2013年12月18日

弁護士はいつ忙しい?

「師」が「走る」と書いて師走である。
世間は何かと忙しいところであるが,弁護士はどうなのであろう。

「弁護士さんは忙しい時期ってあるんですか?」などとよく聞かれるが,年末は忙しいイメージがある。
「何とか今年中に決着をつけたい!」という思いから,新しい相談が入るからである
(年末に相談を受けても,年内に解決するのは困難ではあるのだが…)。
 
では,1月はどうかというと,これも意外に忙しいイメージがある。
 年末年始の休みによく状況を考えて,やはり弁護士に依頼し,はっきりさせようと決意される方が多いためだ。
 
では,春はどうかというと,寒い雪の季節は我慢していたが,暖かくなってきたこともあり,このままにはしておけないとして,弁護士に依頼される方も少なくない。

では夏はというと,夏休みの間に色々な人と話すことで,心を新たにし,このままにはしておけない と決意し弁護士に依頼を・・・,秋はというと,暑い夏が終わり,寒い冬になる前にこのままにはしておけないと決意し弁護士に・・・ ということで,弁護士はいつでも忙しい状況ともいえる。

しかし,一方で,年末は慌しいから年明けに・・・,年明け早々から争うのも嫌だから・・・,春はいい季節だから争いたくない・・・,暑い夏は争う気力が出ない・・・,ということで,弁護士に相談に行かない理由はいつでも作れる。

というわけで,弁護士の忙しさは,季節によらないというのが実態のようだ。

 

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posted by 内田清隆 at 00:17| Comment(0) | TrackBack(0) | その他

2013年11月27日

パテントトロールとテキサスの蛮行

表向きは,ソフトウェア開発などの事業を行っているようだが,実は,個人などから特許権を買い集め,特許権侵害を理由に大企業から損害賠償金を得ることで生計を立てる中小企業や個人,通称「パテントトロール」が米国で大活躍をしている。

先日受けた日弁連の研修によると,米国ではパテントトロールによる訴訟が急増しており2010年には特許侵害訴訟の29%に過ぎなかったものが,2013年には62%に達しているとのことであった。

米国特許訴訟では多額のコストがかかる。特にe-ディスカバリーと呼ばれる文書の開示手続に費用がかかる。1000万件の書類の提出を余儀なくされ億単位のコストがかかるということもよくあるということである。
パテントトロールに訴えられた大企業はその莫大なコストを負担するが,実体のないパテントトロールはそのコストを負担しない。そう考えれば,特許を買い取り,負けそうな事件でも訴訟を提起し和解に持ち込むというのは合理的な戦略なのかもしれない。

パテントトロールは全米各地を放浪し,勝てそうな裁判所を探して,そこで訴訟を提起するそうだ。テキサス東部地区の裁判所では,数年前まで原告が90%という圧倒的な勝率を誇り,多数のパテントトロールを引き寄せていたらしい。

私はパテントトロールには好意的であったりする。中小企業が知力を武器に大企業に戦いを挑む姿は悪いイメージではない。
昔テキサスに住んでいたとき,ちょっとした揉め事に遭遇したところ,友人が銃をもって走ってきたことがあった。「自らの手は自らで守る」「政府や大企業の庇護はいらない」アメリカンドリームを愛する,個人の自由を何よりも愛する古き良き?アメリカがそこにあった。

現在の米国のパテントトロール跋扈状況は異常であろうが,米国だけは,力の弱い発明家の個人が夢をもてる国のままであってほしい。


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posted by 内田清隆 at 21:28| Comment(0) | TrackBack(0) | 知的財産法

2013年11月16日

競業避止義務特約の有効性の判断ポイント

従業員が退職後,ライバル会社に就職するのを辞めさせたい!というニー ズはかなりある。
私自身もそのような裁判に何度か関わったことがある。

そのときに,いつも問題となるのが「ライバル会社で働くことを禁止する」といった就業規則や誓約書,すなわち競業避止義務特約である。

契約は本来自由であるはずである。
しかし,競業避止義務特約は職業選択の活動の自由を制限するものであるため,一定の場合にしか有効にならないのである。

この点,経産省が,過去の裁判例を詳しく分析し,有効性判断のポイントをあげている。
http://www.meti.go.jp/policy/economy/chizai/chiteki/trade-secret.html#kuwashiku

乱暴にまとめると以下のとおりである。
・会社に営業秘密等の守るべき利益がないとダメ
・従業員すべてはもちろん特定の職位にある者すべてを対象と している場合はダメ
・競業避止義務期間が2年以上となっているとダメ,1年以下にすべき
・競業を禁止するかわりに手当等の代償措置が設定されていないとダメ

これらはなかなか厳しいもので,数年前に読んだ本と比較してもそのハードルは上がっているように思える。
中小企業において,従業員によって誓約書を使いわけ,それにふさわしい代償措置を準備するというのは容易な話ではないだろう。

当然のことではあるが,ライバル会社に転職されないように,「よい会社」にするというのが一番大切ということであろう。


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posted by 内田清隆 at 20:48| Comment(0) | TrackBack(0) | 労働問題

2013年11月05日

財産開示の効用と限界

「財産開示」制度利用すれば,差押えることができる財産の所在が分からなくても,相手方を裁判所に呼び出し,財産の所在を聞き出すことができる。相手方が嘘を述べた場合には過料の制裁もある。

しかし,その過料の制裁額は,わずか30万円である。ずる賢い相手方であれば,嘘をついて30万円を支払い,差押えを逃れようとするはずである。

しかも,その30万円は,刑事罰としての「罰金」ではなく,過料に過ぎない。刑事罰の罰金であれば,支払をしないと労役場留置といって刑務所に入れられ労働をしなければいけなくなる。しかし,過料の場合は,税金と同じで,支払をしないと財産の差押えを受けるだけである。差押を逃れるために嘘を述べた者に対する罰が差押だけでは意味がないと思われる。

実際に,財産開示期日に嘘をついて差し押さえを逃れて,過料の制裁を受けたものの,それすら踏み倒している者を目にしたこともある。

このような制度では実質がないとして,現在,改正が議論されているわけであるが,もちろん現制度がまったく意味がないわけではない。

裁判所に呼び出され,自分の財産がどこにあるかを言わなければいけないというのは非常に苦痛だ。

しかも,嘘をつくと低額とはいえ罰則があるにもかかわらず,嘘をつくというのは良心がある者にとってはなかなかできるものではない。そのため,実際には財産開示制度を利用すると,任意で支払をする人も少なくないのである。

とはいえ,数百万円であればそのような「良心」に基づく対応も期待できるところであるが,数千万円以上の話となれば,良心も期待できない。

早めの改正を期待したいものである。 


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posted by 内田清隆 at 10:05| Comment(0) | TrackBack(0) | 債権回収・管理

2013年10月31日

死者のパブリシティ権

前回の記事でも書いたが,最高裁判決によると,
有名人の写真や氏名を広告に利用することは一定の場合許されない。
いわゆるパブリシティ権である。

 では,死亡した有名人の場合はどうなのであろうか,死者にパブリシティ権があるのかという問題である。

 この点について,明確に判断した裁判例は知られていない。

 関連する裁判例としては,名誉毀損が問題となったものであるが,死者に対する遺族の敬愛追慕の情は,一種の人格的法益として法の保護の対象となり,これを違法に侵害する行為は不法行為を構成するとしながらも,死後44年余を経ているという状況から,慰籍料の請求は認められないとした裁判例がある程度である。
(東京高裁 昭和54年3月14日http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/499D61694B682F1949256CFA0007B9C6.pdf

 最高裁は,パブリシティ権の本質を人格権としてとらえている。だとすれば、有名人が死亡すれば,人格が消滅する以上,パブリシティ権も消滅すると考えるのが自然であるのかもしれない。
 しかし,人格権は相続されないとしても,死者に対する名誉侵害が違法になる場合があるのであるから,死者に対するパブリシティ権侵害も違法になることはあると考えるべきなのが自然のように思える。

 とはいえ,著作権のように死後50年で権利が消滅するという規定がない以上,何年間死者のパブリシティ権が保護されるのかはっきりしないし,どのような条件で保護されるのかもはっきりしない。

 アメリカでは,死者のパブリシティ権について各州ごとに一定のルールが確立しており,死者のパブリシティ権ビジネスに多くの弁護士も関わっていると聞く。
 日本においても,法律ではっきりすることが必要であろう。


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posted by 内田清隆 at 10:06| Comment(0) | TrackBack(0) | 知的財産法

2013年10月21日

物のパブリシティ権

 最高裁判決(http://uchida-houritsu.sblo.jp/article/53415247.html)によると,有名人の写真や氏名を広告に利用することは一定の場合許されない。
 いわゆるパブリシティ権というものである。

 では,人ではなく,有名な「物」,例えば世界的に有名なスポーツカー,著名な建築物などを利用することはできるのであろうか,物のパブリシティ権と呼ばれる問題である。

 この点は,下級審でも判断が分かれていたのだが,最高裁平成16年2月13日判決(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/js_20100319120716670381.pdf)は,法律上は「物」となる競走馬の名称の使用について,
 物の名称の使用など,物の無体物としての面の利用に関しては,商標法,著作権法,不正競争防止法等の知的財産権関係の各法律が,一定の範囲の者に対し,一定の要件の下に排他的な使用権を付与し,その権利の保護を図っているが,その反面として,その使用権の付与が国民の経済活動や文化的活動の自由を過度に制約することのないようにするため,各法律は,それぞれの知的財産権の発生原因,内容,範囲,消滅原因等を定め,その排他的な使用権の及ぶ範囲,限界を明確にしている。
 上記各法律の趣旨,目的にかんがみると,競走馬の名称等が顧客吸引力を有するとしても,物の無体物としての面の利用の一態様である競走馬の名称等の使用につき,法令等の根拠もなく競走馬の所有者に対し排他的な使用権等を認めることは相当ではなく,また,競走馬の名称等の無断利用行為に関する不法行為の成否については,違法とされる行為の範囲,態様等が法令等により明確になっているとはいえない現時点において,これを肯定することはできないものというべきである。

と判示して,物のパブリシティ権の存在について否定した。

 「あの伝説の競走馬,オグリキャップがついに復活!」と広告に用いることができるというわけである。

 最高裁によればパブリシティ権は「人格権に由来する権利の一内容」である。そして「人格権」は法的に保護されるが「馬格権」なるものは法的に保護されない以上,オグリキャップにはパブリシティ権がないということである。
 人と馬とを差別し,人を優遇するものであるが,法律をつくるのが人である以上,馬の権利は無視されてもやむを得ないということであろうか。

 もっとも,最高裁の判例が述べるように,場合により著作権法,商標法,不正競争防止法違反となる場合もあるので,注意が必要なことはいうまでもない。
 特に需要者に広く認識されている商品表示を,自社と何らかの関係があるかのように利用することは不正競争防止法違反になるので注意が必要である。


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posted by 内田清隆 at 15:35| Comment(0) | TrackBack(0) | 知的財産法

2013年10月15日

みずほ銀行問題とキリストと親鸞

 みずほ銀行が暴力団関係者に対して融資をしていたという問題について,ある弁護士がブログに,「不正発見主義(不祥事はどうしても発生してしまうが,これを早期に発見して自浄能力によって解決し公表すること)にウエイトを置く」が重要であり,そのためには「敗者復活戦」や「報告者に対する報奨」が認められることが大切であると書いていた。
http://yamaguchi-law-office.way-nifty.com/weblog/2013/10/post-b0b9.html 

 功利主義的な人間観に立てば,不正を発見した場合に
   それを伝えるメリット<それを隠すメリット
であれば,それを伝える人はいない。
 そうであれば,不正を伝えることに対して「報償」を与え,不正を伝えるメリットを増やすべきであり,また不正に関与した人間にも「敗者復活」の道を与え,不正を伝えることによって生じる不利益を小さくすることが必要であるということであろう。

 そう思うと宗教というものは,不正を告白するための見事なシステムを作り上げているのだと思う。
 キリスト教においては,自己の罪を悔い改め,それを告白すれば(特にカトリック教会においては,いわゆる「懺悔」を行えば),神はこれを許す。つまり,不正を伝えることで許され天国にいけるといった,十分な「報償」が与えられるということだ。
「もし、わたしたちが自分の罪を告白するならば,神は真実で正しいかたであるから,その罪をゆるし,すべての不義からわたしたちをきよめて下さる」(ヨハネの第一の手紙第1章9節)

 親鸞が歎異抄において「善人なおもて往生とぐ,いはんや悪人をや」(善人でさえ浄土へ生まれることができる,まして悪人は,なおさらだ)と説くのも,どんな罪を犯した人間であっても「敗者復活」することが可能であると説き,告白する強さを人間に与えようとしたのであろう。

 HONDAには「失敗表彰制度」があり,一番失敗した社員には「社長賞」まで与えられたという。そのような制度があれば,「失敗」を積極的に告白するようになるかもしれない。
 しかし,「私は横領しました!」といった不正を告白させるために,横領した人に賞を与えるというわけにもいくまい。

 そうなると本当に重要となるのは,「不正に関与した人間は『償い』はとらなければいけない,しかし,必ず『赦し』は得られる」という一種宗教的な信頼感なのかもしれない。


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posted by 内田清隆 at 09:23| Comment(0) | TrackBack(0) | 弁護士雑感

2013年10月10日

自炊代行は違法〜東京地裁平成25年9月30日

 所有者の代わりに紙の本を電子化するサービス,いわゆる「自炊」の代行は著作権侵害に当たるとして,代行業者に損害賠償などを命じる判決がでた。
 http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20131001115316.pdf

 一番の争点となったのは,複製の主体が,本の所有者なのか,代行業者なのかである。
 本の所有者が主体として複製することは「私的利用」として合法である。一方で,代行業者が主体として複製することは,私的利用ではないので著作権侵害として違法になる。

判決では,
「本件における複製は,書籍を電子ファイル化するという点に特色があり,電子ファイル化の作業が複製における枢要な行為というべきであるところ,その枢要な行為をしているのは,法人被告らであって,利用者ではない。」
と端的に指摘し,複製の主体は自炊代行業者であるとした。
 よって,自炊代行は違法であると判断されたのである。
 
 自炊は合法なのに,自炊代行は違法となるのは直観としてピンとこない。
 しかも,本を裁断して電子化を可能としても,本は売れなくなることはないであろうし,むしろ売れるようになるかもしれないと思うと釈然としないものがある。

 しかし,最高裁は,ロクラクU事件において,ユーザーが家で子機を操作して,テレビ番組を録画する場合にも,業者が管理している親機に自動的に保存され,ネットを経由して配信されている場合において,複製の主体は業者であるとしたのである。
 http://uchida-houritsu.sblo.jp/article/43154433.html 
 その判例からすれば自炊代行において,代行業者が複製の主体とされるのは,妥当性はともかくとして,自然の帰結ではあろう。
 
 本件の代行業者は,自炊代行に反対する作家122名の作品について,「利用者の依頼があってもスキャン事業を行うことがない旨回答」,つまりオプトアウトすると述べていた。
 にもかかわらず,その後,それらの作家の作品のスキャンを依頼され,これを行ったようである。
 その態度をみて,裁判所が業者を悪質だと判断した可能性はある。
 しかし,判決の雰囲気からして,きちんとオプトアウトしていたとしても結論は変わらなかったのであろう。

 
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2013年09月25日

野蛮な動産執行の意義

 売掛金を支払わない相手方の経営する店舗の動産を差し押えし、その店舗にあるものをごっそり搬出したことがある。
 商品だけでなく、商品棚まで搬出したため、すぐにその店舗には、『臨時休業』のはり紙がなされた。
 その様子を見ていた新人事務職員が「なんか野蛮ですね・・・」とぼそりと言ったのが印象的であった。
 確かに、困惑する店員さんたちを無視して営業中の店内から次々と物品を運び出し、急遽閉店に追い込むというのはスマートではない。野蛮なのかもしれない。

 しかし、動産執行の意義は、この野蛮さの中にある。中古品価格が低迷する現在、大型の機械といった特殊なものを除き、動産に高い値段がつくことは少ない。そのため動産を差し押さえても大したお金にならないのが通常だ。

 だが、野蛮な動産執行を行うことで、相手方に対して、いつ持っている物を強制的に奪われるかわからないのだということを理解させ、任意の支払へと向かわせるというのが動産執行の意義というわけである。

 支払を命じる裁判所の判決が無視されることがないようにすべきである。
 そのためには、動産執行はもっと野蛮でもいいのかもしれない。

 とはいえ弁護士とは因果な職業である。


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2013年09月09日

「被告」は悪くない

 無罪推定の原則というものがある。
 有罪か無罪かは,裁判所が決めるのであるから,その判決があるまでは、刑事事件の被告(法律用語では「被告人」)は,無罪とみなさなければいけないという原則である。

 ところが,マスコミでは,「被告」=犯罪者と扱われることが多い。そのため,多くの人が「被告」とは悪いことをした人だと認識している。

 民事事件では訴えた人が原告,訴えられた人が被告である。
 民事事件の紛争では,訴える準備をしていたら先に訴えられるということもよくある。
 どちらが先に訴えでるかで原告と被告は逆転するのであり「被告」という名称には深い意味はないのである。

 しかし,「被告」=悪い人というイメージが定着しているため,そうも割り切れない。
「なにも悪いことをしていないのに被告呼ばわりするとは失礼だ!」
「なんで俺が被告と呼ばれないといけないのか!」

と呼び方から争いが生じてしまう。

 「『被告』は悪くない。」という認識が早く定着すればいい。

 それが難しいのなら「ディフェンダント」と横文字で呼ぶのはどうだろう。
 
 「被告内田」と言われるより「ディフェンダント内田〜!」と言われる方が,なんとなくかっこいいよくテンションもあがるような気がする。


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2013年09月02日

取引先訪問時の現場チェックのポイント

債権回収においては取引先の経営危機の早期発見が重要である。
そのためには取引先を訪問した際に,現場をしっかりとチェックすることが重要だとよく言われる。

ビジネスロージャーナル9月号によると
1事務所,工場が整理されておらず散らかっている
2従業員に元気がない
3倉庫に返品らしき在庫が多数ある
4社員とは思えぬ者がウロウロしている
5芸能人・政治家と撮った写真が所狭しと並んでいる
などが危機のサインとしてあげられていた。
1〜3は分かるが,4・5が面白い。

社員でない者がウロウロしている会社ってどんな会社?と思った方も多いであろうが,先日最終的に倒産した会社で支払方法について話をしてきた方が,「よくわからない人がいて,一応名刺はもらったものの何者だか分からなかった。」と言っていた。同じような話はよく聞く。
不思議なことではあるが,倒産間近となると得体の知れない者が会社をうろつくということはよくあることなのかもしれない。

5は危機のサインなのだろうか?確かに以前,所狭しと芸能人と撮影した写真や芸能人の絵やサイン,芸能人からもらった物などが置かれている会社の破産に関わったことがあったが,破産する会社でよく目にするということもない。ただ,珍しいことをしているだけでも注目すべきだということなのであろう。

いずれにせよ,大切なことは注意力であろう。ぼんやり訪問するのでなく注意深く観察し,取引先の細かな変化を見逃さないことが重要だ。


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2013年08月26日

存在しない町「アーグルトン」と著作権トラップ

かつてのグーグルマップでは,イギリス本島の北西部にアーグルトンという町が表示されていた。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%BC%E3%82%B0%E3%83%AB%E3%83%88%E3%83%B3アーグルトンの店やアーグルトンでの就職情報,アーグルトンのジョギングコースまで表示されていたが,実はアーグルトンという町が存在ないことが判明し,ネットでは話題になった。

存在しない町が表示されていた理由として,有力に主張されているのが「著作権トラップ」である。
グーグルマップを無断で複製するとアーグルトンの町まで複製されてしまう。そうすることで多少表示を変えていてもグーグルマップを複製したことが明らかになり,著作権を侵害していないと言い逃れできなくするためのトラップ(罠)だということである。

著作権トラップの恐ろしさを感じる事例を最近経験した。
トラップなのか,偶然なのか分からないが,あるプログラムにおいて,「JAPAN」のスペルがなぜか「JAPANE」になっていた。そのプログラム著作権を侵害したと主張されていたプログラムにおいても,同じく「JAPAN」が「JAPANE」となっていた。そのため,プログラムが似ているのは偶然であるという主張が,もろくも崩されてしまったという事例である。

著作権トラップの考え方は無断複製を禁止する以外にも色々使えるのかもしれない。
 それにしても悪いことはできないものである。


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posted by 内田清隆 at 23:51| Comment(0) | TrackBack(0) | 知的財産法

2013年08月12日

労働審判に強い弁護士

労働審判では口頭での審理を重視するというのが建前であった。
しかし,多くの審判官は,実態についてはほとんど書面だけで審理し,口頭で行うのは和解に向けての交渉ばかりというケースが多い。

そうなると労働審判に強い弁護士に必要な能力は,
@説得的な書面の作成能力
A的確な和解をする能力
ということになるであろう。

説得的な書面の作成能力は常に要求される弁護士の基礎的能力であるが,労働審判において的確な和解をする能力はやや特殊である。

労働審判の大きな特徴は3回で終わってしまうという点であり,とにかく時間制限が厳しい。
そのため,審判官も早急な和解を求めてくるので,和解といっても,駆け引き的要素は乏しく,審判官の提示する和解案を承諾するか否かについて即決を迫られるケースが多い。
したがって,労働審判において的確な和解をするには,和解案の妥当性の判断,つまり訴訟となった場合の結論の見通しを的確にすることが重要である。

しかし,これがなかなか難しい。私の経験からしても,全国の平均からしても労働審判から訴訟へ移行するケースは少なく,多くは和解によって終わってしまう。そのため,訴訟となった場合の経験が少なく,訴訟での結論の見通しを理解するのが困難なのである。

そう考えると,経験に頼らず多くの裁判例を読み,勘を養うしかないのであろう。どんな案件でもその勘が重要であるが,労働審判では特に重要だ。

労働審判については問題点も感じるが,早期解決という点で非常によい制度だと思う。
労働審判に強い弁護士になるべくもっと精度の高い勘を養っていきたいところである。


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2013年08月06日

土屋アンナ舞台降板事件と知的財産権違反の警告

http://www.nikkansports.com/entertainment/news/p-et-tp0-20130806-1168788.html
 土屋アンナ(31)の初主演舞台「誓い〜奇跡のシンガー」が公演中止となった問題で、制作会社「タクト」が土屋に対して3000万円の損害賠償を求める民 事訴訟を東京地裁に起こすことが5日、分かった。「タクト」社長で演出家の甲斐智陽さんが「今週中に提出します」と明かした
 との報道があった。

http://anna-t.com/index.html
土屋アンナ氏側の言い分によると,
 原案の作者の方から「本件舞台の台本を見ていないうえ、承諾もしていない」という連絡があり、
不安に思い,出演を拒んだということらしい。

 制作会社が原案の作者の承諾なく,舞台化していたのであれば,公演は原案の作者の著作権侵害となる。
 その場合,同舞台に土屋アンナ氏が出演しないことは当然許されることであり,むしろ出演するわけにはいかないだろう。

 問題となるのは,原案の作者の承諾があったにもかかわらず,原案の作者が承諾をしていないと土屋アンナ氏に誤って述べていた場合である。


 似たような問題はよく起こる。
 B社が大手デパートと契約を結び,ある製品を大手デパートに大量に販売していた。
 ところが,その大手デパートに,A社から「B社の販売する製品は当社の特許権を侵害する製品であるので,販売を止めろ」という内容証明が届く。
 デパートがB社に確認すると,A社から特許権の実施の許諾を受けているといわれる。
 さてデパートはどうすべきなのか。販売を続けるべきか,販売を止めるべきか。
 デパート=土屋アンナ氏といった状況である。

 A社を信用して,B社との取引を止めるとB社に訴えられるかもしれない。
 B社を信用して,A社との取引を続けるとA社に訴えられるかもしれない。
 いずれかを判断せざるを得ないのだが,どちらを判断するにおいてもリスクはある。

 事前にそのような事態が生じた場合の対応について契約をしておけばリスクは減らせる。
 つまり事前に「知的財産権者から異議が出た場合には,その件が解決するまで販売(出演)を停止する」と契約を結んでおけば,取引を停止してもデパートはB社から訴えられることはないし,土屋アンナ氏は舞台に出演しなくても制作会社から訴えられる心配もない。

 しかし,大手デパートでもそんな契約はしていないし,ましてや芸能界の常識からしてそんな契約が交わされることは考えづらい。

 この訴訟はどうなるのであろうか。今後の進展を見守りたい。


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2013年07月22日

サルカニ合戦のカニを弁護した弁護士の話


  サルカニ合戦のカニは,雄弁で名高い某弁護士の弁護にもかかわらず,死刑になったそうである。
http://www.aozora.gr.jp/cards/000879/files/140_15196.html 

 いわれてみれば,至極当然である。いかにサルの態度が悪かろうが,復讐として殺してしまうことを正当化する法理論はない。
 そもそもサルがひどいといっても,サルはわざとカニをつぶしたわけではないのであろうから,復讐され殺されるべきほどひどいともいえない
(なお,最近はカニやサルは怪我をする程度で,サルは反省して平和に暮らすと改作されたものが多く出回っているようだが,カニはサルにつぶされ圧死し,サルは臼につぶされ圧死するというお話を前提としている)。

 
 その弁護士がふるっている。

 芥川氏によれば,
 蟹の弁護に立った,雄弁で名高い某弁護士も,裁判官の同情を乞うよりほかに,策の出づるところを知らなかったらしい。
 その弁護士は気の毒そうに,蟹の泡を拭ってやりながら,「あきらめ給え」と云ったそうである。
 もっともこの「あきらめ給え」は,死刑の宣告を下されたことをあきらめ給えと云ったのだか,弁護士に大金をとられたことをあきらめ給えと云ったのだか,それは誰にも決定出来ない。

とのことである。

 裁判官の同情を乞うよりほかに策のない案件に弁護士が直面する場合は多い。
 そんなときどうすれば良いのか皆悩むのが常であるが,泡を拭ってやりながら「あきらめ給え」と言うとは。。。


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