2017年12月07日

色彩のみからなる商標

今年4月から「音」や「色」だけで商標登録することが可能になった。
しかし,登録のハードルはなかなか高いようだ。

この記事を書いた12月6日の段階で,色彩のみからなる商標が登録されたのは,トンボ鉛筆とセブンイレブンの2つに限られるようだ。

トンボ.jpg


セブンイレブン.jpg

「色彩のみからなる商標」は,基本として商標登録はできず,その色彩が使用された結果,誰の商品・役務であるかが分かるようになること,すなわち「使用による識別力」が必要とされている。

トンボ鉛筆もセブンイレブンも,相当有名なマークであり,確かに,強い識別力をもっている。
ここまで強い識別力がないと登録できないのだとすれば,かなり厳しいハードルといえよう。

実際に特許庁のホームページによると,少なくとも282件の申請があったものの,前述のとおり登録にたどり着いたものは,たったの2件である。
もっとも厳しいといわれている,単色により特定する方法での商標登録は0件だ。https://www2.j-platpat.inpit.go.jp/syutsugan/TM_AREA_A.cgi?0&1512633844484

「MONO」のブランド名で知られるトンボ鉛筆にしても,当初,文房具全体での登録を目指していたが,最終的に「消しゴム」に絞ったうえで登録されることになったようだ。

実は私も,当事務所のイメージカラーを商標登録をしたいと夢見ていたが,これではとても登録は不可能だと思った。

どんな運用になるのだろうかと思っていたが,かなりの大企業だけに意味のある制度であり,MONOやセブンイレブンのデザインをうっかり使ってしまうこともなさそうなので,今のところあまり気にする必要はなさそうだ。


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posted by 内田清隆 at 10:09| Comment(0) | TrackBack(0) | 知的財産法

2017年09月04日

著作権侵害判断の避けられないあいまいさ

ファンの方には,怒られそうだが,レゲエに精通していない自分に取って,レゲエの歌は,全部同じに聞こえる。ズッチャカズッチャカ,チャカポコチャカポコ・・

キャプチャ.PNG

あるとき,テレビCMで利用している楽曲が,某有名アーティストの楽曲とよく似ているので,著作権(翻案権)を侵害していないか心配であるという相談を受けた。

 実際に聞いてみたところ,非常によく似ている。これは著作権侵害にあたると直感した。
 ところが,その曲を弊所の職員数名に聞かせてみると「全然違う」「まったく似ていない」そんな意見が多かった。
 自分はもともと音痴であり,音楽の著作権侵害については,自分の耳を信用しない方がいいなと思った。

 最高裁は,有名な「江差追分事件」の判決で,著作権(翻案権)を侵害するかどうかの判断は,
既存の著作物の表現上の本質的な特徴を直接感得することのできるか
 という基準によるべきであると判示した。
  しかし,極めてあいまいな基準というしかない。プロのミュージシャンと私のような音痴のようでは,表現上の本質的特徴を感得できるかどうかは大きく違ってくる。音楽的素養の有無によって,判断は大きく異なってしまうのだ。
 「通常の音楽的素養をもつ一般人」を基準とすべきなのであろう。 
しかし,裁判官が通常の音楽的素養をもっているとは限らない。
通常の音楽的素養をもっていない裁判官が,通常の音楽的素養をもつ一般人がどう考えるかを判断することは非常に困難だ。

 陪審員制のように,一般人が関わり,多数決で決めることが正しい判断につながるのかもしれない。
 「本質的な特徴を直接感得できた人,手をあげて」と聞いて,手が多く上がったら,著作権(翻案権)を侵害しているというわけだ。
 いい加減すぎる感じだが,裁判官による判断であってもそう違わないのではという気がする。


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posted by 内田清隆 at 10:03| Comment(0) | TrackBack(0) | 知的財産法

2017年01月27日

ピコ太郎は歌えなくなるのか〜PPAPの商標問題

ピコ太郎で有名な「PPAP」を,無関係の会社が商標出願していたとしてニュースになっている。
http://www.asahi.com/articles/ASK1V3GMCK1VUCLV003.html


特許情報プラットフォームで,調べてみると,確かにエイベックスが商標出願する直前などに,商標出願がされているようだ。 

果たして,ピコ太郎は,PPAPを歌えなくなるのであろうか?

「需要者の間に広く認識されている商標」は,商標登録ができない(商標法4条1項10号)。PPAPが広く認識されていることは間違いないであろう。
しかし,PPAPは「商標」として認識されているわけではない。そのため,同項で却下するのは難しそうだ。

しかし,知財高裁平成24年5月31日判決によれば, 商標登録されるには 「現に自己の業務に係る商品又は役務に使用をしている商標 ,あるいは将来自己の業務に係る商品又は役務に使用する」意思が必要であり,第三者に権利を売却する意思しかなければ商標登録できない。本件は,この点で却下される可能性は高そうだ。

また,仮に同項に当らないとしても,これほど有名になった言葉を関係ない人が商標登録するのは公序良俗上,問題だ。
「ポパイ」「がんばれニッポン」「トトロ」
といった「有名な商標」とはいえないが,非常に有名な言葉については,公序良俗違反(商標法4条1項7号)として,商標出願が却下されている。
同じ理由でPPAPの商標出願が却下される可能性も高そうだ。
いずれにせよ,登録は難しそうである。

しかも,登録されたとしても,ピコ太郎が歌えなくなることはあり得ない。
そもそも「PPAP」を歌うことは商標としての利用に当らないし,広く認識されている商標には先使用権があり(商標32条),後で別人に登録されたとしても,利用を続けられるからだ。

調べてみたら,「パン・パイナッポー・アッポー・パン」というパンが高校生に大人気という記事を見つけた。
http://rocketnews24.com/2016/10/21/815570/
法律問題としては,こちらの方が微妙で興味深い。


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posted by 内田清隆 at 14:45| Comment(0) | TrackBack(0) | 知的財産法

2016年10月22日

パロディ商標の限界〜KUMAとPUMA

有名なPUMAの商標
PUMA.png
KUMA事件(知財高裁平成25年4月25日判決)では,下記商標は,PUMAの商標と外観上酷似しており,混同を生ずる恐れがあり,無効であるとされた。


KUMA.png
一方で, SHI-SA事件(知財高裁平成22年7月12日判決)では,下記商標は,PUMAの商標と外観上必ずしも類似するとはいえず,混同を生ずる恐れがあるとはいえないとして,有効であるとされた。


SHISA.png
KUMAとPUMAは「K」と「P」しか違わないが,「SHI−SA」と「PUMA」はスペルがだいぶ違う。また,「SHI−SA」の方には,「OKINAWA ORIGINAL・・・」など小さな文字でいろいろと書かれている。
それを考えれば,KUMAは似ている,SHI−SAは似ていないという判断もあり得ないとはいえない。しかし,かなり微妙な判断である。

 もしかすると,両社の態度が結論を変えさせたのかもしれない。
 KUMAは「本件商標以外にも,欧文字4つのロゴにピューマの代わりに馬や豚を用いた商標や,他の著名商標の基本的な構成を保持しながら変更を加えた商標を多数登録出願し,商品販売について著作権侵害の警告を受けたこともある」として,知財高裁は,「公正な取引秩序を乱し,商道徳に反する」とまで述べている。
 KUMAだけでなく「BUTA」や「UUMA」も使い,以前から注意されていたというわけである。

 一方でSHI−SAについては,「本件商標の跳躍するシルエットの動物図形には,沖縄を象徴するシーサーが沖縄から大きな舞台に跳び出してほしいという原告の願いが込められている」「パロディの趣旨で本件商標を創作した事実を認めるに足りる証拠は存しない」と判示している。
 
 ふざけた態度で作っているKUMAはだめだけど,まじめな態度で作っているSHI−SAはOKと裁判所が判断したというわけだ。
 しかし,それではパロディという行為自体が悪いということになってしまう。諸外国のようにパロディを広く認めるためには立法が必要であろうが,少なくともパロディだから悪いという価値判断はおかしいと思われる。

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2016年08月03日

著作権切れの絵画の写真

著作権が切れている絵画の写真を,誰の許可も得ないでホームページで公開することに問題はないのであろうか。
何度か訴訟でも争われているが,結論からいえば,原則問題がないということになる。

所有権侵害
まず,絵画の所有者に無断で絵画の写真を公開することが,絵画の所有者の所有権の侵害にならないかが問題となる。
この点が争われた有名な裁判が,いわゆる顔真卿事件である。
唐時代の書家である顔真卿の書の写真を,書の所有者に無断で発行した人が,所有者から所有権侵害で訴えられた。
28.8.3 図@.jpg

それに対して 最高裁は,
「博物館や美術館において、著作権が現存しない著作物の原作品の観覧や写真撮影について料金を徴収し、あるいは写真撮影をするのに許可を要するとしているのは、・・・所有権者が・・・原作品を所有していることから生じる反射的効果にすぎない」として,所有者に無断で芸術作品の写真を公開することは所有権の侵害にはならないことを明確にした。

写真の著作権侵害
また,写真の撮影者に無断で絵画の写真を公開することが,写真の撮影者の著作権の侵害にならないかが問題となる。
この点が争われた裁判が版画写真事件である。
ある雑誌に掲載されていた版画の写真を,撮影者の承諾も受けずに別の本に載せたところ,撮影者から著作権侵害で訴えられたという事件である。
28.8.3 図A.gif

裁判所は,「撮影対象が平面的な作品である場合には,正面から撮影する以外に撮影移置を選択する余地がない」「技術的な配慮も,原画をできだけ忠実に再現するためにされるものであって,独自に何かを付け加えるというものではない」として,版画の写真の著作物性を否定して訴えを棄却した。
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/734/013734_hanrei.pdf

「写真の著作物」として著作権で保護されるためには,撮影者の創作性が表現されることが必要であるが,通常の絵画写真は,絵画の複製物であって,撮影者の創作性は表現されていないというわけである。

もっとも前者の所有権の問題については,確定した判例であるといってよいと思うが,後者の著作権の問題については微妙な点もある。
凹凸のある絵画である場合はどうか,光の当て方や露出などに工夫がみられる場合はどうか,どの程度の工夫があれば「創作性」があるといえるのかなど,未解決な問題も多い。
今後も注意して裁判例を見守っていきたい。


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2016年06月18日

田村善之先生のご講演

知財業界では知らない人のいない北海道大学教授の田村善之先生を,知財ネット北陸支部でお招きし,昨日は,そのご講演をうかがった。
51BAZWUH7zL._SX298_BO1,204,203,200_.jpg

著作権法には,保守・修理等のための一時的複製(法47条の4)など,妙に細かい規定がある。
これらの規定がどのような力関係に創出されるのかを具体的にお話しいただいた。

一方に,著作権法改正に大きな利害関係をもつ巨大組織がある。
他方に,小さな利害関係しかもたない,しかし極めて多数の一般人がいる。
前者の巨大組織は,自己に有利な政策実現に向けて,積極的な活動を行う。
後者の多数の一般人は,何らの活動も行わない。
(「校庭でアンパンマンの雪だるまを作ること」が著作権侵害でないことを明確にするために,積極的に運動をする人はいない。)

その関係性により,著作権法では現実と乖離した偏った立法がなされるのだ。
「そんなにお話しされて大丈夫なのだろうか」と思うほど実名を挙げながら,具体的にお話しいただいた。
裁判官や立法府の考え方というものも理解でき,実に興味深かった。


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2015年10月02日

海洋堂のフィギュアは芸術か?〜応用美術と著作権

幼稚園生が書いた絵であっても「著作権」は認められる。著作権が成立するために,高度の芸術性は不要であるというのが通説だ。

ところが,「応用美術」=実用目的で製作された創作品については,「純粋美術」=専ら鑑賞目的で製作された創作品と異なる扱いを受ける。
「応用美術」については,「純粋美術と同視し得る程度の美的創作性を具備している」こと,いわば,芸術的でないと著作権が認められないとするのが一般の裁判例だ。

 例えば,大阪高裁平成17年7月20日判決
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/446/009446_hanrei.pdf
は,海洋堂のフィギュアについて,これを「実用目的」だとしたうえで,妖怪フィギュアについては相当程度の美術性を備えているとして著作物とした一方,動物フィギュアについては,美的創作性はないとして,著作物ではないとした。

さる.jpg

常々,この結論には疑問を持っていた。

古来日本では,「用の美」こそを尊んできた。襖絵にしても屏風絵にしても,日本美術の多くは,実用品であり,実用品であるからこそ「美」であるとしてきたのである。
にもかかわらず,実用品は著作物ではないとすれば,すべての日本美術が否定されることになりかねない。

また,裁判官が美的創作性を備えているなどと判断できるのであろうか。
「美」とは何かについては,古来より多くの哲人たちが頭を悩ませてきた結論の出ない問題である。
「美的」かどうかなど,どうやって判断してよいのか私にはわからない。

海洋堂のつくる猿に,どのような実用目的があるのか分からないし,十分に美的であると思うのは,自分一人ではないだろう。

知財高裁平成27年4月18日判決
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/044/085044_hanrei.pdf
は,この点につき画期的だ。
「茶の湯に用いられる茶碗などの茶碗は,実用品であるが・・・著作権法によって保護されることは明らかである。」
「応用美術が,量産される実用品に用いる目的で作成されることは,著作物として保護されるために特別な要件を課す根拠にはならない。」
として,
いす.jpg

椅子であっても,著作物であると判示した。

実に妥当な判決だと思う。


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posted by 内田清隆 at 10:37| Comment(0) | TrackBack(0) | 知的財産法

2015年04月04日

新しい商標受付開始

4月1日から音商標,動き商標,色彩のみからなる商標など,新しい商標の出願受け付けが始まった。

さっそく,特許庁も,特許情報プラットフォームという,新しい検索システムを設けて,音商標,動き商標なども検索できる体制を整えた。

今日,現在登録されている新しい商標は以下だけのようある。


うーん,音感の無い私にはわからない・・・
posted by 内田清隆 at 18:53| Comment(0) | TrackBack(0) | 知的財産法

2014年09月03日

アセアン諸国の模倣品対策と特許権侵害の刑事告訴

 先日,ジェトロ金沢https://www.jetro.go.jp/jetro/japan/kanazawa/で,別の弁護士と共に「海外ビジネスに取り組む際の留意点」という内容のセミナーを行わせていただいた。
 その際にうかがったジェトロ知的財産課アドバイザーによる東南アジアにおける模倣品対策のお話が,具体的な実例も多く大変興味深かった。

 各国の税関における水際対策の概要については,
インドネシア:水際対策前に訴訟が必要か「未決定」
マレーシア :水際対策前の訴訟は著作権の場合は不要と「解される」
という非常に曖昧なものであった。

 詳しく話を聞いてみると,法律は存在しても,上記両国では水際対策は実際には機能していない状況であるため,実際どのように運用されるのかよく分からないという話であった。
 そのお話を聞き,アセアン諸国は法律整備が遅れていることを改めて感じた。

 しかし,考えてみれば,日本でも似たような状況はある。
 あるデータによれば,特許権侵害を刑事事件として,検挙した件数は平成25年において全国で1件しかない。
 特許権侵害について刑事罰を定める法律は存在しても,実際には機能していない状態であるといえよう。
http://www.npa.go.jp/safetylife/seikeikan/niseburando.pdf#search=%27%E8%AD%A6%E5%AF%9F+%E7%9F%A5%E7%9A%84%E8%B2%A1%E7%94%A3%27 4頁

 そう思うと,当然のことながら,「法律の内容」だけでなく「実際の運用」を知らないと適切な判断はできないことを改めて感じた。
 ついつい弁護士は,「法律はこうなっている」という点ばかりに目を向けてしまいがちだが,実際問題としてどこまで効果的なのかという視点を忘れないようにしたい。


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posted by 内田清隆 at 23:16| Comment(0) | TrackBack(0) | 知的財産法

2014年07月24日

自分の会社名が商標登録されている!〜商標の先使用権

最近,長年使っている会社名が,別の会社によって商標登録されてしまったことが分かった。
 そして,その別の会社から,その商標の利用を差し止めるよう請求された。
 しかし,長年使っている会社名がついた商品から,会社名をはずさなければいけないのだろうか。

 商標法32条により,誰かに商標登録される前から使用している商標は,誰かが商標登録したとしても使用を続けることが可能だ。
 しかし,これには重要な要件がある。
 その要件は,その商標が,「需要者の間に広く認識」されていること
(周知性),つまり有名である必要があるというものだ。
 
 この周知性の要件は,なかなか厳しい。
 全国的に有名である必要はないとされている。
 しかし,2,3の市町村で知られている程度ではダメで,少なくとも複数の県で知られている程度は必要と考えられている。
 もちろん,知る人ぞ知るというレベルでは足りず,それなりの人が知っている必要がある。
 
「会社名は登記されているのだから,自由に使えるのでは?」と考えられるかもしれない。
 しかし,登記されている会社名を名刺に記載するのは自由であっても,「商標として」使用することはできなくなる。

 会社名が商標として使えなくなると,パッケージの変更,広告の変更,看板の変更などを余儀なくされることになり,その損害は大きい。

 そう考えると,会社名,商店名を付ける前に,事前に商標登録されていないかをきちんとチェックしておくべきである。
 また,登録されていないのであれば,登録するようにすべきであろう。


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2014年06月14日

中山信弘先生のご講演

先週の土曜日に「著作権法」などの著作で有名な知的財産法の大家,中山信弘先生のご講演を拝聴した。

極めて分かりやすくかつ熱意あふれる講演で,とても感銘を受けた。

特に印象的だったのは,どうせ権利濫用で切ればいいのだからフェアユース規定など必要ないと思っていたのだが,そうではないという話であった。

グーグルは法的にグレーな行為を行い続け,多数の訴訟を抱えながらも,自らが正義と思う行動を行い,訴訟で勝ち続けることで,現在の地位を築いた。
日本企業も,グレーな行為を避けるばかりでなく,大胆な挑戦を続けていかなければ,今後日本はダメになる。
そのために著作権法が足かせになるようなことだけはあってはならない。
フェアーとされる行為は許されることを法律上,明らかにしなければ,企業を委縮させ,著作権法が足かせになる恐れがある。
そのようなお話であった。

我々弁護士も「法的にグレーだからやめておいた方がいいよ」などと安易なアドバイスをしがちである。
しかし,きちんとリスクを判断し伝えながらも,正義であると思ったことは積極的に勧められるような,大胆で挑戦的な弁護士になりたいものである。
70歳にお近いと伺った中山信弘先生が日本を変えようとする熱意にあふれているお姿を拝見し,40歳になったばかりの自分が挑戦心を失うわけにはいかない。
そう強く感じさせる講演であった。


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2014年04月09日

他人の契約書をコピペしていいの?〜契約書の著作権

契約書案を作るときに,誰かが作った契約書を少しだけ修正して,契約書案を作ってもいいのであろうか?
「契約書」に著作権があるのであれば,無断複製として著作権侵害になる。
一方で,「契約書」に著作権がないのであれば,自由に利用しても問題ないということになる。
では,「契約書」に著作権はあるのであろうか。

結論からして,基本的に著作権はない。
誰かが作った契約書を少しだけ修正して契約書案を作っても原則OKである。

古い裁判例であるが,

東京地裁昭和40年8月31日判決は,「(契約書案には)思想は,何ら表示されていのであって・・・著作権の生ずる余地はない」「契約条項の取捨選択にいかに研究努力を重ねたにせよ,その苦心努力は,著作権保護の対象とはなり得ない」として,船荷証券の原案という特殊事例であるが,契約書には著作権がない旨を述べている。

東京地裁昭和62年5月14日判決においても,「(契約書案の内容は)思想または感情を創作的に表現したものであるとはいえないから,著作物ということはできない」として,契約書案の著作物性を否定している。

著作権法の大家,中山信弘先生も,その判決に対する解説において
「作成に多大な労力や知識を必要とするとしても,契約の内容に関する苦労であり,表現についての創作でないことが多い。」として,著作権法で保護されるのは,創作的表現である以上,「契約書は著作物とならない場合が多いと考えられる。」
「相当特徴ある表現がなされていない限り…著作物性は否定される」(ジュリスト・989号・106頁)と結論付けている。

何時間も考え抜いて作りだした契約書案を他人が自由に利用できるというのは,悲しいものがある。しかし,逆に,他人が作った契約書案をコピペできないとなすれば,とても大変だ。
そう思うと,契約書の文案に強い著作権を与えないというのはバランスのよい結論なのであろう。


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2014年03月05日

オリンピックと「金」の話〜アンブッシュマーケティング

 ソチオリンピックでは,羽生結弦選手が見事に「金」メダルを獲得したところであるが,本ブログはマネー=お「金」の話。

 2020年のオリンピックの開催地に東京が選出されたこともあり,オリンピックを利用した宣伝や広告を考える業者は少なくない。

 しかし,JOC・日本オリンピック委員会は,「・・・オリンピックのイメージ等の無断使用…は法的にも罰せられます。」とホームページに堂々と表示し,公式スポンサー以外の便乗広告=アンブッシュマーケティングを厳しく取り締まる姿勢を明確にしている。
http://www.joc.or.jp/about/marketing/noambush.html 
「オリンピック」「がんばれ!日本!」「TOKYO2020」等については商標登録されており,これらを無断で商標として使用できないことは当然である。
 しかし,「オリンピックのイメージ」を無断使用することは法的に罰せられるのであろうか。
 「おめでとう東京」「日本選手、目指せ金メダル!」「日本代表、応援します!」といった表現までもすべてNGになるとの報道もされたらしいが,本当であろうか。

ウソである。

 問題となるのは不正競争防止法であろうが,同法2条1項2号は,著名な商標等表示と同一若しくは類似のものの使用を禁止するに過ぎない。「オリンピックのイメージ」が「著名な商品等表示」でないのは当然だ。
 また,同法2条1項1号は,「他人の商品又は営業と混同を生じさせる行為」を禁止するが,それも「商品等表示を使用」する場合に限られるのであり,「オリンピックのイメージ」の利用はこれに含まれない。

 もちろん,状況によっては不正競争防止法違反になる場合があることは否定できないが,正確には「・・・オリンピックのイメージ等の無断使用・・・は法的にも罰せられることが,あり得ないわけではありません。」であり,少なくとも「罰せられます」といい切ることは明らかに誤りである。

 公式スポンサーから多額のお「金」を払ってもらうために,誇張した表現を用いてでもアンブッシュマーケティングを取り締まろうとしているのかもしれない。
 しかし,JOCから訴えられるかもしれないと思っては,中小企業はオリンピックをイメージするような広告は一切できなくなってしまうのであり,JOCの態度は不当に委縮効果を与えている。
 まさか,JOCも地元商店街が「●●選手・金メダルおめでとう!」というセールをすることまで,禁止したいわけではないだろう。

 どこまで許されどこから許されないのか,責任ある団体としてJOCは納得できる基準を明確にすべきであろう。


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2014年01月15日

建物の写真,ブログに載せていいの?

「当社の建物の写真を勝手にお前のブログに載せるな!」という苦情を受けたことがある方もいるかもしれない。
他人の建物の写真を,自身のブログやホームページなどに勝手に載せてもいいのであろうか?
結論からすると,基本的に構わない。

建物には著作権が生じる場合がある。しかし,著作権法46条には以下ように規定する。

(公開の美術の著作物等の利用)
第四十六条  ・・・建築の著作物は、次に掲げる場合を除き、いずれの方法によるかを問わず、利用することができる。 ・・・
一 ・・・
二  建築の著作物を建築により複製し、又はその複製物の譲渡により公衆に提供する場合

つまり,建物の著作権は,その建物と同じような建物を建築する場合など以外は,自由に利用が可能なのである。

また,有名な建築物にはパブリシティ権という厄介な問題も付きまとう。
しかし,パブリシティ権は,人について生じるものであり,建築物といった「物」には生じないというのが最高裁の判例である(http://uchida-houritsu.sblo.jp/article/78754293.html)。

そのため,自分で撮影した他人の建物の写真をブログにアップすることは,原則として,法律上問題はないのである。
勝手に使われるのは気分が悪いようにも思えるが,誰もが自由に撮影できる建物について,あまり権利を及ぼされては,行動の自由が制限される。そう考えれば,合理的なのかもしれない。

正面.jpg


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2013年11月27日

パテントトロールとテキサスの蛮行

表向きは,ソフトウェア開発などの事業を行っているようだが,実は,個人などから特許権を買い集め,特許権侵害を理由に大企業から損害賠償金を得ることで生計を立てる中小企業や個人,通称「パテントトロール」が米国で大活躍をしている。

先日受けた日弁連の研修によると,米国ではパテントトロールによる訴訟が急増しており2010年には特許侵害訴訟の29%に過ぎなかったものが,2013年には62%に達しているとのことであった。

米国特許訴訟では多額のコストがかかる。特にe-ディスカバリーと呼ばれる文書の開示手続に費用がかかる。1000万件の書類の提出を余儀なくされ億単位のコストがかかるということもよくあるということである。
パテントトロールに訴えられた大企業はその莫大なコストを負担するが,実体のないパテントトロールはそのコストを負担しない。そう考えれば,特許を買い取り,負けそうな事件でも訴訟を提起し和解に持ち込むというのは合理的な戦略なのかもしれない。

パテントトロールは全米各地を放浪し,勝てそうな裁判所を探して,そこで訴訟を提起するそうだ。テキサス東部地区の裁判所では,数年前まで原告が90%という圧倒的な勝率を誇り,多数のパテントトロールを引き寄せていたらしい。

私はパテントトロールには好意的であったりする。中小企業が知力を武器に大企業に戦いを挑む姿は悪いイメージではない。
昔テキサスに住んでいたとき,ちょっとした揉め事に遭遇したところ,友人が銃をもって走ってきたことがあった。「自らの手は自らで守る」「政府や大企業の庇護はいらない」アメリカンドリームを愛する,個人の自由を何よりも愛する古き良き?アメリカがそこにあった。

現在の米国のパテントトロール跋扈状況は異常であろうが,米国だけは,力の弱い発明家の個人が夢をもてる国のままであってほしい。


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2013年10月31日

死者のパブリシティ権

前回の記事でも書いたが,最高裁判決によると,
有名人の写真や氏名を広告に利用することは一定の場合許されない。
いわゆるパブリシティ権である。

 では,死亡した有名人の場合はどうなのであろうか,死者にパブリシティ権があるのかという問題である。

 この点について,明確に判断した裁判例は知られていない。

 関連する裁判例としては,名誉毀損が問題となったものであるが,死者に対する遺族の敬愛追慕の情は,一種の人格的法益として法の保護の対象となり,これを違法に侵害する行為は不法行為を構成するとしながらも,死後44年余を経ているという状況から,慰籍料の請求は認められないとした裁判例がある程度である。
(東京高裁 昭和54年3月14日http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/499D61694B682F1949256CFA0007B9C6.pdf

 最高裁は,パブリシティ権の本質を人格権としてとらえている。だとすれば、有名人が死亡すれば,人格が消滅する以上,パブリシティ権も消滅すると考えるのが自然であるのかもしれない。
 しかし,人格権は相続されないとしても,死者に対する名誉侵害が違法になる場合があるのであるから,死者に対するパブリシティ権侵害も違法になることはあると考えるべきなのが自然のように思える。

 とはいえ,著作権のように死後50年で権利が消滅するという規定がない以上,何年間死者のパブリシティ権が保護されるのかはっきりしないし,どのような条件で保護されるのかもはっきりしない。

 アメリカでは,死者のパブリシティ権について各州ごとに一定のルールが確立しており,死者のパブリシティ権ビジネスに多くの弁護士も関わっていると聞く。
 日本においても,法律ではっきりすることが必要であろう。


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posted by 内田清隆 at 10:06| Comment(0) | TrackBack(0) | 知的財産法

2013年10月21日

物のパブリシティ権

 最高裁判決(http://uchida-houritsu.sblo.jp/article/53415247.html)によると,有名人の写真や氏名を広告に利用することは一定の場合許されない。
 いわゆるパブリシティ権というものである。

 では,人ではなく,有名な「物」,例えば世界的に有名なスポーツカー,著名な建築物などを利用することはできるのであろうか,物のパブリシティ権と呼ばれる問題である。

 この点は,下級審でも判断が分かれていたのだが,最高裁平成16年2月13日判決(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/js_20100319120716670381.pdf)は,法律上は「物」となる競走馬の名称の使用について,
 物の名称の使用など,物の無体物としての面の利用に関しては,商標法,著作権法,不正競争防止法等の知的財産権関係の各法律が,一定の範囲の者に対し,一定の要件の下に排他的な使用権を付与し,その権利の保護を図っているが,その反面として,その使用権の付与が国民の経済活動や文化的活動の自由を過度に制約することのないようにするため,各法律は,それぞれの知的財産権の発生原因,内容,範囲,消滅原因等を定め,その排他的な使用権の及ぶ範囲,限界を明確にしている。
 上記各法律の趣旨,目的にかんがみると,競走馬の名称等が顧客吸引力を有するとしても,物の無体物としての面の利用の一態様である競走馬の名称等の使用につき,法令等の根拠もなく競走馬の所有者に対し排他的な使用権等を認めることは相当ではなく,また,競走馬の名称等の無断利用行為に関する不法行為の成否については,違法とされる行為の範囲,態様等が法令等により明確になっているとはいえない現時点において,これを肯定することはできないものというべきである。

と判示して,物のパブリシティ権の存在について否定した。

 「あの伝説の競走馬,オグリキャップがついに復活!」と広告に用いることができるというわけである。

 最高裁によればパブリシティ権は「人格権に由来する権利の一内容」である。そして「人格権」は法的に保護されるが「馬格権」なるものは法的に保護されない以上,オグリキャップにはパブリシティ権がないということである。
 人と馬とを差別し,人を優遇するものであるが,法律をつくるのが人である以上,馬の権利は無視されてもやむを得ないということであろうか。

 もっとも,最高裁の判例が述べるように,場合により著作権法,商標法,不正競争防止法違反となる場合もあるので,注意が必要なことはいうまでもない。
 特に需要者に広く認識されている商品表示を,自社と何らかの関係があるかのように利用することは不正競争防止法違反になるので注意が必要である。


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posted by 内田清隆 at 15:35| Comment(0) | TrackBack(0) | 知的財産法

2013年10月10日

自炊代行は違法〜東京地裁平成25年9月30日

 所有者の代わりに紙の本を電子化するサービス,いわゆる「自炊」の代行は著作権侵害に当たるとして,代行業者に損害賠償などを命じる判決がでた。
 http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20131001115316.pdf

 一番の争点となったのは,複製の主体が,本の所有者なのか,代行業者なのかである。
 本の所有者が主体として複製することは「私的利用」として合法である。一方で,代行業者が主体として複製することは,私的利用ではないので著作権侵害として違法になる。

判決では,
「本件における複製は,書籍を電子ファイル化するという点に特色があり,電子ファイル化の作業が複製における枢要な行為というべきであるところ,その枢要な行為をしているのは,法人被告らであって,利用者ではない。」
と端的に指摘し,複製の主体は自炊代行業者であるとした。
 よって,自炊代行は違法であると判断されたのである。
 
 自炊は合法なのに,自炊代行は違法となるのは直観としてピンとこない。
 しかも,本を裁断して電子化を可能としても,本は売れなくなることはないであろうし,むしろ売れるようになるかもしれないと思うと釈然としないものがある。

 しかし,最高裁は,ロクラクU事件において,ユーザーが家で子機を操作して,テレビ番組を録画する場合にも,業者が管理している親機に自動的に保存され,ネットを経由して配信されている場合において,複製の主体は業者であるとしたのである。
 http://uchida-houritsu.sblo.jp/article/43154433.html 
 その判例からすれば自炊代行において,代行業者が複製の主体とされるのは,妥当性はともかくとして,自然の帰結ではあろう。
 
 本件の代行業者は,自炊代行に反対する作家122名の作品について,「利用者の依頼があってもスキャン事業を行うことがない旨回答」,つまりオプトアウトすると述べていた。
 にもかかわらず,その後,それらの作家の作品のスキャンを依頼され,これを行ったようである。
 その態度をみて,裁判所が業者を悪質だと判断した可能性はある。
 しかし,判決の雰囲気からして,きちんとオプトアウトしていたとしても結論は変わらなかったのであろう。

 
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posted by 内田清隆 at 12:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 知的財産法

2013年08月26日

存在しない町「アーグルトン」と著作権トラップ

かつてのグーグルマップでは,イギリス本島の北西部にアーグルトンという町が表示されていた。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%BC%E3%82%B0%E3%83%AB%E3%83%88%E3%83%B3アーグルトンの店やアーグルトンでの就職情報,アーグルトンのジョギングコースまで表示されていたが,実はアーグルトンという町が存在ないことが判明し,ネットでは話題になった。

存在しない町が表示されていた理由として,有力に主張されているのが「著作権トラップ」である。
グーグルマップを無断で複製するとアーグルトンの町まで複製されてしまう。そうすることで多少表示を変えていてもグーグルマップを複製したことが明らかになり,著作権を侵害していないと言い逃れできなくするためのトラップ(罠)だということである。

著作権トラップの恐ろしさを感じる事例を最近経験した。
トラップなのか,偶然なのか分からないが,あるプログラムにおいて,「JAPAN」のスペルがなぜか「JAPANE」になっていた。そのプログラム著作権を侵害したと主張されていたプログラムにおいても,同じく「JAPAN」が「JAPANE」となっていた。そのため,プログラムが似ているのは偶然であるという主張が,もろくも崩されてしまったという事例である。

著作権トラップの考え方は無断複製を禁止する以外にも色々使えるのかもしれない。
 それにしても悪いことはできないものである。


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posted by 内田清隆 at 23:51| Comment(0) | TrackBack(0) | 知的財産法

2013年08月06日

土屋アンナ舞台降板事件と知的財産権違反の警告

http://www.nikkansports.com/entertainment/news/p-et-tp0-20130806-1168788.html
 土屋アンナ(31)の初主演舞台「誓い〜奇跡のシンガー」が公演中止となった問題で、制作会社「タクト」が土屋に対して3000万円の損害賠償を求める民 事訴訟を東京地裁に起こすことが5日、分かった。「タクト」社長で演出家の甲斐智陽さんが「今週中に提出します」と明かした
 との報道があった。

http://anna-t.com/index.html
土屋アンナ氏側の言い分によると,
 原案の作者の方から「本件舞台の台本を見ていないうえ、承諾もしていない」という連絡があり、
不安に思い,出演を拒んだということらしい。

 制作会社が原案の作者の承諾なく,舞台化していたのであれば,公演は原案の作者の著作権侵害となる。
 その場合,同舞台に土屋アンナ氏が出演しないことは当然許されることであり,むしろ出演するわけにはいかないだろう。

 問題となるのは,原案の作者の承諾があったにもかかわらず,原案の作者が承諾をしていないと土屋アンナ氏に誤って述べていた場合である。


 似たような問題はよく起こる。
 B社が大手デパートと契約を結び,ある製品を大手デパートに大量に販売していた。
 ところが,その大手デパートに,A社から「B社の販売する製品は当社の特許権を侵害する製品であるので,販売を止めろ」という内容証明が届く。
 デパートがB社に確認すると,A社から特許権の実施の許諾を受けているといわれる。
 さてデパートはどうすべきなのか。販売を続けるべきか,販売を止めるべきか。
 デパート=土屋アンナ氏といった状況である。

 A社を信用して,B社との取引を止めるとB社に訴えられるかもしれない。
 B社を信用して,A社との取引を続けるとA社に訴えられるかもしれない。
 いずれかを判断せざるを得ないのだが,どちらを判断するにおいてもリスクはある。

 事前にそのような事態が生じた場合の対応について契約をしておけばリスクは減らせる。
 つまり事前に「知的財産権者から異議が出た場合には,その件が解決するまで販売(出演)を停止する」と契約を結んでおけば,取引を停止してもデパートはB社から訴えられることはないし,土屋アンナ氏は舞台に出演しなくても制作会社から訴えられる心配もない。

 しかし,大手デパートでもそんな契約はしていないし,ましてや芸能界の常識からしてそんな契約が交わされることは考えづらい。

 この訴訟はどうなるのであろうか。今後の進展を見守りたい。


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posted by 内田清隆 at 10:18| Comment(0) | TrackBack(0) | 知的財産法