2024年03月25日

大谷選手は「大規模窃盗」の被害にあっていない

大谷選手の弁護士写真)が、大谷選手が「大規模窃盗」の被害にあっていることを当局に申告したと、報道されている。

この「大規模窃盗」は、「massive theft」を、翻訳したものであるが、「theft」は日本法でいう「窃盗」と同じではなく、誤解を招く翻訳だと思う。

日本法でいう窃盗とは、
@他人の占有する財物を、
A暴行・脅迫の手段によらず、占有者の意思に反して
B自分の占有下にうつす
ことである。

他人ではなく自分の占有する財物を、所有者の意思に反して自分のものにするのは「横領」であり、他人の占有する財物を、暴行・脅迫を用いて自分の占有下に移すのは、「恐喝」や「強盗」である。

法律用語としての「窃盗」は「larceny」だ。
確かに「theft」も「窃盗」の意味で使われることも多い、横領や強盗も含めて不法に他人の財物を取得すること一般の意味で使われることもあり、意味が明確ではない用語だ。
いずれにしても、「theft」を法律用語である「窃盗」と訳すのは適切ではないだろう。

とはいえ、代案も難しい。

大谷選手は「大規模に窃盗などの不当に財物を奪われる犯罪」の被害にあったと訳せば、正確であるが、長すぎる・・・。
大谷選手は「大規模な盗み」の被害にあったと法律用語を使わずに訳した方がベターではあるが、これもなんだかおかしい・・・。

改めて翻訳の難しさを感じた。


↓↓弁護士ブログの人気ランキングです。↓↓
にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ

金沢市の人気ブログランキング
↑↑参加しています。クリックでご協力お願いします。↑↑
posted by 内田清隆 at 11:15| Comment(0) | TrackBack(0) | 諸法

2023年04月01日

4月1日 民法改正!〜柿もタケノコと平等に

2023年4月1日、重大な改正民法が施行された。
ついに、隣の家の樹木の枝が境界線を越えて出ている場合に、その境界線を越えた枝を、切除することが一定の条件で許されるようになったのである。

今までも、隣地の所有者に「切除させる」権利はあったが、侵害を受けている側が「切除する」権利はなかった。
そのため、隣地の所有者が切除に応じない場合には、多額の費用をかけて裁判をしなければ切除させることができなかったのである。
隣地から勝手に境界線を出てきた枝を切除するために、自らが費用を負担して弁護士を頼んで、裁判所に出頭し・・・。「割が合わない!」として泣き寝入りする人も多かったはずである。

実は、今までも、境界線を越えて出てきた「枝」は切除できないが、境界線を超えてきた「根」は切除できるという謎のルールがあった。
そのため、隣地の竹から伸びてきたタケノコは勝手に取ってしまっていいが、隣地の柿の木から伸びてきた枝になった柿は勝手に取ってはいけなという、豆法律知識がよく本などで紹介されていた。
しかし、本改正により、長年望まれてきたタケノコと柿の間の平等がようやく実現するというわけだ。ダウンロード.jpg

とはいえ、喜んでばかりもいられない。
明治二十九年に「隣地ノ竹木ノ根カ疆界線ヲ踰ユルトキハ之ヲ截取スルコトヲ得」と定められて以降、私が子供のころから不合理と言われ続けてきたにもかからず、改正されるまで、何十年もかかったのである。

実際のところタケノコや柿が問題になることはそう多くはない。現状として圧倒的に多い問題は、不法駐車の問題である。自分の土地に他人の自動車が不法に駐車されている場合、法律的にはこれを勝手に動かすことが原則としてできず、裁判をしないといけない。
しかし、明らかに廃棄された自動車を動かすために、弁護士を頼んで、裁判所に出頭し・・・、「割が合わない!」として泣き寝入りする人も多い。
タケノコや柿の問題より、こちらの問題の方が重要であるが、新たな法律ができるのはいつの日になることやら・・・。


↓↓弁護士ブログの人気ランキングです。↓↓
にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ

金沢市の人気ブログランキング
↑↑参加しています。クリックでご協力お願いします。↑↑
posted by 内田清隆 at 15:22| Comment(0) | TrackBack(0) | 諸法