2017年08月16日

海外取引における管轄の決め方

海外企業との契約において、管轄をどこにするのかでもめることは多い。
日本企業は日本に、海外企業は自国に、管轄を設定しようとして争いになりがちだ。

しかし、本当に日本に管轄をもってくることが有利なのかはよく考える必要がある。

日本と中国会社の取引を例にとって考えてみよう。

日本に管轄を決めた場合には日本で裁判をすることになる。そこで勝訴判決を得たとしよう。
その場合でも中国会社の資産が日本にない場合には、日本の強制執行手続では債権を回収できない。
債権を回収するためには、中国で強制執行手続をとる必要がある。

しかしである。
日本の裁判所の判決は、中国(中華人民共和国)では承認を受けることができないというのが通説だ。
そうなると、日本でとった勝訴判決は中国では使えない。そして,中国で強制執行をするには新たに中国の裁判所で勝訴判決を得る必要があるということになる。
ところが管轄を日本と決めてしまうと中国で裁判をすることはできない。
その結果,法的手続では中国会社から債権回収が不可能という結果になってしまうのだ。

日本に管轄があった方が有利だと単純に考えられないわかりやすい事例である。

そう思うと、被告地主義、つまり訴える側が訴えられる側の国に行って訴訟を提起しなければならないとすることは合理的な選択の一つだ。
相手方会社の所在国に相手方の資産がないことはないし、相手方所在国でとった勝訴判決がその国の強制執行手続きに使えないはずもない。

また、日本の仲裁裁判所を管轄としておけば安心でもある。
仲裁条約によって、日本の仲裁判断はほとんどの国で承認される。

いずれにせよ、承認の可否、資産の所在地、取引の規模、紛争の可能性など諸般の事情を考慮して管轄を決めることが重要だ。


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posted by 内田清隆 at 13:42| Comment(0) | TrackBack(0) | 商取引法