2013年01月27日

「こぶとり爺さん」の無慈悲な真理

 最近,子供に日本昔話の絵本を読み聞かせる機会が増え,楽しみの1つとなっているが,実に考えさせられる内容のものが多い。
 そのなかでも考えさせられたのは,名作「こぶとり爺さん」である。

 無欲のお爺さんが,鬼たちの宴会に偶然遭遇し,調子よく加わって楽しく踊ったところ,鬼たちに気に入られ,こぶをとってもらえた。
 それを聞いた欲張りのお爺さんが,鬼たちの宴会を探しあて勇気を振り絞って参加するが緊張してうまく踊れない。すると鬼たちは怒ってそのお爺さんにもう1つこぶをつけてしまう・・・というお話である。

 欲張りのお爺さんは,現状をしっかり分析し,勇気をもって一生懸命困難に立ち向かったのでありその行動は立派である。
 一方,無欲のお爺さんは,ただ楽しく酒を飲んで踊っただけであり,その行動は特に誉められるべきものは何もない。
 にもかかわらず無欲のお爺さんは利益を得て,欲張りのお爺さんは罰を受ける。
 なんとも理不尽な話である。

 まさか,酒を飲んで踊るときにはただ楽しむべきであり,そこに下心をもつべきでないという接待におけるビジネスマナーを子供たちに教える話ではあるまい。

 そうすると,何も考えずに楽しくやる人が成功し,一生懸命やる人でも罰を受ける,その無慈悲な真理を子供たちに教える厳しい話なのであろうか。

 太宰治は,性格の悲喜劇を描いたものにすぎず,何の教訓も救いもないお話と解釈しているが,何の教訓も救いもない話が長年語り継がれているというのも,それはそれで恐ろしい話だ。


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posted by 内田清隆 at 22:41| Comment(0) | TrackBack(0) | その他

2013年01月11日

自分の名前を使うことが犯罪なんて… 

「自分の名前だから商売に自由に使えるのは当然」,そう思うことはいたって自然である。
しかし,自分の名前であっても必ずしも自由に営業活動に利用してよいわけではない。

自己の氏名であっても著名な商号などと同じものを不正の目的をもって利用すれば不正競争防止法違反となり,最悪のケースでは懲役5年・罰金500万円の刑に処せられるのだ。
仮に当事務所名「内田清隆法律事務所」が全国的に有名だったとしよう(残念ながらまだそうではないが・・・)。その場合,私を気にいらないと思っている同姓同名の内田清隆弁護士が,当事務所の顧客を奪い私を苦しめるという不正な目的の実現のために「内田清隆法律事務所」をつくり営業活動することは,不正競争防止法に違反し許されないこととなる。

「不正な目的」があるという例外的な場合を考えれば,当然のことのように思えるが,自分の名前を使うことが犯罪になるとは,何とも不思議な気もする。

しかし,そうでもしておかないと,自分の子の名前を「日産」やら「シャネル」やら「三菱」として,ひと儲けしようとする悪い親が出てきてしまうかもしれない。そう思うと必要な規定なのであろう。

(もっとも,「不正の目的」という内心の意図は外からは簡単には分からないこともあり,裁判例で「不正の目的」が認定されることは少ない。そのため実際に問題になることはほとんどない。)


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posted by 内田清隆 at 15:02| Comment(0) | TrackBack(0) | 知的財産法

2013年01月10日

保証人からは書面をもらえ!  

 「何かあった場合には『俺が個人的に保証をする』と社長が言うので,ある会社にお金を貸した。
 会社には資産がないけれども,社長個人には資産がある。
 その資産を差押えできないか」
という相談を受けたことがある。
 残念ながら,結論からいえばできない。

 「保証」は書面でもらわないと効力がない。
 そのため,いかに社長が「保証する」と言っており,その内容を証拠としてテープで取っていても,保証契約は効力が生じないのである。
 民法446条  保証人は、主たる債務者がその債務を履行しないときに、その履行をする責任を負う。
        2  保証契約は、書面でしなければ、その効力を生じない。

 
 ずいぶん前のブログにこんなことを書いたことがある。
 危険サインが出ている業者から担保などを取り付けるのは非常に難しいですが,個人保証を取付け,担保の設定を受けることは強力な債権保全の手段となりえます。
 もちろん親,親族,友人などの個人保証を取り付けることができればそのほうが良いのですが,社長個人であっても,個人保証を取り付けることができれば,それだけ優先的に支払ってもらえる可能性が高まります。

 
 間違ってはいないのだが,保証契約は、書面でしなければ、その効力を生じない。
 個人保証を取り付けるときには,必ず書面でもらうことが重要である。


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posted by 内田清隆 at 19:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 債権回収・管理

2012年12月03日

憲法改正案と知的財産権

自民党が憲法改正草案を発表した。
http://www.jimin.jp/policy/pamphlet/pdf/kenpou_qa.pdf

その中で,自民党は憲法29条を
旧 財産権の内容は、公共の福祉に適合するように、法律でこれを定める
新 財産権の内容は、公益及び公の秩序に適合するように、法律で定める。この場合において、知的財産権については、国民の知的創造力の向上に資するように配慮しなければならない。

と変更しようとしている。

国家の根本ルールである憲法において,わざわざ「知的財産権」の規定を設けたということは,知的財産権を重要視するという強い思いの表れかと期待したが,どうやらその逆らしい。

自民党のパンフレットでは,
29 条2 項後段に、「知的財産権については、国民の知的創造力の向上に資するように配慮しなければならない」と規定しました。特許権等の保護が過剰になり、かえって経済活動の過度の妨げにならないよう配慮することとしたものです。
と解説されている。

解説からすると,自民党は知的財産権の保護を過剰にしないために憲法改正が必要だと考えているようだ。

知的財産権の保護を強めれば,知的財産権を得ることが経済的利益に直結する。そうなれば,国民の知的創造力は向上することになるというのが素直な考えだと思う。
「知的財産権の保護を強め過ぎて国民の知的創造力の向上にマイナスにならないようにしよう」という考えは,理解しづらい。

私が思う素直な考えは,経済的利益=「金」で人が動く・・・というさもしい思想の表れであり,新憲法はもっと崇高なもので人は動くと考えているということであろうか。
実に理解しづらい内容だ。

憲法改正は個人的には必要だと思っているのだが,本改正案には賛成できない。というより理解しづらい面が多々ある。考えてみると,現行憲法でも理解しづらい面が多々ある。
シンプルで分かりやすいものにしようとしても,いろいろな人の意見を取り込んでいくうちに,次第に玉虫色の理解しづらい内容になってしまうのかもしれない。

根本ルールを決めるということは実に難しいものだ。

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posted by 内田清隆 at 09:24| Comment(1) | TrackBack(0) | 弁護士雑感

2012年11月18日

少数派株主の追い出し(キャッシュ・アウト)の新たな制度

以前,無償で行う少数派株主の追い出しとして,全部取得条項付株式を利用する方法を説明したが,http://uchida-houritsu.sblo.jp/article/53322657.html
会社法改正により,新たな少数派株主の追い出し(キャッシュ・アウト)「特別支配株主の株式等売渡請求」という制度ができる予定だ。

法務省の中間試案http://www.moj.go.jp/content/000082647.pdfによれば,議決権の90パーセント以上を有する大株主が,少数株主に対して,「あなたの持っている株式を○円で買い取ります」と通知すれば,少数株主が同意をしなくても,強制的に株式を取得することが可能となる。
取締役会の承認は必要であるが,株主総会を開く必要はなく,時間的・手続的コストの低減が期待されている。

現状でも,議決権の3分の2以上を有する株主であれば,全部取得条項付種類株式を用いることにより,少数株主の株式を強制的に取得できるのであるから,同じようなものではある。
しかし,全部取得条項付種類株式を用いた少数派株主の追い出しは,実質はともかく建て前は会社の行為として行われるが,新しい制度では,真正面から大株主は少数派株主に対して「お前の株式を俺にこの金額でよこせ!」という要求をできるということを認めるものである。
そう思うと,理論的には,実に新しい制度だ。



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posted by 内田清隆 at 23:46| Comment(0) | TrackBack(0) | 商取引法

2012年11月08日

システム開発ができない特許庁

特許庁が,出願情報を一元管理するシステム開発に失敗し,54億円を無 駄に支出したことを会計検査院が指摘したというニュースを見た。
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG1005R_R11C12A0CR0000/

テレビのニュースによると,請負人の能力にも問題はあったが,契約締結以降 に,特許庁から新たな機能追加などが相次ぎ,それに請負人が対応できずシステム開発が途中でとん挫したとのことであった。

特許庁でもそうなのか!というのが素直な感想である。

システム開発,プログラム開発が途中でとん挫し,訴訟となるケースは後を絶たないが,そのほとんどで問題になるのが,「最初に聞いていなかった機能追加が相次いだ」という主張だ。
私が経験した訴訟でも,必ず出てきた問題だ。

システム開発業者は,決められた仕様に基づいてプログラミングをするわけであり,発注者としては,事前に必要な機能を明確にしなければいけない。
経済産業省も述べているし,どの本にも出てくる基本的なことである。
ところが,多くの企業が同じミスをし,特許庁までもが同じミスを してしまう・・・。

建築においても,図面で見るのと完成した建物では違うことがある。
ましてや,目に見えないシステムについては,人間の想像力には限界があり,
設計段階では実施段階が想像できないということなのであろうか。
発注者としても受注者としてもくれぐれも気を付けたい問題である。


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posted by 内田清隆 at 00:26| Comment(0) | TrackBack(0) | IT法

2012年11月05日

なぜ弁護士の字は汚いのか?

私を含めて手書きのメモの字が汚い弁護士は非常に多い。

ある弁護士は,その理由を,司法試験では短い時間でたくさんの文字を書かなければいけないため,その司法試験の勉強の中で字が汚くなる・・・と分析していた。
http://www.sagamigawar.com/000shuusei1.html

しかし,私自身は,司法試験の勉強を始める前から手書きの文字が読みづらいとよく言われていたし,司法試験の勉強により字が汚くなったわけではない。では,なぜ弁護士の字は汚いのか?

弁護士の多くは,時間に追われて仕事をしている。そうなると,文字を書くときにゆっくり書いている時間がない。そのような仕事を繰り返しているうちに字が汚くなるということが考えられる。しかし,考えてみると,司法試験の優秀答案の字は汚いものが多かった。弁護士になってから字が汚くなるわけではなさそうだ。

そうなると,弁護士の字が汚いのではなく,字が汚い人間が弁護士になる可能性が高いという結論になる。
不思議に思い「字が汚い 性格」で検索して出てきたあるブログhttp://moriri12345.blog13.fc2.com/?mode=m&no=1175には「医者や弁護士なんて字が下手な人ばっかり。子供の頃から一生懸命勉強して、文字をたくさん早く書かなきゃいけない癖が付いているんで、いちいち字を綺麗になんか書いてられないからなんですよね。その名残だと思いますね。」と書いてあった。

しかしである。頼山陽,森鴎外,富岡鉄斎・・・,誰よりも一生懸命勉強し,圧倒的な教養を誇る昔の知識人は達筆で有名だ。子どものころから一生懸命に勉強をしたため字が汚いという理論は正しいとも思えない。


先日,新人事務員に対して先輩事務員が「弁護士の字が読めるようになることが事務員として第一歩!」といったような指導をしていた・・・。

字は心の鏡。弁護士の字が汚い理由について,どうでもよい分析をする暇があれば,読みやすい字を書くように心がけよう。



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posted by 内田清隆 at 14:25| Comment(0) | TrackBack(0) | その他

2012年10月28日

アマゾン・キンドル (Amazon Kindle)と独占禁止法

Amazon.comが製造・販売する電子ブックリーダーアマゾン・キンドル (Amazon Kindle) 向けの電子書籍ストア「Kindleストア」が10月25日にオープンし,5万冊以上の日本語書籍の売り出しが開始された。

一般に,小売店における再販売価格を拘束することは,独占禁止法違反になるが,書籍については「著作物再販適用除外制度」が設けられており,出版社が本の価格を決定し,本屋が定価販売を余儀なくされたとしても,独占禁止法違反にはならない。
ところが,公正取引委員会は,電子書籍については「著作物再販適用除外制度」は適用されないという見解を示している。                        
参照 よくある質問コーナー(独占禁止法関係)Q14 
http://www.jftc.go.jp/dk/qa/index.html

そうすると,「Kindleストア」を通じて出版社が電子書籍を販売する場合には,出版社による価格拘束は許されないことになりそうだ。そうなれば,「電子書籍はとても安くなるのでは!」と期待される。

もっとも,委託販売の形式をとるかもしれない。その場合,Amazonは単なる取次に過ぎず,実質的に出版社が販売していると認められれば,出版社が価格を指示しAmazonがそれに従うという形式をとっても違法にはならない。そのような方法で,定価販売が続く可能性も高い。

しかし,流通・取引慣行に関する独占禁止法上の指針
http://www.jftc.go.jp/dk/ryutsutorihiki.html
によれば,実質的に出版社が販売していると認められるには,
委託販売の場合であって、受託者は、受託商品の保管、代金回収等についての善良な管理者としての注意義務の範囲を超えて商品が滅失・毀損した場合や商品が売れ残った場合の危険負担を負うことはないなど、当該取引が委託者の危険負担と計算において行われている場合
に該当する必要がある。

しかし,電子書籍という商品が滅失・毀損することはあり得ないし,売れ残りということも実質的には考えられない。そうなると,どのような場合であれば,独占禁止法違反になるのかは予測困難だ。

電子書籍のような形のないものの委託販売は増えており,同様の問題で,私自身も判断に迷ったことも少なくはない。早く明確な基準が作られる必要がありそうだ。

本好きとしては,電子書籍になって価格が下がることは歓迎であるものの,価格の低下により良書が出版されなくなることはあってほしくないと思う。



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posted by 内田清隆 at 21:56| Comment(0) | TrackBack(0) | 商取引法

2012年10月22日

発信者情報開示の限界と効用

インターネット上,名誉毀損,プライバシー侵害がなされた場合,教科書的には,プロバイダに対して発信者情報開示請求を行い,名誉毀損などをしている発信者のIPアドレスなどを明らかしてもらうことになる。

ところが,この発信者情報開示請求というのは使い勝手がよくない。

発信者情報開示請求をすると,プロバイダは発信者に対して,情報を開示してよいか尋ねることになるのである。しかし,「あなたの書き込みが名誉毀損だから,訴えようとしている人がいるので,あなたの情報を教えてあげていいですか?」と聞かれて「どうぞ!」と答える人はいない。
 そうすると当然,プロバイダは慎重になる。発信者が何と言おうと名誉毀損は明らかだから開示するというケースは少ない。そのため,なかなか発信者情報の開示を受けられないのである。

これでは意味のない制度では・・・と思っていたが,先日ある弁護士の講演を聞いたところ,意味がないわけではないようだ。
発信者情報開示請求をすると,発信者に誰かが裁判の準備を進めていますという連絡がいくことになる。それにより、発信者が違法な書き込みを控えることが期待できるというのだ。

なるほど,確かにそういう使い方もある。それにしてもネット上の人権侵害の救済には手間と時間がかかる。もう少し簡単な制度とプロバイダの良心を期待したい。

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posted by 内田清隆 at 08:33| Comment(0) | TrackBack(0) | IT法

2012年10月15日

あなたを誰よりも知るグーグルは裁判所の言うことを聞かない 2

 ある人物が自分の名前をグーグルで検索しようとすると「〇山〇男、暴力団」「〇山〇男、犯罪者」といったように、サジェスト機能により,犯罪行為を連想させる単語が検索候補にあげられることを不服としてグーグルを訴えた。
 その結果,東京地裁はグーグルに対して今年3月19日にサジェスト機能の停止を命じた。ところが残念なことに,グーグルはこの決定を無視しているらしい。

  関係者によると,政府は,ビッグデータを利用したターゲットマーケティングを、厳しく規制していこうとしているらしい。
  しかし,日本法で規制しようとも,グーグルがそれに従うとは思えない。
 そうなれば、いかにビッグデータの取得や利用を規制しても日本人の新たなビジネスチャンスを奪うだけの結果になりかねない。
 ビッグデータのもつプライバシー侵害の危険性は驚くベきものがある。しかし、新しいものに過度に脅えることなく,上手に付き合うことが重要だろう。

 私の実家がある浦和は,明治時代に機関車に脅え,鉄道の通過を認めなかったため,埼玉の中心的地位を大宮に奪われた苦い歴史がある。
 その二の舞は避けたい。


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2012年10月10日

あなたを誰よりも知るグーグルは裁判所の言うことを聞かない 1

 どうして,アマゾンは,こうも自分の趣味を分っているのだろうと感心していた方がいらっしゃるかもしれないが,今,1番あなたのことを知っているのはグーグルかもしれない。

 グーグルは今年,プライバシーポリシーを変更し,あらゆるメディアが取得したデータをー元管理していくことに決めた。それにより一層,利用者の嗜好に合わせた広告を提供していくことになろう。

 グーグルの提供する便利な機能を使っていれば,あなたが昨日どこにいたのか,あなたが何を検索したのか,あなたが誰とメールのやりとりをしているのか,あなたがどんな文章を書いているか,グーグルはすべてお見通しである。

  グーグルはそのビッグデータと呼ばれる莫大なデータから,家族すら知らない,あるいはあなた自身すら気付いていない,本当のあなたを分析してくれる。
 そして,そんなあなたにふさわしい最高の商品を提案してくれるのだ。
 夢のような話である。


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2012年10月01日

弁護士はしつこい!?


 以前に比べると,スピードアップされたとはいえ,裁判には時間がかかる。
 真っ向から争いのある事件だと1年以内に終わることはまずない。そして,裁判のクライマックスは終盤にあり,弁護士は依頼を受けてから1年以上も経って,受任当時以上に燃えていたりする。

 依頼者の立場から考えると,依頼して1年であれば,実際に問題が発生したのは1年以上・・・もっと前ということもある。そうすると、弁護士はめらめらと燃えているのに,当事者である依頼者が醒めてきてしまったなんてことも珍しくない。
実際に問題が起こったときには熱く燃えていた依頼者も「何年も前の話だから,もういいなあ。」といった感じになってしまうのである。

 人間,いつまでも怒り続けてもいられない。そう考えると,当たり前の反応だ。
 逆に何年も前の出来事に対して,仕事とはいえ,いつまでも燃え続けている弁護士というのは,何ともしつこく根に持つ輩であると我がことながら嫌になったりする。

 先日,東日本大震災の復興に関わっている弁護士の講演を聞く機会があった。世間が東日本大震災のことを忘れ始めていることに強い危機感を持っていた。そして,弁護士はいつまでも過去を忘れずに着実に歩みを進められる存在であり,それが復興において大事なことだと力説されていた。

 そうか!と思った。しつこく根に持つなどと後ろ向きに捉える必要はない。過去を忘れることなく着実に歩みを進める・・・そんな弁護士でありたい。


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2012年09月22日

私有地上の放置自動車

 「私有地に,誰かが自動車を放置していった。持ち主を探したが見つからない。勝手に処分してしまっていいか?」といった相談を受けることがある。
 
 実に困った問題だ。

 法律的には,公示催告の申立てを行い,民事訴訟を提起し,強制執行を行うことになる。津波で流れてきた自動車であれば行政に処分させることもできるが,私有地に放置された自動車の場合,行政にお願いしても何もしてくれない。基本的には自分で何とかするしかない (ただし警察の協力を受けられる場合もある) 。かなりの時間と費用を必要とする何とも大変な問題だ。

 最高裁の平成2 1年 3月 10日の判決は,そのような場合,所有権留保が設定されている(自動車ローンが払い終ってなく,所有者がローン会社となっている)場合,条件つきではあるがローン会社に,放置自動車の引き取り義務があると判示した。
 これは非常に使える判決だ。実際の使用者を見つけることは困難きわまりないのが通常だが、ローン会社であれば簡単に見つけられるからだ。

 あとは放置自動車のローンが払い終っていないことを折るだけだ。


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2012年08月26日

アップルがサムスンに圧勝

 アップルVSサムスンのiPhoneなどの特許を巡る訴訟について,カリフォルニアの連邦地方裁判所の陪審は8月24日,サムスンがアップルの特許を侵害したとの評決を言い渡し,約10億5千万ドル(約830億円)の損害賠償を命じた。
http://www.nikkei.com/article/DGXNASGM25025_V20C12A8MM0000/

 横綱同士のセメントマッチは,既に2点リードを許していたサムスンが5回裏に満塁ホームランを打たれたというところであろうか。

 世界中で行われている両者の争いは,どこかでバランスが崩れ,一方の勝利が見えてくれば,和解に向かうであろうとたびたびいわれていた。
 確かに,激しく争われる訴訟は,どちらも自分たちが勝てる!と思っているから行われる。そして,今回の評決を受けて,サムスンが自分たちの勝利に不安を感じるようになれば,世界中で両者が和解に向かうことが期待できる。

 しかし,激しく争われる訴訟は,大会社同士の争いであっても,合理的な経営判断を見失うほどの相手方に対する感情的な怒りが原因であることが多い。
 アップルのサムスンに対する感情的な怒りはおさまるのであろうか。なにしろその感情的な怒りの源であるスティーブ・ジョブス氏は,もうこの世にはいない。そうなると,その遺志としての怒りの感情は,簡単にはおさまらないのかもしれない。

それにしても早い判断であった。
陪審員は,
GALAXY S4 G(JX1049)の製品は特許番号381号の19項の特許を侵害しているとアップルは証明しましたか?
GALAXY 10.1(WI-FI)(JX1037)の製品は特許番号889号の特許を侵害しているとアップルは証明しましたか?

といった難解な700もの争点につき,判断している。評決全文
 
 この複雑な評決フォームをうめるだけでも,1日仕事だ。
 にもかかわらず,陪審員は,すべての争点についてわずか3日で判断し,この複雑な評決フォームをうめてしまったのだから驚くべきスピードだ。
 よほど悩まずにアップル勝ちという判断に及んだということであろうか。


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posted by 内田清隆 at 17:21| Comment(0) | TrackBack(0) | IT法

2012年07月19日

「私は誰と契約をしたのだろう?」 

 契約をしたのだから,その相手が分からないはずがないと思われるかもしれない。
 しかし,意外に簡単でない。
 裁判でも,Aさんに対して,「貸した2000万円を返せ」という訴えを起こしても,借りたのはAさんでなく,Aさんが経営する株式会社Bであるとして,敗訴するといったこともある。

特に,契約書が実態と異なる場合に問題になる。

 上の例でいえば,お金を受け取って使用したのは株式会社Bなのであるが,契約書ではAさん個人が借主の場合などには,どちらが契約者なのかの判断は難しい。
 書面上は借主がAであったとしても,実際にお金を受け取って使った人が借主であるとする裁判例もある。

 さらにそのよう場合,契約書上の借主が「株式会社B 代表取締役A」となっていれば,株式会社Bが契約の相手方であることは明白である。
 しかし,単に「株式会社B A」となっている場合はいっそう悩ましい。
 Aさんが株式会社Bの代表として契約しているのか,それとも単に株式会社Bに勤めているAさんが契約しているのか,判断は容易ではない。

 弁護士としては,契約当事者の取り間違えは,大変恥ずかしく何より恐ろしいミスだ。
 そこで,「契約の相手は誰ですか,AですかBですか」と必ず確認するのであるが,「私は誰と契約をしたのだろう?」と言われる方も少なくない。

 契約の相手がBであればAにいくら資産があっても,Bが破産すれば,まったく回収できないことになる。逆もまたしかりだ。

 当然すぎるほど当然なことであるが,契約をする際には,契約の相手が誰なのかを明確にしておく必要がある。
 そのためには,実態に合わせたきちんとした契約書を作ることが重要だ。


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posted by 内田清隆 at 16:05| Comment(0) | TrackBack(0) | 契約書作成