2010年11月15日

著作権侵害訴訟における損害

 知財高裁平成22年10月28日の判例は,CDの作成依頼を受けた被告が,原告に無断でそのCDを販売したとして,著作権侵害で訴えられた事例である。
 最終的に著作権侵害は認められたが,認められたのは,でき上がり見本7枚の販売価格の7割の1万4700円分だけであった。

 高等裁判所まで争って,勝訴したのに,もらえる金額はわずか1万4700円。
 原告は,さぞむなしかっただろう。
 著作権侵害で訴えるときいつも苦労するのは,相手方がどれだけ著作権侵害をしているのかが分からないということである。
 「ごきぶり1匹を見つければ,10匹いると思え」というが,著作権侵害の事実が発覚したとしても,それが氷山の一角である可能性は高い。
 にもかかわらず,損害賠償を受けられるのはその氷山の一角だけなのである。

 原告は,被告の不法行為を調査するのに相当の労力が必要となる。
 一方で,被告が謝罪をせずに事実を争ったために訴訟にまで発展するのである。
 にもかかわらず,1万4700円を賠償すれば,他に賠償する必要がないというのが公平といえるだろうか?

 私自身も苦い思い出がある。極めて困難な裁判に勝訴し,判決で不法行為をしたのは被告と認定してもらうことはできた。
 しかし,損害額は,30万円しか認められなかったのだ。
 弁護士費用を考えれば,泣き寝入りをした方が得という悲しい結論であった。
 
 不法行為に対する損害賠償請求訴訟を行った場合に,被害者が「泣き寝入りをした方が得」という事態が起こらないような制度の確立が望まれる。
 懲罰的損害賠償制度,弁護士費用の敗訴者負担制度etc,弊害も大きな精度であろうが,そのような制度が必要なのだと思う。

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
↑↑弁護士がしているブログの人気ランキングです。色々な弁護士の見解を見ることができます。

金沢市の人気ブログランキング  
↑↑参加しています。クリックでご協力お願いします。

Twitterボタン

posted by 内田清隆 at 11:23| Comment(1) | TrackBack(0) | 知的財産法
この記事へのコメント
竹永です。
考えさせられます。あまりにも低額の賠償額はなんだか矛盾に感じますね。いい情報をありがとうございます。
Posted by 竹永 at 2010年11月15日 12:02
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

この記事へのトラックバックURL
http://blog.sakura.ne.jp/tb/41723507

この記事へのトラックバック