2015年10月02日

海洋堂のフィギュアは芸術か?〜応用美術と著作権

幼稚園生が書いた絵であっても「著作権」は認められる。著作権が成立するために,高度の芸術性は不要であるというのが通説だ。

ところが,「応用美術」=実用目的で製作された創作品については,「純粋美術」=専ら鑑賞目的で製作された創作品と異なる扱いを受ける。
「応用美術」については,「純粋美術と同視し得る程度の美的創作性を具備している」こと,いわば,芸術的でないと著作権が認められないとするのが一般の裁判例だ。

 例えば,大阪高裁平成17年7月20日判決
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/446/009446_hanrei.pdf
は,海洋堂のフィギュアについて,これを「実用目的」だとしたうえで,妖怪フィギュアについては相当程度の美術性を備えているとして著作物とした一方,動物フィギュアについては,美的創作性はないとして,著作物ではないとした。

さる.jpg

常々,この結論には疑問を持っていた。

古来日本では,「用の美」こそを尊んできた。襖絵にしても屏風絵にしても,日本美術の多くは,実用品であり,実用品であるからこそ「美」であるとしてきたのである。
にもかかわらず,実用品は著作物ではないとすれば,すべての日本美術が否定されることになりかねない。

また,裁判官が美的創作性を備えているなどと判断できるのであろうか。
「美」とは何かについては,古来より多くの哲人たちが頭を悩ませてきた結論の出ない問題である。
「美的」かどうかなど,どうやって判断してよいのか私にはわからない。

海洋堂のつくる猿に,どのような実用目的があるのか分からないし,十分に美的であると思うのは,自分一人ではないだろう。

知財高裁平成27年4月18日判決
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/044/085044_hanrei.pdf
は,この点につき画期的だ。
「茶の湯に用いられる茶碗などの茶碗は,実用品であるが・・・著作権法によって保護されることは明らかである。」
「応用美術が,量産される実用品に用いる目的で作成されることは,著作物として保護されるために特別な要件を課す根拠にはならない。」
として,
いす.jpg

椅子であっても,著作物であると判示した。

実に妥当な判決だと思う。


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posted by 内田清隆 at 10:37| Comment(0) | TrackBack(0) | 知的財産法

2015年08月17日

王陽明と訴訟

 私が敬愛する王陽明は,仕事が忙しくて勉強ができないと言うある裁判官に対してこう答えている。

 我何ぞ嘗て爾(なんじ)をして簿書訴獄を離了(はな)れて,懸空に去りて学を講め(きわめ)しめんや
 その応対の無状に因りて,この怒心を起すべからず。
 他(かれ)の言語の円転なるに因りてこの喜心を生ずべからず。
 自己の事務の煩冗なるに因りて,意に従いて荀旦(こうしょ)に之を断ずべからず。
 ただ此の心一毫も偏倚(へんい)有りて人の是非を曲げんとことを恐るるは,這れ(これ)便ち(すなわち)是れ格物致知なり(伝習録下巻・18条)

 (私がいつ,訴訟事件の処理を離れて勉強を極めなさいと言ったか。
  当事者の態度が悪いからと言って腹を立てるな。
  当事者がうまいことを言うからと言って喜ぶな。
  仕事が忙しいからと言っていい加減に処理するな。
  このように良心に偏りがなく,是非を誤らないようひたすら留意することこそが勉強である。)

  「仕事が忙しい!勉強する時間がない!」という言い訳は,古来から多くの人が言っているらしい。
 「それは言い訳だ。仕事を離れて勉強などない。誠実に仕事をすることこそが勉強だ!」と王陽明は言う。
 「事上磨練」にして「知行合一」,王陽明の言葉はいつも身に染みる。

  しかし思うのは,陽明がこのようなことをいうということは,
   当事者の態度が悪いと怒る裁判官
   当事者から気の利いたことを言われて喜ぶ裁判官
   仕事が忙しいからと言って手を抜く裁判官
 が昔はたくさんいたということだ。
  いや,今も変わらないのかもしれない。
  それは,弁護士でも同じことであろう。
  心しておきたい。

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posted by 内田清隆 at 10:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 弁護士雑感

2015年06月06日

懲罰的損害賠償の可否

昨今,日本弁護士連合会は,「抑止的付加金制度」という名称で,不法行為において,実際に生じた損害額以上の賠償金を被害者に支払うことを加害者に命ずる制度を検討している。
http://www.toben.or.jp/message/libra/pdf/2012_06/p02-19.pdf
http://www.nichibenren.or.jp/library/ja/jfba_info/organization/data/17th_keynote_report_11.pdf
これは名称は異なるが,米国で認められている懲罰的損害賠償と同様の制度である。米国では,3倍賠償と呼び,一定の悪質な不法行為に対しては,懲罰として実際に生じた損害額の3倍の金額の支払を命じている。

私は,かかる制度の導入に強く賛成したい。
理由は,「正しい人が損をしない」社会の実現に必要だからに尽きる。

「無断駐車した場合には罰金1万円を頂きます」というはり紙は法的には無効である。現在の法律では,基本的には,無断駐車に対しても,実際に生じた損害=妥当な駐車料金の賠償が可能なだけである。
1日1000円の駐車場に1日無断駐車された場合には,1000円の損害賠償しか請求できない。
つまり,無断駐車であっても,契約をして駐車する人と同じだけの駐車料金を払えばよいのであり,ばれなければ,1円も払わなくてよいのである。ばれてしまっても,ばれるまでに使用した時間分だけ通常の駐車料金を支払えば済む。これで,公平といえるであろうか。

私の関わった案件でこんなことがあった。
依頼者の商標権を侵害している製品が市場に出回っていることが判明した。少なくとも10個は販売されていた。
そこで,出処を突き詰め,相手方に賠償を求めたが,相手方は責任を否認した。
そのため,訴訟を提起し,ようやく勝訴した。

しかし,認められた賠償額は,製品10個分の妥当なライセンス料だけであった。10個分についてライセンス契約を結んだ場合と同じライセンス料に過ぎない。
しかも,相手方が販売した個数が10個というのは相当に疑わしいにもかかわらず,販売を証明できた10個分のライセンス料しか受け取れないのである。
苦労に苦労を重ねて裁判をしても,このような結果である。
これで,公平といえるのであろうか。


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posted by 内田清隆 at 23:36| Comment(0) | TrackBack(0) | 弁護士雑感

2015年04月04日

新しい商標受付開始

4月1日から音商標,動き商標,色彩のみからなる商標など,新しい商標の出願受け付けが始まった。

さっそく,特許庁も,特許情報プラットフォームという,新しい検索システムを設けて,音商標,動き商標なども検索できる体制を整えた。

今日,現在登録されている新しい商標は以下だけのようある。


うーん,音感の無い私にはわからない・・・
posted by 内田清隆 at 18:53| Comment(0) | TrackBack(0) | 知的財産法

2015年03月08日

「言葉のセクハラ」問題?〜最高裁平成27年2月26日判決

最高裁は,先月26日,部下の女性にセクハラ発言を繰り返した男性管理職を出勤停止とした懲戒処分の取消しを求める訴訟において,処分は妥当とする判決を出した。
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/883/084883_hanrei.pdf

東京新聞は,
「言葉のセクハラは大したことがないと考え,対策が遅れている企業には強い警鐘となるだろう」
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2015022702000157.html
という記事を出し,
読売新聞は
「言葉のセクハラ 厳格な処分を支持した最高裁」というタイトルで「言葉のセクハラを軽視する風潮は,一部に根強く残っているのも事実だろう。セクハラに対する意識改革をさらに進めたい。」
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/20150226-OYT1T50186.html
という記事を出しているが,なんとも違和感を覚えた。

降格及び出勤停止になった社員の一人は,1年間にわたり,部屋で二人きりの状態で
「結婚もせんでこんな所で何してんの。親泣くで。」
「30歳は,おばさんやで。」「もうお局さんやで。怖がられてるんちゃうん。」
「お給料足りんやろ。夜の仕事とかせえへんのか。時給いいで。したらええやん。」
などの発言を繰り返し,派遣社員を退職に追い込んだと認定されている。

これらの発言は「言葉のセクハラ」という問題以前に,悪意をもって部下が嫌がることを言い続けて部下を辞めさせたとしか思えない。これでは,懲戒処分とされても仕方がないであろう。

上記のような発言を密室で繰り返し退職に追い込むことは,普通に悪いことであり,言葉のセクハラだからといって軽視されるという問題ではないように思える。
「言葉のセクハラ」などという難しい問題ではなく,「部下に嫌がらせをしてはいけません」という当たり前のことであろう。

もっとも高等裁判所は,
被上告人らが従業員Aから明白な拒否の姿勢を示されておらず,本件各行為のような言動も同人から許されていると誤信していた
と認定し,悪意はなかったと判断している。

しかし,上記発言は,悪意に基づいていない,いわば「スキンシップ」とはとても思えない。
具体的事情が分からないので何ともいえないが,密室においてスキンシップとして「結婚もせんで何してんの。親泣くで。」「夜の仕事とかせえへんのか。」と言う状況は,私にはちょっと想像ができない。
関東の最高裁が大阪高裁の判決を引っ繰り返したわけで,もしかすると関西人の文化は関東人の私とは違うのであろうか・・・。


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posted by 内田清隆 at 21:28| Comment(0) | TrackBack(0) | 労働問題

2015年02月08日

財産開示手続の問題点

平成15年の民事執行法改正において,債権者の申立により債務者を法廷に呼び出し,保有する財産を開示させる制度,「財産開示制度」が創設された。

裁判で勝訴しても,相手方が任意に支払わない場合に,相手方の財産がどこにあるのか分からないと差押えすることもできず,判決書も紙切れ同様となってしまう。

それでは,司法手続の意味がないということで,債務者の財産を国家権力を行使して開示させ,金銭債権の強制執行の実効性をあげようとする制度だ。

しかし,ある統計によると開示される割合は3分の1に過ぎない。私自身も相当数財産開示の申立を行ったのだが,実効性には問題があると感じた。というのも罰則は最大で30万円の過料の制裁でしかない。過料の制裁に処してもらい,繰り返し申立を行い「開示しなければ永遠に過料の制裁が繰り返されますよ!」という気迫を見せることで支払を受けたこともある。しかし,財産開示申立にそれなりの弁護士費用もかかった。債権者の経済的利益だけを考えると,プラスになったともいえない状況であった。

同様の手続きについて,フランスでは検察官が金融機関から債務者の財産に関する情報の提供を受けられることになっており,米国やドイツでは債務者が出頭を拒否すると監獄に収監されることになり,財産開示は実効的になされている。

裁判で支払命令がでても現実には支払われないというのであれば,裁判をする意味もない。そのような状況が続けば,司法に対する信頼も揺らいでしまう。そう考えると財産開示手続の実効性の確保は重要な問題だ。

改正について議論はなされているのだが,なかなか前に進まない。
ベストの制度を考えるのは難しいところだが,もう少し実効性を高めることは容易な話だと思う。難しいことを考えずに,まずは変えてみる必要があると思うのだが・・・。


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posted by 内田清隆 at 21:37| Comment(0) | TrackBack(0) | 債権回収・管理

2014年12月07日

景品表示法の改正

景品表示法が改正され,本年12月1日以降,事業者には不当表示などを未然に防止するための措置をとることが義務付けられることになった。
11月14日にこれに合わせて,消費者庁も,不当景品類及び不当表示防止法第7条第2項の規定に基づく
「事業者が講ずべき景品類の提供及び表示の管理上の措置についての指針」
を公表した。
「中小企業者においては,その規模や業態等に応じて,不当表示等を未然に防止するために十分な措置を講じていれば,必ずしも大企業と同等の措置が求められる訳ではない。」と注意書きがなされているものの,事業者に求められているものはかなり厳しい。

 ・社内報,社内メールマガジン等において,景品表示法を含む法令の遵守に係る事業者の方針,自社の取り扱っている商品・役務と類似する景品表示法の違反事例等を掲載し,周知・啓発すること。
・ 関係従業員等が景品表示法に関する消費者団体等が主催する社外講習会等に参加すること,景品表示法に関する勉強会を定期的に開催すること。
といった「景品表示法の考え方の周知・啓発」をすることや,

・ 法令遵守の方針等を社内規程,行動規範等として定めること。
・ パンフレット,ウェブサイト,メールマガジン等の広報資料等に法令遵守に係る事業者の方針を記載すること。
といった「法令遵守の方針等の明確化」など,非常に多数のことが求められている。

 いずれも重要なことであろうが,きちんと対応しようとすると非常な労力が必要である。
 はたして,消費者庁などにこれらの対応状況について,きちんと監督する余裕があるのかという疑念を感じる。
 お題目だけ立派で,実質は放置され,非常な労力をかけて真面目に対応した会社が馬鹿を見るような結果にならなければいいのだが…。


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posted by 内田清隆 at 00:51| Comment(0) | TrackBack(0) | 商取引法

2014年11月26日

契約書のタイトルのもつ法的意味

契約書のタイトルをどうしたらいいかという相談をよく受ける。
「合意書がいい?それとも契約書?あるいは覚書とか念書がいい?」といった相談だ。

 結論からいえば,法的にはほとんどの場合どれでもいい。
契約書のタイトルが法的意味をもつことはほとんどないためだ。

 システム開発などにおいては,その契約が準委任契約であるか請負契約であるかについてもめることも少なくはない。
 しかし,「準委任契約書」と書いてあっても,本文の内容が請負契約となっていれば,それは法的には「請負契約」であり,逆もまた同様である。

 判断が微妙な場合,タイトルが意味を持つこともあり得なくはないが,圧倒的に重要なのは,当然のことながら中身である。

 逆にいえば,タイトルで油断してはいけないということである。
 「合意メモ」といった軽いタイトルであっても,中身によっては立派な契約であり,重い法的意味を持つかもしれない。
 「贈与契約書」といったタイトルであっても,中身が売買契約であれば,売買契約書であり,無料で何かをもらうつもりであったとしても,代金を払わなければいけなくなるかもしれない。

 ふさわしいタイトルを考えることに意味はあるが,その重要性は低い。
 それに頭を悩ませるくらいであれば,契約書の中身をよく読まないといけないということである。


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posted by 内田清隆 at 11:17| Comment(0) | TrackBack(0) | 契約書作成

2014年11月02日

足拭きマットで転倒したら損害賠償できる?

銀行の支店出入り口にあった足拭きマットが滑り転倒・負傷したとして,ある女性が銀行に損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決 が3月13日,東京高裁であった(判例時報2225号70頁)。 
東京高裁は,「マットが床の上を滑りやすい状態で設置されていた」として注意義務違反を認め,銀行に損害賠償を命じた。

床が特に滑りやすい材質であったわけでもなく,ごくわずかにマットの裏が濡れていたため起きた不幸な事故である。
また,その女性は,ショルダーバッグを肩に下げ,両手に荷物を持ったバランスの悪い状況であった。
それでも,そのようなお客さんが来ることは予想できるし,わずかでもマットの裏が濡れていなければ,転倒は生じなかったとして,銀行の責任を裁判所は認めたところである。

なかなか厳しい判断である。

同裁判例の考え方からすれば,「滑りやすいです!ご注意を!」の看板を付けたとしても,責任は逃れられないだろう。過失相殺によって減額されやすくなるだけである。

前にワシントンに住む友人から,アメリカでは転倒事故で損害賠償請求されるのを恐れるため,少しの雪でも会社が休みになるという話を聞いたことがある。
日本もそのような社会になっていくのかもしれない。


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posted by 内田清隆 at 00:44| Comment(0) | TrackBack(0) | 商取引法

2014年09月22日

契約書に著作権はあるの?

先日,契約書には基本的に著作権はないという投稿をした。
http://uchida-houritsu.sblo.jp/article/92790905.html

契約書に附帯する約款・規約なども同様に考えてよいはずである。

しかし,東京高等裁判所平成26年7月30日判決では,規約に著作物性を認めている。
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/445/084445_hanrei.pdf

 東京高裁も,基本的には規約においては,「著作物性は否定される場合が多い」としながらも,「全体として作者の個性が表れているような特別な場合」には著作物性が認められるとした。そこまでは,異論はないだろう。

問題は,そのあてはめである。
東京高裁は,
原告規約文言は,疑義が生じないよう同一の事項を多面的な角度から繰り返し記述するなどしている点(例えば,腐食や損壊の場合に保証できないことがあることを重ねて規定した箇所がみられる原告規約文言4と同7,浸水の場合には有償修理となることを重ねて規定した箇所が見られる原告規約文言5の1の部分と同54,修理に当たっては時計の誤差を日差±15秒以内を基準とするが,±15秒以内にならない場合もあり,その場合も責任を負わないことについて重ねて規定した箇所がみられる原告規約文言17と同44など)
を指摘し,同規約は全体として作者の個性が表れているとして,著作権法の保護の対象としたのである。

規約本文が見られないのでなんともいえないが,規約において,同じことを重ねて記述することは珍しいことではないだろう。にもかかわらず,それだけで「全体として作者の個性が表れている」というのには違和感を感じる。

判決文を見る限り,長文の規約をほとんどデッドコピーしたという事案のようである。
規約には,基本的に著作権はないとしても,長文のものをデッドコピーすることは,相当にリスクがあると考えた方がよいのかもしれない。


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posted by 内田清隆 at 16:47| Comment(0) | TrackBack(0) | 契約書作成

2014年09月03日

アセアン諸国の模倣品対策と特許権侵害の刑事告訴

 先日,ジェトロ金沢https://www.jetro.go.jp/jetro/japan/kanazawa/で,別の弁護士と共に「海外ビジネスに取り組む際の留意点」という内容のセミナーを行わせていただいた。
 その際にうかがったジェトロ知的財産課アドバイザーによる東南アジアにおける模倣品対策のお話が,具体的な実例も多く大変興味深かった。

 各国の税関における水際対策の概要については,
インドネシア:水際対策前に訴訟が必要か「未決定」
マレーシア :水際対策前の訴訟は著作権の場合は不要と「解される」
という非常に曖昧なものであった。

 詳しく話を聞いてみると,法律は存在しても,上記両国では水際対策は実際には機能していない状況であるため,実際どのように運用されるのかよく分からないという話であった。
 そのお話を聞き,アセアン諸国は法律整備が遅れていることを改めて感じた。

 しかし,考えてみれば,日本でも似たような状況はある。
 あるデータによれば,特許権侵害を刑事事件として,検挙した件数は平成25年において全国で1件しかない。
 特許権侵害について刑事罰を定める法律は存在しても,実際には機能していない状態であるといえよう。
http://www.npa.go.jp/safetylife/seikeikan/niseburando.pdf#search=%27%E8%AD%A6%E5%AF%9F+%E7%9F%A5%E7%9A%84%E8%B2%A1%E7%94%A3%27 4頁

 そう思うと,当然のことながら,「法律の内容」だけでなく「実際の運用」を知らないと適切な判断はできないことを改めて感じた。
 ついつい弁護士は,「法律はこうなっている」という点ばかりに目を向けてしまいがちだが,実際問題としてどこまで効果的なのかという視点を忘れないようにしたい。


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posted by 内田清隆 at 23:16| Comment(0) | TrackBack(0) | 知的財産法

2014年07月24日

自分の会社名が商標登録されている!〜商標の先使用権

最近,長年使っている会社名が,別の会社によって商標登録されてしまったことが分かった。
 そして,その別の会社から,その商標の利用を差し止めるよう請求された。
 しかし,長年使っている会社名がついた商品から,会社名をはずさなければいけないのだろうか。

 商標法32条により,誰かに商標登録される前から使用している商標は,誰かが商標登録したとしても使用を続けることが可能だ。
 しかし,これには重要な要件がある。
 その要件は,その商標が,「需要者の間に広く認識」されていること
(周知性),つまり有名である必要があるというものだ。
 
 この周知性の要件は,なかなか厳しい。
 全国的に有名である必要はないとされている。
 しかし,2,3の市町村で知られている程度ではダメで,少なくとも複数の県で知られている程度は必要と考えられている。
 もちろん,知る人ぞ知るというレベルでは足りず,それなりの人が知っている必要がある。
 
「会社名は登記されているのだから,自由に使えるのでは?」と考えられるかもしれない。
 しかし,登記されている会社名を名刺に記載するのは自由であっても,「商標として」使用することはできなくなる。

 会社名が商標として使えなくなると,パッケージの変更,広告の変更,看板の変更などを余儀なくされることになり,その損害は大きい。

 そう考えると,会社名,商店名を付ける前に,事前に商標登録されていないかをきちんとチェックしておくべきである。
 また,登録されていないのであれば,登録するようにすべきであろう。


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2014年07月07日

秘密保持契約(NDA)と違約金条項

秘密保持契約書は,多くの企業間で,頻繁にやりとりされている。
 そのため,ないがしろにされていることも多いのであるが,いうまでもなく重要な契約である。

 秘密保持契約違反に関する事件に関わり,いつも悩ましく思うのは,損害額の証明である。
 
 秘密保持契約に違反し,秘密が漏洩されたとしても,直接的に損害を受ける場合は少ない。
 漏洩された秘密がどのように利用されたかについては,調べようもないことが通常であり,どのような損害が生じたのか分からないというのがその理由の一つである。 
 また,ゴキブリが一匹見つかれば百匹いると考えるべきであり,一件秘密が漏洩されたことが発覚すれば,その他にも多数の秘密が漏洩されていることが普通である。しかし,それらについても調べようがないのがもう一つの理由である。
 
 そのため,秘密保持契約において,違約金についての条項を入れておくべきだと思うことはしばしばであるが,これがなかなか難しい。
 「秘密保持義務違反があった場合には,甲は,乙に,違約金として,●●●万円を支払うものとする」
といった条項は,生々しすぎて入れづらいことが多い。
 また,秘密保持義務違反といっても,様々なバリエーションが考えられるところであり,最低の違約金を定めるのも難しいという理由もある。

 しかしながら,秘密保持契約に違反しても,損害が証明できず,ごく少額の損害賠償しか受けられないことは少なくない。
 少なくとも,重要な秘密を開示する場合には,入れづらくても違約金の定めをしておくことが重要であろう。


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2014年06月14日

中山信弘先生のご講演

先週の土曜日に「著作権法」などの著作で有名な知的財産法の大家,中山信弘先生のご講演を拝聴した。

極めて分かりやすくかつ熱意あふれる講演で,とても感銘を受けた。

特に印象的だったのは,どうせ権利濫用で切ればいいのだからフェアユース規定など必要ないと思っていたのだが,そうではないという話であった。

グーグルは法的にグレーな行為を行い続け,多数の訴訟を抱えながらも,自らが正義と思う行動を行い,訴訟で勝ち続けることで,現在の地位を築いた。
日本企業も,グレーな行為を避けるばかりでなく,大胆な挑戦を続けていかなければ,今後日本はダメになる。
そのために著作権法が足かせになるようなことだけはあってはならない。
フェアーとされる行為は許されることを法律上,明らかにしなければ,企業を委縮させ,著作権法が足かせになる恐れがある。
そのようなお話であった。

我々弁護士も「法的にグレーだからやめておいた方がいいよ」などと安易なアドバイスをしがちである。
しかし,きちんとリスクを判断し伝えながらも,正義であると思ったことは積極的に勧められるような,大胆で挑戦的な弁護士になりたいものである。
70歳にお近いと伺った中山信弘先生が日本を変えようとする熱意にあふれているお姿を拝見し,40歳になったばかりの自分が挑戦心を失うわけにはいかない。
そう強く感じさせる講演であった。


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2014年05月07日

話の下手な弁護士〜「対決」から書面中心の「口頭弁論」 

 テレビドラマの影響によるものだと思われるが,「弁護士=話が上手」というイメージが強いようだ。しかし,実際は意外に弁護士は話が下手なのである。

 裁判,特に民事訴訟では,ほとんどが「書面主義」である。
 「口頭弁論」期日と呼ばれ,建前としては,口頭で議論を戦わせる場とされているにもかかわらず,現実には,「本日提出した書面の通りです」とだけ述べ,「口頭弁論」は書面を交換するだけで5分で終わる場となり下がっている。
 そのため,私も含めて多くの弁護士は,実は,書面を書くのは上手であるが,話は上手でもないのである(もちろん,話が上手な弁護士も多いが,それは,裁判で上手になったものではない。)。

 しかし,どうも,これは昔からそうであるようだ。

26.5.7 ブログ.jpg

 先日読んだ「日本人と裁判」という本によると,鎌倉時代から,日本の裁判は書面審理が中心の何年もかかる手続きであった。
 そして「対決」と呼ばれた口頭で議論を交わす場は,書面審理の補助としてだけ運用されていたそうだ。
 今の日本の裁判とあまり変わりがない。

  私も,法廷で堂々と弁論するテレビでみる弁護士に憧れていたところもあり,「口頭弁論」が「書面の通りです」という場になっていることに納得がいかないでいた。
 しかし,考えてみれば,口頭より書面の方が「あれを言い忘れた」というミスを防げるし,後から振り返って何が議論されたか正確に分かるといったメリットも多い。
 書面による議論と口頭による議論のバランスが大事なのであろう。

 とはいえ,文書を書くのは上手だが,話は下手というのでは,弁護士としての魅力に欠ける。
 裁判が書面主義であっても,堂々と口頭で意見を述べる能力は磨きたいものだ。


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