2011年10月21日

売買代金・請負代金の時効は2年ー民法173条

 先日,ある会社に対して数百万円の債権を持っている方が相談に来られた。
 普通であれば,間違いなく回収できそうではあったのだが,残念ながら1か月前に時効になっていた。
 時効制度は,何とも恐ろしい。
 
 商事債権の時効は一般には5年であるが,この例外については注意が必要である。

 特に注意が必要なのが,売買代金や請負代金は2年で時効になる場合があるということである。
 少し,金額の事でもめていれば,2年は割とすぐである。

民法173条は
 「卸売商人および小売商人が売却した・・商品の代価に係る債権」
 「注文を受けて物を制作し又は自己の仕事場で他人のために仕事をすることを業とする者の仕事に関する債権」

の時効は2年と定めている。

 上記に当たる売買代金や請負代金等は2年間の間に支払ってもらうか訴訟手続きなどで時効中断させないと,消滅時効により,支払ってもらう権利がなくなってしまうのだ。

 2年はあまりに短い。そこで,この法律は,日常的な小額な代金は早期迅速に決済させようとする趣旨であり,会社同士の多額な取引には適用がないとする考えもある。
 そのような考えを受けて,近代的設備を備えた自動車修理工場の修理代金,印刷業者の印刷代金は,2年では時効消滅しないとする判例(昭和40年7月15日・最高裁,昭和44年10月7日・最高裁)もある。

 しかし,裁判例を見ていたら,業者同士の2億円以上の債権であっても,この条文により2年で消滅時効にかかってしまっている例(平成4年78月30日・東京地裁)もあった。
 2億円が時効で消滅してしまうのは何とも痛い。

 「売買代金,請負代金は2年で時効になる!」と思っていたほうが安心だ。

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posted by 内田清隆 at 09:50| Comment(0) | TrackBack(0) | 商取引法
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