2016年08月03日

著作権切れの絵画の写真

著作権が切れている絵画の写真を,誰の許可も得ないでホームページで公開することに問題はないのであろうか。
何度か訴訟でも争われているが,結論からいえば,原則問題がないということになる。

所有権侵害
まず,絵画の所有者に無断で絵画の写真を公開することが,絵画の所有者の所有権の侵害にならないかが問題となる。
この点が争われた有名な裁判が,いわゆる顔真卿事件である。
唐時代の書家である顔真卿の書の写真を,書の所有者に無断で発行した人が,所有者から所有権侵害で訴えられた。
28.8.3 図@.jpg

それに対して 最高裁は,
「博物館や美術館において、著作権が現存しない著作物の原作品の観覧や写真撮影について料金を徴収し、あるいは写真撮影をするのに許可を要するとしているのは、・・・所有権者が・・・原作品を所有していることから生じる反射的効果にすぎない」として,所有者に無断で芸術作品の写真を公開することは所有権の侵害にはならないことを明確にした。

写真の著作権侵害
また,写真の撮影者に無断で絵画の写真を公開することが,写真の撮影者の著作権の侵害にならないかが問題となる。
この点が争われた裁判が版画写真事件である。
ある雑誌に掲載されていた版画の写真を,撮影者の承諾も受けずに別の本に載せたところ,撮影者から著作権侵害で訴えられたという事件である。
28.8.3 図A.gif

裁判所は,「撮影対象が平面的な作品である場合には,正面から撮影する以外に撮影移置を選択する余地がない」「技術的な配慮も,原画をできだけ忠実に再現するためにされるものであって,独自に何かを付け加えるというものではない」として,版画の写真の著作物性を否定して訴えを棄却した。
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/734/013734_hanrei.pdf

「写真の著作物」として著作権で保護されるためには,撮影者の創作性が表現されることが必要であるが,通常の絵画写真は,絵画の複製物であって,撮影者の創作性は表現されていないというわけである。

もっとも前者の所有権の問題については,確定した判例であるといってよいと思うが,後者の著作権の問題については微妙な点もある。
凹凸のある絵画である場合はどうか,光の当て方や露出などに工夫がみられる場合はどうか,どの程度の工夫があれば「創作性」があるといえるのかなど,未解決な問題も多い。
今後も注意して裁判例を見守っていきたい。


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posted by 内田清隆 at 14:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 知的財産法