2017年08月16日

海外取引における管轄の決め方

海外企業との契約において、管轄をどこにするのかでもめることは多い。
日本企業は日本に、海外企業は自国に、管轄を設定しようとして争いになりがちだ。

しかし、本当に日本に管轄をもってくることが有利なのかはよく考える必要がある。

日本と中国会社の取引を例にとって考えてみよう。

日本に管轄を決めた場合には日本で裁判をすることになる。そこで勝訴判決を得たとしよう。
その場合でも中国会社の資産が日本にない場合には、日本の強制執行手続では債権を回収できない。
債権を回収するためには、中国で強制執行手続をとる必要がある。

しかしである。
日本の裁判所の判決は、中国(中華人民共和国)では承認を受けることができないというのが通説だ。
そうなると、日本でとった勝訴判決は中国では使えない。そして,中国で強制執行をするには新たに中国の裁判所で勝訴判決を得る必要があるということになる。
ところが管轄を日本と決めてしまうと中国で裁判をすることはできない。
その結果,法的手続では中国会社から債権回収が不可能という結果になってしまうのだ。

日本に管轄があった方が有利だと単純に考えられないわかりやすい事例である。

そう思うと、被告地主義、つまり訴える側が訴えられる側の国に行って訴訟を提起しなければならないとすることは合理的な選択の一つだ。
相手方会社の所在国に相手方の資産がないことはないし、相手方所在国でとった勝訴判決がその国の強制執行手続きに使えないはずもない。

また、日本の仲裁裁判所を管轄としておけば安心でもある。
仲裁条約によって、日本の仲裁判断はほとんどの国で承認される。

いずれにせよ、承認の可否、資産の所在地、取引の規模、紛争の可能性など諸般の事情を考慮して管轄を決めることが重要だ。


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2017年06月19日

法律は年利6%

明治時代から大きく改正されることがなかった商法が平成7年にようやく改正された。
同改正により、手代や番頭といった用語は支配人に変えられた。
また,商法はカタカナ交じりの文語文が残っている数少ない法律だ。

商人カ其営業ノ範囲内ニ於テ寄託ヲ受ケタルトキハ報酬ヲ受ケサルトキト雖モ善良ナル管理者ノ注意ヲ為スコトヲ要ス

といった,濁点のないカタカナ交じり文が今も現役だ。しかしその点も,近く改められる予定と聞いている。

 明治以来一度も変わっておらず,かなり現実とかい離していると思われるのが商事法定利率の年6%だ。

第五百十四条  商行為によって生じた債務に関しては、法定利率は、年六分とする。

この条文により,特に約束がなかった場合、商売により発生した債権,例えば売買代金や請負代金は年6%も利息がつく。
低金利時代の現代においては極めて高い利率だ。

何年も続く裁判では,利息がものすごく膨らむことも多い。元金が1000万円の場合,4年経てば利息は6%×4年×1000万円≒約250万円にまで膨らむ。
そのため,ゆっくり寝かせて(利息分を膨らませて)請求されると,恐ろしいことになってしまう。

もっとも現在民法改正にあわせて,この利息も世の中の一般的な利率にあわせて変動するものに変えられる予定だ。
理論的にはそれが妥当だろう。

もっとも,弁護士的には計算が面倒になりそうな点が心配だ。


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2016年09月14日

事業引継ぎ 〜90歳から?40歳から?〜

最近,事業引継ぎに関する案件が増えている。

親族に引継ぐ場合,従業員に引継ぐ場合,第三者に引き継ぐ相手は様々である。
株式譲渡,事業譲渡,合併・会社分割等の組織再編など方法も様々である。
引継ぎといっても,相続の問題,債務の整理,税金の処理など,様々な問題が絡む。
このように,なかなか複雑であるため,「準備は早いに越したことはない。」とよくいわれる。

以前,一代で相当の会社をつくられた90歳の経営者から事業引継ぎの相談を受けた。
息子に事業を引き継ぎたいということであったが,息子は,すでに70歳。
息子と娘婿が会社に入っていたのだが,その息子,娘,さらには嫁いだ娘までもがでてきて,三つ巴の言い争いとなり,手続きは困難を極めた。
90歳にして,しっかりと自分の意見をもち,力強く手続きを進める経営者の態度には感服したが,それでも判断能力は歳相応に衰えており,それがたびたび混乱を招いた。
どうしてもっと早く準備できなかったのか・・・,そんなことを思った。

一方で,ある40歳の経営者から事業引継ぎの相談を受けたこともある。
「自分もいつ何があるかわからないから,今のうちから考えておきたい」ということであった。
息子に事業を引き継ぎたいということであったが,息子は,なんとまだ5歳。
40歳にして,自己が衰えた場合のことを考え,手続きを進めようとする経営者の態度には感服したが,それにしても気が早い。
どうしてそんなに早く準備するのか・・・,そんなことを思った。

遅れれば上手くいかず,早すぎても無駄になる。
とかく,この世は難しい。


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2014年12月07日

景品表示法の改正

景品表示法が改正され,本年12月1日以降,事業者には不当表示などを未然に防止するための措置をとることが義務付けられることになった。
11月14日にこれに合わせて,消費者庁も,不当景品類及び不当表示防止法第7条第2項の規定に基づく
「事業者が講ずべき景品類の提供及び表示の管理上の措置についての指針」
を公表した。
「中小企業者においては,その規模や業態等に応じて,不当表示等を未然に防止するために十分な措置を講じていれば,必ずしも大企業と同等の措置が求められる訳ではない。」と注意書きがなされているものの,事業者に求められているものはかなり厳しい。

 ・社内報,社内メールマガジン等において,景品表示法を含む法令の遵守に係る事業者の方針,自社の取り扱っている商品・役務と類似する景品表示法の違反事例等を掲載し,周知・啓発すること。
・ 関係従業員等が景品表示法に関する消費者団体等が主催する社外講習会等に参加すること,景品表示法に関する勉強会を定期的に開催すること。
といった「景品表示法の考え方の周知・啓発」をすることや,

・ 法令遵守の方針等を社内規程,行動規範等として定めること。
・ パンフレット,ウェブサイト,メールマガジン等の広報資料等に法令遵守に係る事業者の方針を記載すること。
といった「法令遵守の方針等の明確化」など,非常に多数のことが求められている。

 いずれも重要なことであろうが,きちんと対応しようとすると非常な労力が必要である。
 はたして,消費者庁などにこれらの対応状況について,きちんと監督する余裕があるのかという疑念を感じる。
 お題目だけ立派で,実質は放置され,非常な労力をかけて真面目に対応した会社が馬鹿を見るような結果にならなければいいのだが…。


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2014年11月02日

足拭きマットで転倒したら損害賠償できる?

銀行の支店出入り口にあった足拭きマットが滑り転倒・負傷したとして,ある女性が銀行に損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決 が3月13日,東京高裁であった(判例時報2225号70頁)。 
東京高裁は,「マットが床の上を滑りやすい状態で設置されていた」として注意義務違反を認め,銀行に損害賠償を命じた。

床が特に滑りやすい材質であったわけでもなく,ごくわずかにマットの裏が濡れていたため起きた不幸な事故である。
また,その女性は,ショルダーバッグを肩に下げ,両手に荷物を持ったバランスの悪い状況であった。
それでも,そのようなお客さんが来ることは予想できるし,わずかでもマットの裏が濡れていなければ,転倒は生じなかったとして,銀行の責任を裁判所は認めたところである。

なかなか厳しい判断である。

同裁判例の考え方からすれば,「滑りやすいです!ご注意を!」の看板を付けたとしても,責任は逃れられないだろう。過失相殺によって減額されやすくなるだけである。

前にワシントンに住む友人から,アメリカでは転倒事故で損害賠償請求されるのを恐れるため,少しの雪でも会社が休みになるという話を聞いたことがある。
日本もそのような社会になっていくのかもしれない。


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2013年06月10日

活発化し続ける下請法

 公正取引委員会の発表によると,2012年度に下請法違反で事業者を指導した件数は,過去最高になり,下請業者に返還された金額も過去最高になったとのことである。
http://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/h25/may/130522.files/130522.pdf

 公正取引委員会の山本和史事務総長は,記者会見で「長引く不況を背景に,下請け業者にしわ寄せが来たのではないか。」と分析したそうである。
 しかし,過去5年間の下請法違反の指導件数は,年間2949件から年間4550件へ右肩上がりに増加しており,感覚的には,そこまで,下請けいじめが増加しているとは思えない。

 そう思うと,増加の一つの理由は,公正取引委員会が下請法違反に対する監視の目を強め続けていることにあろう。
 また,もう一つの理由として,下請法についての知識が広まり,下請業者から違反に対する通告などが増えたとういこともあるのかもしれない。

 いずれにしても,元請としては,下請法違反に今まで以上に気を付ける必要があるし,下請としては,下請法違反について公正取引委員会が積極的に行動してくれることを期待してもよさそうである。


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2012年11月18日

少数派株主の追い出し(キャッシュ・アウト)の新たな制度

以前,無償で行う少数派株主の追い出しとして,全部取得条項付株式を利用する方法を説明したが,http://uchida-houritsu.sblo.jp/article/53322657.html
会社法改正により,新たな少数派株主の追い出し(キャッシュ・アウト)「特別支配株主の株式等売渡請求」という制度ができる予定だ。

法務省の中間試案http://www.moj.go.jp/content/000082647.pdfによれば,議決権の90パーセント以上を有する大株主が,少数株主に対して,「あなたの持っている株式を○円で買い取ります」と通知すれば,少数株主が同意をしなくても,強制的に株式を取得することが可能となる。
取締役会の承認は必要であるが,株主総会を開く必要はなく,時間的・手続的コストの低減が期待されている。

現状でも,議決権の3分の2以上を有する株主であれば,全部取得条項付種類株式を用いることにより,少数株主の株式を強制的に取得できるのであるから,同じようなものではある。
しかし,全部取得条項付種類株式を用いた少数派株主の追い出しは,実質はともかく建て前は会社の行為として行われるが,新しい制度では,真正面から大株主は少数派株主に対して「お前の株式を俺にこの金額でよこせ!」という要求をできるということを認めるものである。
そう思うと,理論的には,実に新しい制度だ。



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2012年10月28日

アマゾン・キンドル (Amazon Kindle)と独占禁止法

Amazon.comが製造・販売する電子ブックリーダーアマゾン・キンドル (Amazon Kindle) 向けの電子書籍ストア「Kindleストア」が10月25日にオープンし,5万冊以上の日本語書籍の売り出しが開始された。

一般に,小売店における再販売価格を拘束することは,独占禁止法違反になるが,書籍については「著作物再販適用除外制度」が設けられており,出版社が本の価格を決定し,本屋が定価販売を余儀なくされたとしても,独占禁止法違反にはならない。
ところが,公正取引委員会は,電子書籍については「著作物再販適用除外制度」は適用されないという見解を示している。                        
参照 よくある質問コーナー(独占禁止法関係)Q14 
http://www.jftc.go.jp/dk/qa/index.html

そうすると,「Kindleストア」を通じて出版社が電子書籍を販売する場合には,出版社による価格拘束は許されないことになりそうだ。そうなれば,「電子書籍はとても安くなるのでは!」と期待される。

もっとも,委託販売の形式をとるかもしれない。その場合,Amazonは単なる取次に過ぎず,実質的に出版社が販売していると認められれば,出版社が価格を指示しAmazonがそれに従うという形式をとっても違法にはならない。そのような方法で,定価販売が続く可能性も高い。

しかし,流通・取引慣行に関する独占禁止法上の指針
http://www.jftc.go.jp/dk/ryutsutorihiki.html
によれば,実質的に出版社が販売していると認められるには,
委託販売の場合であって、受託者は、受託商品の保管、代金回収等についての善良な管理者としての注意義務の範囲を超えて商品が滅失・毀損した場合や商品が売れ残った場合の危険負担を負うことはないなど、当該取引が委託者の危険負担と計算において行われている場合
に該当する必要がある。

しかし,電子書籍という商品が滅失・毀損することはあり得ないし,売れ残りということも実質的には考えられない。そうなると,どのような場合であれば,独占禁止法違反になるのかは予測困難だ。

電子書籍のような形のないものの委託販売は増えており,同様の問題で,私自身も判断に迷ったことも少なくはない。早く明確な基準が作られる必要がありそうだ。

本好きとしては,電子書籍になって価格が下がることは歓迎であるものの,価格の低下により良書が出版されなくなることはあってほしくないと思う。



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2012年09月22日

私有地上の放置自動車

 「私有地に,誰かが自動車を放置していった。持ち主を探したが見つからない。勝手に処分してしまっていいか?」といった相談を受けることがある。
 
 実に困った問題だ。

 法律的には,公示催告の申立てを行い,民事訴訟を提起し,強制執行を行うことになる。津波で流れてきた自動車であれば行政に処分させることもできるが,私有地に放置された自動車の場合,行政にお願いしても何もしてくれない。基本的には自分で何とかするしかない (ただし警察の協力を受けられる場合もある) 。かなりの時間と費用を必要とする何とも大変な問題だ。

 最高裁の平成2 1年 3月 10日の判決は,そのような場合,所有権留保が設定されている(自動車ローンが払い終ってなく,所有者がローン会社となっている)場合,条件つきではあるがローン会社に,放置自動車の引き取り義務があると判示した。
 これは非常に使える判決だ。実際の使用者を見つけることは困難きわまりないのが通常だが、ローン会社であれば簡単に見つけられるからだ。

 あとは放置自動車のローンが払い終っていないことを折るだけだ。


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2012年07月11日

商法594条・595条〜ホテルで預けた品が盗まれたら?


商法594条により,ホテル,飲食店,サウナなどに客が物を預けたときに,その物が紛失したり壊れたりした場合には,ホテル等側は,不可抗力であることを証明しない限り,損害賠償責任を逃れられない。

裁判例では,ホテルの主人が盗難防止設備を設けていたにもかかわらず,暴力をもって侵入して客の物品を盗んでいった場合には不可抗力にあたるとしている。そのような特別な場合でなければ,ホテル等側が責任をもつということだ。

ただし,商法595条により,高価品については,客がホテル等に高価品であることを伝えて預けていないと,ホテル等側に重過失(注意をはなはだしく欠くこと)があった場合でないと責任を問えなくなる。

裁判例でも,最終的にはホテル側の重過失が認められたものの,約3000万円の宝飾品が入ったバッグを預けそれが盗まれたという事案で,客がホテルに高価品であることを伝えていなかったことが問題になったというものがある。当然のことながら,高価品を預ける際には,預ける先によく注意をうながすことが大切だ(そもそも3000万円の宝飾品を預けるというのもすごいことだが…)。

なお,商法594条3項により,ホテル等側は,「当ホテルでは預かり品の盗難・紛失については一切責任追いません」などの表示をしていても,責任を逃れることはできない。

裁判例でも,ホテル利用者がホテル従業員の指示によりホテル玄関前に駐車しホテルフロント従業員に車両の鍵を預けていたところ車両が盗まれた場合に,「駐車場での盗難については当ホテルは一切の責任を負いません」などの「免責の告示」を掲示してあったとしても,これにより本件自動車の盗難について免責を主張することはできないとされている(大阪地裁・平成12年9月28日)。

上記3000万円の宝飾品が盗難された例についても,宿泊約款には預かり品については,「予め種類や価額の明示がなかった場合には15万円を賠償上限とします」と書いてあったにもかかわらず,ホテル側は責任を負わされている。

ホテル,飲食店など人が集まる施設の経営者は,「張り紙をしてあるから安心」「約款に書いてあるから安心」などと油断していると,大きな責任を負わされるかもしれない。

高価品を預かることがありうる商売をする際には,きちんと保険に入るなど,適切な対応をしておかないといけない。

 
第五百九十四条  旅店、飲食店、浴場其他客ノ来集ヲ目的トスル場屋ノ主人ハ客ヨリ寄託ヲ受ケタル物品ノ滅失又ハ毀損ニ付キ其不可抗力ニ因リタルコトヲ証明スルニ非サレハ損害賠償ノ責ヲ免ルルコトヲ得ス
2 客カ特ニ寄託セサル物品ト雖モ場屋中ニ携帯シタル物品カ場屋ノ主人又ハ其使用人ノ不注意ニ因リテ滅失又ハ毀損シタルトキハ場屋ノ主人ハ損害賠償ノ責ニ任ス
3 客ノ携帯品ニ付キ責任ヲ負ハサル旨ヲ告示シタルトキト雖モ場屋ノ主人ハ前二項ノ責任ヲ免ルルコトヲ得ス
第五百九十五条  貨幣、有価証券其他ノ高価品ニ付テハ客カ其種類及ヒ価額ヲ明告シテ之ヲ前条ノ場屋ノ主人ニ寄託シタルニ非サレハ其場屋ノ主人ハ其物品ノ滅失又ハ毀損ニ因リテ生シタル損害ヲ賠償スル責ニ任セス


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2012年06月14日

比較広告の限界

 「当法律事務所は北陸一丁寧なサービスを提供します。●●法律事務所の半分の価格で倍丁寧なサービスを提供します。」
 
 こんな広告,いわゆる比較広告は許されるのであろうか。
 
 たまに「今までにない美味しさ(当社比)といった広告を目にするため,比較広告は許されていないと考える人も多い。

 しかし,比較広告は原則許されているのである。

 ただし,公正取引委員会の比較広告ガイドラインによれば,守るべきポイントは
 @ 比較広告で主張する内容が客観的に実証されていること
 A 実証されている数値や事実を正確かつ適正に引用すること
 B 比較の方法が公正であること

 の3つである。

 ABは嘘やズルはがダメであるということで当然のことだ。
 
 「近時における権威ある調査のによれば,調査結果によれば,100人中60人がA商品よりB商品の方が使い心地がよいと言った。」という広告において,実際には,自社で行った調査であったり,相当以前に行った調査であったような場合には,Aに反して不当表示となる。
 携帯電話通信業者が店頭チラシの料金比較で,自社が最も安いように表示したが,実は自社に不利となる割引サービスを除外して比較していたといった比較は,不公正なものであり,Bに反して許されない。
(参考・消費者庁

 重要な点は,@。主張する内容がいかに真実であっても客観的に実証した上での広告でないとダメだという点であろう。

 上記消費者庁のホームページでは,酒屋が新聞折り込みチラシで,「この辺で1番安い店」と表示していたが,実際は周辺の酒店の価格調査をしておらず,根拠のないものである場合には不当表示になるとしている。
 実際には,1番安かったとしても,客観的に実証,つまり間違いがないことをよく調査した上で広告しないといけないということだ。

 いかに私の法律事務所のサービスの丁寧さに自信があっても,丁寧さが北陸一であることを(仮に事実であっても)客観的に実証するのは不可能だ。
 そうすると,残念ながら上の広告は,景表法違反になってしまいそうだ。


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2012年03月26日

賃貸人の破産と賃借権

  以前に賃貸人が破産しても,敷金については心配する必要性はあまりないという話を述べた。とはいえ,賃貸人が破産すれば困るのは事実だ。
1番困るのは,賃貸人が破産した場合には,賃借人は,明け渡しをせざるを得なくなる場合があるということだ。

 賃貸人が破産すると,賃貸人が所有していた不動産は任意売却される場合も多い。その場合は,敷金返還請求権を含めて,賃借権も新たに不動産を取得した人に引き継がれるから心配はいらない。
しかし,任意売却が進まずに,抵当権を設定していた銀行が,その不動産を競売に出すことになった場合,抵当権設定より後に,引渡しを受けた賃借人は,競売が終了して,6ヶ月以内に明渡しをしないといけない(民法395条)。
 
  また,上記のように,競売になった場合には,敷金返還請求権は,新たに不動産を取得した人には引き継がれない。そのため,賃借人は,明け渡しをせざるを得なくなった上に,敷金が戻ってこないという羽目になる可能性もある。

  破産後競売が終了し,明け渡しをせざるを得なくなるまでには,早くても2年近い年月がかかる。だから,あわてる必要はないのであるが,それにしても,賃借物件を明け渡さざるを得なくなる可能性があることは大きな問題である。

  抵当権が設定されていない物件はほとんどない。そうすると,ほとんどの賃貸借において,賃貸人が破産した場合には明け渡しを余儀なくされる可能性があることは頭においておきたい。


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2012年03月09日

破産と敷金

賃貸人が破産するという話を聞いた人から「多額の敷金や保証金は戻ってくるのか!?」そんな相談を何回か受けたことがある。

結論からいえば,基本的には心配はいらない。

 賃貸不動産が売却されれば,敷金返還請求義務は,新たに不動産を取得した人に引き継がれる。
 そのため,今の賃貸人が破産しても,明渡し時に新賃貸人に対して,敷金の返還を請求することが可能である。

  もちろん,賃貸人が破産するからといって,賃貸不動産がすぐに売却されるとは限らない。
  しかし,破産法第70条により,賃借人は、賃料を支払う際に,敷金返還請求権の額まで弁済額を寄託するよう請求することができる。
そして、明け渡す際には,賃借人は、支払済みの賃料債務と敷金返還請求権を相殺し,寄託した賃料の返還を請求することができるのである。

(参考) 破産法第七十条  停止条件付債権又は将来の請求権を有する者は、破産者に対する債務を弁済する場合には、後に相殺をするため、その債権額の限度において弁済額の寄託を請求することができる。敷金の返還請求権を有する者が破産者に対する賃料債務を弁済する場合も、同様とする。

賃貸人が破産しても,賃料の支払いを拒めるわけではない。
しかし,破産後に支払う賃料額をプールしておいてもらい,明渡し時に発生する返還敷金と相殺できるということだ。
 もちろん,プールされる賃料が敷金に満たない場合には,損失が発生することになるが,多くないケースであろうから,きちんとした手続きをとっていれば,それほど心配することはない。


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2012年01月27日

無償で行う少数派株主の追い出し

 全体の株式の3分の1以下しか有していない少数株主の権利は驚くほど弱い。
 全体の3分の2以上を有している株主は,
・株主総会の特別決議で定款変更を行い,
・「全部取得条項付種類株式」(長い・・)に株式を変更し,
・少数株主の有する株式を強制的に「無償で」取得することが可能である。
 多数派は,いつでも少数株主を追い出すことができるのだ。

 もちろん「無償なんて納得できるか!」という株主は,裁判所に公正な価格を決めてもらい(会社法172条2項),その価格を受け取ることができる。
 しかし,もらえるのはお金だけであり,株式が無効化されることに変わりはない。
 しかも,その価格の決め方については明確なルールもない。会社が配当を中止し,決算書上で債務超過にしてしまえば,おそらくは,「無償」が公正な価格ということになるだろう。
 かくして少数株主は,一銭も受け取ることなく,株式だけを奪われてしまうことになるのである。

 全部取得条項付種類株式が導入された平成18年の会社法改正直後のことである。
 ある会社で創業社長が亡くなり,長男が社長になった。
 しかし,長男が所有していた株式は30%に過ぎなかった。そのため,他の株主であった相続人や従業員が結託し,長男を社長の座から追い落としたということがあった。
 さらに,その後すぐに,全部取得条項付種類株式を利用し,長男の所有している株式すべてが無償で会社に取得されてしまった。
 債務超過に近い会社であったため無償であっても仕方がないということで争わないことにしたのだが,所有する株式が一方的に無償で奪われてしまうという事実に何とも理不尽さを感じたものである。

 少数株主のもっている株式などほとんど価値がない,そう思うしかないのであろう。

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2011年10月31日

返事をしないと契約成立!?―商法509条

「・・・100万円をお支払いください。ご返事をいただけない場合には,申入れを承諾したものとみなしますのでご了承ください。」と脅しのような文書が突然送られてきたとしよう。

はたして,返事をしない場合には,承諾したものとみなされてしまうのであろうか。
答えは,もちろんNOである。
「返事をしないと承諾したとして扱われる」そんな横暴は通らないのが法律である。

ところが,これには,大きな例外がある。
それが商法509条である。
商法509条によると会社や事業者は,普段から取引がある者から契約の申込みを受けたときには,返事をしないと承諾したものになってしまうのである。

普段から取引がある者からの申し込みなのであるからすぐに返事ができるし,商売人は忙しいのだから申込者もすぐに回答が来ると期待するのが当然であるからなどと説明される。
結構恐ろしい規定である。

商売をする以上は,きちんとどんなことにも返事をすることが重要ということであろう。
そういえば,弁護士も事件の依頼の申し出を断るときは速やかに回答しないといけないと規定されている。

「断る返事」をするときこそ,迅速にしなければいけないという心掛けが重要なようである。


(参考)商法509条 商人が平常取引をする者からその営業の部類に属する契約の申込みを受けたときは、遅滞なく、契約の申込みに対する諾否の通知を発しなければならない。2 商人が前項の通知を発することを怠ったときは、その商人は、同項の契約の申込みを承諾したものとみなす。


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2011年10月21日

売買代金・請負代金の時効は2年ー民法173条

 先日,ある会社に対して数百万円の債権を持っている方が相談に来られた。
 普通であれば,間違いなく回収できそうではあったのだが,残念ながら1か月前に時効になっていた。
 時効制度は,何とも恐ろしい。
 
 商事債権の時効は一般には5年であるが,この例外については注意が必要である。

 特に注意が必要なのが,売買代金や請負代金は2年で時効になる場合があるということである。
 少し,金額の事でもめていれば,2年は割とすぐである。

民法173条は
 「卸売商人および小売商人が売却した・・商品の代価に係る債権」
 「注文を受けて物を制作し又は自己の仕事場で他人のために仕事をすることを業とする者の仕事に関する債権」

の時効は2年と定めている。

 上記に当たる売買代金や請負代金等は2年間の間に支払ってもらうか訴訟手続きなどで時効中断させないと,消滅時効により,支払ってもらう権利がなくなってしまうのだ。

 2年はあまりに短い。そこで,この法律は,日常的な小額な代金は早期迅速に決済させようとする趣旨であり,会社同士の多額な取引には適用がないとする考えもある。
 そのような考えを受けて,近代的設備を備えた自動車修理工場の修理代金,印刷業者の印刷代金は,2年では時効消滅しないとする判例(昭和40年7月15日・最高裁,昭和44年10月7日・最高裁)もある。

 しかし,裁判例を見ていたら,業者同士の2億円以上の債権であっても,この条文により2年で消滅時効にかかってしまっている例(平成4年78月30日・東京地裁)もあった。
 2億円が時効で消滅してしまうのは何とも痛い。

 「売買代金,請負代金は2年で時効になる!」と思っていたほうが安心だ。

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http://www.uchida-houritsu.com/ 内田清隆法律事務所(石川県金沢市の弁護士)
  
posted by 内田清隆 at 09:50| Comment(0) | TrackBack(0) | 商取引法

2011年08月09日

取引先にケーキを買わせたら2億円の罰金!?

 平成22年1月に独禁法が改正され,「優越的地位の乱用」,つまり強い立場を利用して取引先に無理をやらせると課徴金の支払が命じられることになった。

 法律改正後,初めてのケースの課徴金は,何と2億円以上!

 公正取引委員会は,6月22日「マルナカ」というスーパーに2億2216万円の課徴金納付を命じたのだ。

 マルナカのしていたことは,商品納入業者に対して,
@ 新規開店にわたり商品の移動・陳列を無償で手伝わせた
A 主催の将棋大会やテニス大会に高額の協賛金を提供をさせた
B 季節が過ぎて割引販売した商品の仕入れ価格を一方的に減額させていた
C クリスマスケーキをノルマを決めて購入させた
http://www.jftc.go.jp/pressrelease/11.june/110622marunaka.pdf
などというものである。

 確かに,優越的地位の乱用ではあろうが,現実問題,よく目にする行為である。それが,2億円という高額の課徴金の対象になるとは・・・。
 しかも,法律が改正された直後であったため,2億円で済んだだけで,本当ならば10億円を超える高額の課徴金が科される可能性もあったというのであるから驚きだ。
 「マルナカ」は,大きなスーパーではない。中小企業を一発で潰すような課徴金が科される可能性があるということだ。

 公正取引委員会は優越的地位の乱用に対して,厳しい姿勢で臨むことを公言しているし,実際に,相当に調査などに力を入れているようだ。
 優越的地位を乱用されている会社としては強力な武器を手に入れたといえるし,一方,乱用をしているといわれる恐れのある会社では,厳しいコンプライアンス体制の確立が要求されているといえよう。

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posted by 内田清隆 at 15:46| Comment(0) | TrackBack(0) | 商取引法

2011年07月10日

商法526条の限界

 商売で物を買った場合には,商品受領後すぐに品質等に問題(瑕疵)がないかを検査しないといけない。
 そして,品質等に問題があった場合には,「直ちに」クレームを述べないと,後からでは,クレームを述べる権利,つまり損害賠償や代金の減額を求める権利はなくなってしまう(商法526条)。
参照 http://uchida-houritsu.sblo.jp/article/38984762.html

 もっとも,これは契約によって,排除できる条項である。
 「商法526条は適用しない」という特約を契約で結んだ場合には,商品受領後,直ちに検査してクレームを述べなくても,損害賠償を受ける権利は失われない。

 東京地裁平成23年1月20日判決の事案は,土地を売買して1年半たった後に,調査により土壌汚染が発見され,土地の買主が売主に約1576万の損害賠償を求めたという事案である。
 土地の売主は,「買主が,土地の引渡しを受けた後にすぐに土壌汚染の調査をしなかったのだから,商法526条により,損害賠償請求は認められない」と主張した。
 最終的に裁判所は,「本土地引渡後といえども・土壌汚染等が発見され・た場合は,売主の責任と負担において速やかに対処しなければならない」という特約を商法526条を排除する趣旨であると解釈して,土地の売主に損害賠償を命じた。

 結構微妙な事案であったと思う。
 上記特約が商法526条を排除する趣旨であると言いきれるかは疑問の余地もある。

 いずれにしても商人間の契約において,商法526条を適用するのかしないのかを明確に定めておくことが紛争防止のために重要だ。


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posted by 内田清隆 at 11:53| Comment(0) | TrackBack(0) | 商取引法

2010年10月26日

「常識」も「契約」になる?−最高裁平成22年10月14日

 契約書を結ばなくても,口頭でも契約は有効だ。
 しかし,平成22年10月14日の最高裁判決は,さらに一歩先をいく。
 契約書の条項に反した内容が,口頭での合意すらなくても,一般常識から契約の内容になるとしたのだ。

 その事件では,注文者が元請業者へ工事代金を支払うことを条件に元請業者が下請業者に工事代金を支払うという約束が書面においてなされていた。口頭でも,そのような話があったようだ。

 ところが最高裁は,
「下請負人が,自らは現実に仕事を完成させ,引渡しを完了したにもかかわらず,自らに対する注文者である請負人が注文者から請負代金の支払を受けられない場合には,自らも請負代金の支払が受けられないなどという合意をすることは,通常は想定し難い」
「したがって・・・当事者の意思を合理的に解釈すれば・・・(元請業者が)支払を受ける見込みがなくなったときは,その時点で本件代金の支払期限が到来することが合意されたものと解するのが相当である。」

と判示した。

 要するに,「注文者が元請に支払いをしない場合には工事代金はいらないよ!」と思う下請業者はいないのが常識だ。だから,書面上はそのような合意がされていても,「元請から注文者に代金が払われないことがはっきりしたときには,元請が下請に代金を払う」ということが,契約書にも口頭にも出てこなくても契約の内容になるとしたのだ。

 まったく常識的で妥当な判断ではある。
 しかし,「法律的にはどうなの?」という気がしないでもない。
 「常識」を共有し,強い信頼関係があるのであれば契約書を作る必要はない。契約書を作るのは,お互いの「常識」が同じであるという保証はないからだ。
 だとすれば,裁判所は,「常識」よりも「契約書」を重視すべきなのではないだろうか?
 日本の裁判所は,かなり常識を重視する。しかし,それは,日本人が「日本人としての常識を共有している」という幻想を持っているからではないだろうか?

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posted by 内田清隆 at 07:34| Comment(3) | TrackBack(0) | 商取引法

2010年10月22日

詐欺の手口を知れ!その6−「「絶対に間違いない」は間違いなく間違い?」

 「断定的判断の提供」を消費者相手の営業トークすることは法律で禁止されるようになった。
 「絶対もうかる」「間違いない話だ」「100パーセント保証する」といった「断定的判断」を消費者と契約を結ぶ際にした場合には,契約が結ばれたとしても消費者はその契約をいつでも取り消すことができる(消費者契約法4条)。

 わざわざこのようなことが法律で決められるほど,人間は,断定的判断に弱い。
 自信満々に,「間違いない」「100パーセント確かだ」と言い続けられると,最初は疑っていても,だんだんと信用してしまう,それが人間のさがなのである。

 しかし,商売人同士の商取引の世界では,消費者契約法は適用されない。
 だから,商売人同士のトークでは断定的判断の提供は禁止されない。そのため,「断定的判断」を提供されて,「だまされた」としても,一般消費者とは異なり,契約を取り消すことはできず,だまされた方が悪いとなるのが原則だ。

 「俺を信じてくれ,絶対間違いない話だ!」という話が間違いであったということで,裁判になるケースは非常に多い。
 世の中に間違いない話はない。にもかかわらず,「間違いない」を強調する人間を信じてよいのか,よく考えるべきだろう。

 「絶対」や「間違いない」という言葉に人間はだまされやすい。そこをつくのが詐欺師の常とう手段であることを忘れないことだ。

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posted by 内田清隆 at 08:34| Comment(0) | TrackBack(0) | 商取引法