2024年08月04日

AI VS 人間の現在 〜AI時代の弁護士像

2013年3月、第2回将棋電王戦で、佐藤慎一四段(当時)が、現役のプロ棋士として初めてAIに公式の場で敗れた。その後、憑き物が落ちたかのようにプロ棋士たちが次々とAIに敗れていった。私を含めて、多くの将棋ファンが衝撃を覚えた出来事であった。

その4年後の2017年4月1日,当時名人だった佐藤天彦九段は,人間の名人として初めてAIに敗れた。いいところなく完敗であったが、既に驚きはなかった。将棋において既にAIが人間を超えていたことは明らかになっていたのだ。

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(撮影/川村直子) (c)朝日新聞社

圧倒的に強いAIが人間に勝つ惨殺ショーを好んでみたい人はいない。以降、AIと人間が本気で勝負をするという興行も行われなくなってしまった。


 2019年10月10日,東京カルチャーカルチャー(渋谷)にて開催された「商標調査対決AI VS 弁理士 」イベントで,AIが弁理士に勝った。
AIが弁理士に勝ったのは,ロゴ等の画像商標について,似ている商標がないかを検索する勝負(判定は,ある元審査官による)。「似ていると思うか」という人間的感覚の判断においてAIが人間に勝ったということが衝撃的だった。

 2020年12月8日,浙江大学光華法学院とアリババグループ傘下の研究所主催で行われた契約書レビュー大会において,AI弁護士と人間弁護士の連合チームが優勝と準優勝になり,人間弁護士だけのチームを圧倒した。

 その頃から、人間とAI対決の興行は、それほど話題にもならなくなった。特定の分野では、AIが人間を超えていることは明らかであり、興行としての価値がなくなってしまったのかもしれない。

 ある記事によると、アメリカではすでに、100の大型法律事務所の内41の法律事務所でAIを日常的に利用しており、AIの情報を鵜呑みにして存在しない裁判例を存在するとして書面を裁判所に提出した弁護士らが次々と懲戒処分にあっているそうだ。
参考
https://www.themarshallproject.org/2024/02/10/ai-artificial-intelligence-attorney-court

 2023年11月27日、イリノイ州南部地区連邦地方裁判所は、本物の弁護士(real lawyer)とロボットの弁護士(robot lawyer)の間の事件を取り扱った。
https://fingfx.thomsonreuters.com/gfx/legaldocs/gdpzwlbwjvw/MillerKing%20v.%20DoNotPay%20Decision.pdf
被告は、ネットを通じて「ボタン一つで誰でも企業と戦うことができる」AIを弁護士の代わりとするサービスを提供する会社。
原告であるシカゴの小さな法律事務所は、無資格で弁護士業を提供しているとして被告を訴えたが、結果的には被告の行為により損害が発生した立証がないとして原告敗訴となった。

 人間弁護士とAI弁護士との競争は、既に興行の段階にはなく、リアルな法廷闘争の段階に進んでいたというわけだ。

 今のところ日本では、AIを積極的に業務に取り入れている弁護士は少数派だと思うが、AIがプロ棋士に勝ち始めてから圧倒するまでわずか数年。日本でもAI弁護士が大きな力を持つようになるまで、そう時間はかからないであろう。 


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posted by 内田清隆 at 22:44| Comment(0) | TrackBack(0) | IT法
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