下請法は,
利用方法に限界がある法律ではあるが,
親事業者にとって恐怖になる法律でもある。 それを考えると,下請法とは,まず第一に,交渉で「下請法違反で訴えるぞ!」と暗に伝えるという
伝家の宝刀として利用されるべき法律であろう。
しかし,もちろん下請法は,伝家の宝刀としてしか利用できないというものではない。
取引を継続する場合 下請法に限界がある理由は,今後も取引を継続をしたい親事業者に対しては,なかなか文句が言えないためだ。
しかし,下請法違反の申告は匿名で行うこともできるし,匿名を希望すれば公正取引委員会は申告した下請事業者が誰であるか親事業者に分からないように手続きを進めてくれる。
そこで,明らかな下請法違反があるが,親事業者にはどうしても文句を言えないという場合には,匿名の申告が有効になる場合がある。
匿名で行政を動かすのは容易ではない。
しかし,行政がすぐに動くことが期待できる場合−下請法違反が明らかな証拠がそろっており,それによる実損害額が相当額に及ぶ場合ーであれば匿名の申告も有効になる。
取引を継続しない場合 今後,親事業者と取引を行う予定がないのであれば,親事業者のきげんをうかがう必要はない。下請法の存分な利用が可能だ。
主な利用方法は3つ,公正取引委員会への申告,下請法ADRの活用,訴訟手続きでの利用である。
公取への申告 取引を継続しない場合であれば,公正取引委員会への申告もしやすくなる。
特に,下請代金の不当減額,下請代金の不当な支払拒絶などの場合には,公正取引委員会は,積極的に親事業者に行政指導を行う。
一方で,親事業者者としては処分を受けないためにあるいは軽くするために,自主的に下請代金を支払うという場合も多い。
申告により親事業者が厳しい処分を受けたとしても下請事業者としては意味がない。しかし,申告をするだけで,親事業者が拒絶していた下請代金を支払うことになれば,これほど意味のある手続きもない。
ADR 中小企業庁の委託事業として「下請かけこみ寺」では,下請法ADRと呼ばれる下請法違反に関する調停手続きを主催している。
http://www.zenkyo.or.jp/kakekomi/pdf/tebiki.pdf 要するに下請法違反については公機関における話合いができる環境が整備されているわけだ。
調停という話合い手続には,間に入ってくれる人間次第で使える手続きにも全然使えない手続きにもなりうるというデメリットはあるであろう。
また,公正取引委員会への申告とは異なり匿名ではできず,相手方に身分を隠して行うことはできないというデメリットもある。
しかし,
@訴訟手続きと異なり非公開で迅速に行われる
A十分な証拠がなかったり言い分が対立していたりして公正取引委員会が動くことが期待できない場合でも利用できる
というメリットがある。
ケースバイケースだが,ADRという公的な話合いの手続きも有効である場合も少なくないだろう。
訴訟手続き 下請法違反が問題となる事件では,勝訴すれば,遅延利息は,年14.6パーセントになる。
訴訟は,被告の対応により著しく長期化する場合もあるが,2年も訴訟をしていると利息だけ30パーセント近くになる。
これが親事業者に与えるプレッシャーは大きいだろう。
遅延利息以外について,あまり下請法違反の主張は,訴訟においてされてこなかった。
というのも,例えば,不当な下請代金の支払拒絶や不当な受領拒否などは,下請法がなくても民法上も当然に不当な行為であるため,あえて民法以外に下請法を持ち出す意味がなかったのである。
しかしながら,これからは訴訟においても,下請法はもっと活用できると思っている。それこそが我々弁護士の腕の見せ所であろう。
↓他の弁護士の見解は↓
人気ブログランキングへ