈めて,無罪であれば浮き上がってくるとして,浮き上がってこなければ有罪であると判断した魔女裁判が広がるのは,ルネサンス時代以降であるし,原告と被告が刀を持って決闘して,正しい者が勝つはずであるとし,決闘の勝者を勝ちとする決闘裁判は19世紀までイギリスでも行われた。

 そういえば,かちかち山においてウサギがタヌキを懲らしめるためにした火責めと水没といった事柄は、タヌキを痛ぶるためではなく、タヌキが無実であるならば、やけどもしないし溺れもしないはずだという魔術的裁判を暗黙の前提として書かれている物語であり,ウサギは裁判官の役目を担っていると聞いたことがある。

 実は,現在でも,裁判と魔術的思考は切り離せないのかもしれない。裁判において「正義は勝つ」と信じている者は多い。
 しかし,正義が勝つ理論的根拠はないし,正義は勝つと信じるのは,無罪の者が決闘で負けるはずがないという魔術的思考と何も変わらない。そのため,私も常々,依頼者に対しては,「正義は勝つとは限りませんよ」ということを伝えることにしている。

 しかし,クリヴェッリ愛好家としては,最後には正義は勝つと信じたいし,そう信じることは悪いことではないだろう。
 大事なことは,そう信じた上で,魔術に頼らないことだと思う。


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2013年03月05日

ブラック会社は労働紛争にならない?

残業代もろくに支払わないで不当解雇を繰り返す,いわゆるブラック会社。そのような会社は,頻繁に裁判所に訴えられ,多数の労働紛争が生じるはずだ。そう思っていた。
 しかしながら,個人的な経験でいうと逆である。従業員の待遇が非常に良く,給料も高く,休みもきちんと取らせる,そんな会社こそ,よく訴えられており,労働紛争が生じている。
 
矛盾した話だと思われるが,考えてみれば合理的である。
裁判になるほとんどの労働紛争が解雇を巡る紛争である。
そして,非常に良い待遇の会社に勤めている者にとって,解雇は大きな問題となる。そう思うと,不当でない解雇であっても,なんとか裁判所に訴え出て,解雇を取消したいと思うであろう。
一方で,ブラック会社に勤めている者にとっては,解雇された会社よりいいところはたくさんある。そう考えると,大変な裁判をしてまで争うよりは,別の就職先を見つけて,そこで働いた方がいいと思うのは自然である。

人間は必ず慣れるものである。いかに好待遇であっても,それだけでモチベーションは上がらない。もちろんブラック会社であるべきだということではない。しかし,好待遇であるから,労働紛争は生じないという考えは甘いということは間違いない。

世の中なかなか難しいものである。


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2013年02月22日

「かちかち山」にみる復讐の快楽

 残酷な昔話は多々あれど,かちかち山ほど極悪非道,人倫無視の昔話は寡聞にして知らない。
 「食人」という強烈なテーマで幕をあける。
 タヌキ汁にされそうになったタヌキは,縄をほどいたお婆さんを撲殺した上,それだけで飽き足らず,お婆さんの肉を骨から外し,これを鍋で煮ることで,自己を捕えたお爺さんに,「ばばぁ汁」を食わせる。何ともおぞましい復讐劇である。
 これに対するウサギの復讐も残虐を極める。タヌキの背中に負わせた薪に火をつけ,背中一面に大やけどという重傷を負わせ,さらにそこに唐辛子をすり込み絶望的な苦痛を与え,最後には,泥の船に乗せて溺死させてしまうのである。 

 「正々堂々と一騎打ち」という我々の知るサムライ魂とはおよそ無縁の陰湿かつ冷酷な世界観がそこにはある。

 そんなかちかち山だが,江戸時代には大人気を博していたそうである。
 思えば,同じく江戸時代に大人気だった「忠臣蔵」も我々の知るサムライ魂に反する残酷な話である。
 確かに,吉良上野介は悪い人間であったのかもしれない。しかし,屈強な47人もの男たちが正々堂々と戦いもせず,深夜に寝込んでいる高齢の吉良を襲い,惨殺したのである。

 人間とは残虐な生き物であり,残虐な復讐を好むのかもしれない。だからこそ,忠臣蔵やかちかち山が長年人気を博しているのであろう。

 裁判とは実に残酷な制度だと感じることがある。
 民事事件であれば強制的に財産を奪うことができるし,刑事事件であれば強制的に命さえ奪うことができる。
 それは法に則った正式な制度であり,何ら恥ずべきものではない。しかし,その中に,残虐な復讐心が紛れ込んでいることもまた間違いない。
 法に則っているのであるから,どんな厳しい行為であっても正義であると盲信して,残虐性から目をそむけ,残虐な復讐心に流され過ぎないようにしなければいけないと改めて思った。


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2013年01月27日

「こぶとり爺さん」の無慈悲な真理

 最近,子供に日本昔話の絵本を読み聞かせる機会が増え,楽しみの1つとなっているが,実に考えさせられる内容のものが多い。
 そのなかでも考えさせられたのは,名作「こぶとり爺さん」である。

 無欲のお爺さんが,鬼たちの宴会に偶然遭遇し,調子よく加わって楽しく踊ったところ,鬼たちに気に入られ,こぶをとってもらえた。
 それを聞いた欲張りのお爺さんが,鬼たちの宴会を探しあて勇気を振り絞って参加するが緊張してうまく踊れない。すると鬼たちは怒ってそのお爺さんにもう1つこぶをつけてしまう・・・というお話である。

 欲張りのお爺さんは,現状をしっかり分析し,勇気をもって一生懸命困難に立ち向かったのでありその行動は立派である。
 一方,無欲のお爺さんは,ただ楽しく酒を飲んで踊っただけであり,その行動は特に誉められるべきものは何もない。
 にもかかわらず無欲のお爺さんは利益を得て,欲張りのお爺さんは罰を受ける。
 なんとも理不尽な話である。

 まさか,酒を飲んで踊るときにはただ楽しむべきであり,そこに下心をもつべきでないという接待におけるビジネスマナーを子供たちに教える話ではあるまい。

 そうすると,何も考えずに楽しくやる人が成功し,一生懸命やる人でも罰を受ける,その無慈悲な真理を子供たちに教える厳しい話なのであろうか。

 太宰治は,性格の悲喜劇を描いたものにすぎず,何の教訓も救いもないお話と解釈しているが,何の教訓も救いもない話が長年語り継がれているというのも,それはそれで恐ろしい話だ。


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2013年01月11日

自分の名前を使うことが犯罪なんて… 

「自分の名前だから商売に自由に使えるのは当然」,そう思うことはいたって自然である。
しかし,自分の名前であっても必ずしも自由に営業活動に利用してよいわけではない。

自己の氏名であっても著名な商号などと同じものを不正の目的をもって利用すれば不正競争防止法違反となり,最悪のケースでは懲役5年・罰金500万円の刑に処せられるのだ。
仮に当事務所名「内田清隆法律事務所」が全国的に有名だったとしよう(残念ながらまだそうではないが・・・)。その場合,私を気にいらないと思っている同姓同名の内田清隆弁護士が,当事務所の顧客を奪い私を苦しめるという不正な目的の実現のために「内田清隆法律事務所」をつくり営業活動することは,不正競争防止法に違反し許されないこととなる。

「不正な目的」があるという例外的な場合を考えれば,当然のことのように思えるが,自分の名前を使うことが犯罪になるとは,何とも不思議な気もする。

しかし,そうでもしておかないと,自分の子の名前を「日産」やら「シャネル」やら「三菱」として,ひと儲けしようとする悪い親が出てきてしまうかもしれない。そう思うと必要な規定なのであろう。

(もっとも,「不正の目的」という内心の意図は外からは簡単には分からないこともあり,裁判例で「不正の目的」が認定されることは少ない。そのため実際に問題になることはほとんどない。)


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2013年01月10日

保証人からは書面をもらえ!  

 「何かあった場合には『俺が個人的に保証をする』と社長が言うので,ある会社にお金を貸した。
 会社には資産がないけれども,社長個人には資産がある。
 その資産を差押えできないか」
という相談を受けたことがある。
 残念ながら,結論からいえばできない。

 「保証」は書面でもらわないと効力がない。
 そのため,いかに社長が「保証する」と言っており,その内容を証拠としてテープで取っていても,保証契約は効力が生じないのである。
 民法446条  保証人は、主たる債務者がその債務を履行しないときに、その履行をする責任を負う。
        2  保証契約は、書面でしなければ、その効力を生じない。

 
 ずいぶん前のブログにこんなことを書いたことがある。
 危険サインが出ている業者から担保などを取り付けるのは非常に難しいですが,個人保証を取付け,担保の設定を受けることは強力な債権保全の手段となりえます。
 もちろん親,親族,友人などの個人保証を取り付けることができればそのほうが良いのですが,社長個人であっても,個人保証を取り付けることができれば,それだけ優先的に支払ってもらえる可能性が高まります。

 
 間違ってはいないのだが,保証契約は、書面でしなければ、その効力を生じない。
 個人保証を取り付けるときには,必ず書面でもらうことが重要である。


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posted by 内田清隆 at 19:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 債権回収・管理

2012年12月03日

憲法改正案と知的財産権

自民党が憲法改正草案を発表した。
http://www.jimin.jp/policy/pamphlet/pdf/kenpou_qa.pdf

その中で,自民党は憲法29条を
旧 財産権の内容は、公共の福祉に適合するように、法律でこれを定める
新 財産権の内容は、公益及び公の秩序に適合するように、法律で定める。この場合において、知的財産権については、国民の知的創造力の向上に資するように配慮しなければならない。

と変更しようとしている。

国家の根本ルールである憲法において,わざわざ「知的財産権」の規定を設けたということは,知的財産権を重要視するという強い思いの表れかと期待したが,どうやらその逆らしい。

自民党のパンフレットでは,
29 条2 項後段に、「知的財産権については、国民の知的創造力の向上に資するように配慮しなければならない」と規定しました。特許権等の保護が過剰になり、かえって経済活動の過度の妨げにならないよう配慮することとしたものです。
と解説されている。

解説からすると,自民党は知的財産権の保護を過剰にしないために憲法改正が必要だと考えているようだ。

知的財産権の保護を強めれば,知的財産権を得ることが経済的利益に直結する。そうなれば,国民の知的創造力は向上することになるというのが素直な考えだと思う。
「知的財産権の保護を強め過ぎて国民の知的創造力の向上にマイナスにならないようにしよう」という考えは,理解しづらい。

私が思う素直な考えは,経済的利益=「金」で人が動く・・・というさもしい思想の表れであり,新憲法はもっと崇高なもので人は動くと考えているということであろうか。
実に理解しづらい内容だ。

憲法改正は個人的には必要だと思っているのだが,本改正案には賛成できない。というより理解しづらい面が多々ある。考えてみると,現行憲法でも理解しづらい面が多々ある。
シンプルで分かりやすいものにしようとしても,いろいろな人の意見を取り込んでいくうちに,次第に玉虫色の理解しづらい内容になってしまうのかもしれない。

根本ルールを決めるということは実に難しいものだ。

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2012年11月18日

少数派株主の追い出し(キャッシュ・アウト)の新たな制度

以前,無償で行う少数派株主の追い出しとして,全部取得条項付株式を利用する方法を説明したが,http://uchida-houritsu.sblo.jp/article/53322657.html
会社法改正により,新たな少数派株主の追い出し(キャッシュ・アウト)「特別支配株主の株式等売渡請求」という制度ができる予定だ。

法務省の中間試案http://www.moj.go.jp/content/000082647.pdfによれば,議決権の90パーセント以上を有する大株主が,少数株主に対して,「あなたの持っている株式を○円で買い取ります」と通知すれば,少数株主が同意をしなくても,強制的に株式を取得することが可能となる。
取締役会の承認は必要であるが,株主総会を開く必要はなく,時間的・手続的コストの低減が期待されている。

現状でも,議決権の3分の2以上を有する株主であれば,全部取得条項付種類株式を用いることにより,少数株主の株式を強制的に取得できるのであるから,同じようなものではある。
しかし,全部取得条項付種類株式を用いた少数派株主の追い出しは,実質はともかく建て前は会社の行為として行われるが,新しい制度では,真正面から大株主は少数派株主に対して「お前の株式を俺にこの金額でよこせ!」という要求をできるということを認めるものである。
そう思うと,理論的には,実に新しい制度だ。



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2012年11月08日

システム開発ができない特許庁

特許庁が,出願情報を一元管理するシステム開発に失敗し,54億円を無 駄に支出したことを会計検査院が指摘したというニュースを見た。
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG1005R_R11C12A0CR0000/

テレビのニュースによると,請負人の能力にも問題はあったが,契約締結以降 に,特許庁から新たな機能追加などが相次ぎ,それに請負人が対応できずシステム開発が途中でとん挫したとのことであった。

特許庁でもそうなのか!というのが素直な感想である。

システム開発,プログラム開発が途中でとん挫し,訴訟となるケースは後を絶たないが,そのほとんどで問題になるのが,「最初に聞いていなかった機能追加が相次いだ」という主張だ。
私が経験した訴訟でも,必ず出てきた問題だ。

システム開発業者は,決められた仕様に基づいてプログラミングをするわけであり,発注者としては,事前に必要な機能を明確にしなければいけない。
経済産業省も述べているし,どの本にも出てくる基本的なことである。
ところが,多くの企業が同じミスをし,特許庁までもが同じミスを してしまう・・・。

建築においても,図面で見るのと完成した建物では違うことがある。
ましてや,目に見えないシステムについては,人間の想像力には限界があり,
設計段階では実施段階が想像できないということなのであろうか。
発注者としても受注者としてもくれぐれも気を付けたい問題である。


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2012年11月05日

なぜ弁護士の字は汚いのか?

私を含めて手書きのメモの字が汚い弁護士は非常に多い。

ある弁護士は,その理由を,司法試験では短い時間でたくさんの文字を書かなければいけないため,その司法試験の勉強の中で字が汚くなる・・・と分析していた。
http://www.sagamigawar.com/000shuusei1.html

しかし,私自身は,司法試験の勉強を始める前から手書きの文字が読みづらいとよく言われていたし,司法試験の勉強により字が汚くなったわけではない。では,なぜ弁護士の字は汚いのか?

弁護士の多くは,時間に追われて仕事をしている。そうなると,文字を書くときにゆっくり書いている時間がない。そのような仕事を繰り返しているうちに字が汚くなるということが考えられる。しかし,考えてみると,司法試験の優秀答案の字は汚いものが多かった。弁護士になってから字が汚くなるわけではなさそうだ。

そうなると,弁護士の字が汚いのではなく,字が汚い人間が弁護士になる可能性が高いという結論になる。
不思議に思い「字が汚い 性格」で検索して出てきたあるブログhttp://moriri12345.blog13.fc2.com/?mode=m&no=1175には「医者や弁護士なんて字が下手な人ばっかり。子供の頃から一生懸命勉強して、文字をたくさん早く書かなきゃいけない癖が付いているんで、いちいち字を綺麗になんか書いてられないからなんですよね。その名残だと思いますね。」と書いてあった。

しかしである。頼山陽,森鴎外,富岡鉄斎・・・,誰よりも一生懸命勉強し,圧倒的な教養を誇る昔の知識人は達筆で有名だ。子どものころから一生懸命に勉強をしたため字が汚いという理論は正しいとも思えない。


先日,新人事務員に対して先輩事務員が「弁護士の字が読めるようになることが事務員として第一歩!」といったような指導をしていた・・・。

字は心の鏡。弁護士の字が汚い理由について,どうでもよい分析をする暇があれば,読みやすい字を書くように心がけよう。



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