非常に難しい問題だ。
商標法
もちろん、有名商品の登録商標を、商標的に使用すれば、すなわち、商品の出所を表示するために用いれば、当然に商標法違反である。
まずは、商標を写さないように、あるいは写すとしても意匠的効果や装飾的効果だけをもたらすようにして商標的に使用しないことは当然必要である。
パブリシティ権
では、商標的に使用しなければ大丈夫なのであろうか。
物のパブリシティ権侵害http://uchida-houritsu.sblo.jp/article/78754293.htmlについては、最高裁が明確に否定しており、一般論としては、心配する必要はないであろう。
もっとも、過去には認めていた裁判例も多数あり、最高裁がパブリシティ権侵害になるといったような、専ら他社商品の有する顧客吸引力の利用を目的とした場合まで不法行為が成立しないのかは明確ではない。
ただ、他人の商品を利用して、そのような広告を作ることは常識的には考えられないであろう。
意匠権・著作権
意匠権については、類似形状商品の製造・販売等が禁止されるだけであるので、意匠登録されている商品を使用しても意匠権侵害にはならない。
では著作権はどうであろうか。
工業製品については、原則として意匠権で保護されるべきものであるため、著作権が認められないとするのが一般の裁判例ではある。
そう考えれば、著作権侵害も心配することはないことになる。
しかし、工業製品であっても創作性があれば美術の著作物にあたるとする知財高裁の裁判例http://uchida-houritsu.sblo.jp/article/164829131.htmlも存在する。その考えによれば、特別な形をした商品の広告利用は、著作物の複製として著作権侵害にあたることにもなり得る。
そのような場合、いわゆる写り込み(著作権法30条の2)として許容されないかが問題となる。
しかし、写り込みは@著作物の利用により利益を得る目的A分離の困難性B著作物が果たす役割などから正当な範囲内といえる場合にだけ許容されるものである。
広告においては、@有名商品を利用して利益を得る目的は明らかであるうえ、A意図的に有名商品を利用しているのであるから分離は極めて容易であり、写り込みとして許容されづらい。
そうなると、個人的には、著作権侵害という結論はあり得ないと思うが、著作権侵害が成立するかについては、学説・裁判例を注視する必要があり、簡単には判断できないというのが妥当な結論なのかもしれない。
不正競争防止法
不正競争防止法2条1項1号により、広く認識されている他人の商品等表示を使用し、他人の営業との混同を生じさせる行為は、違法となる。
一般論としては、他社の商品を広告に利用しても、営業の混同が生じることはないため、不正競争防止法違反にはならないといえるであろう。
しかし、使用方法によっては、誤解が生じることはあり得るため、注意が必要なことは確かだ。
(他人の著名な商品等表示を「自己の商品等表示として」使用すれば同2号の問題になるが、広告では普通、そんなことはない。)
他にも一般不法行為の成立も検討が必要かもしれない。
知的財産権の問題は得てしてそうだが、多数の法律が問題になる上、明確な回答がない場合が少なくない。
明確な回答がなければ委縮効果をもたらし、表現の自由が侵害されることになる。
積極的に立法で解決していくことが重要であろう。
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