2015年10月02日

海洋堂のフィギュアは芸術か?〜応用美術と著作権

幼稚園生が書いた絵であっても「著作権」は認められる。著作権が成立するために,高度の芸術性は不要であるというのが通説だ。

ところが,「応用美術」=実用目的で製作された創作品については,「純粋美術」=専ら鑑賞目的で製作された創作品と異なる扱いを受ける。
「応用美術」については,「純粋美術と同視し得る程度の美的創作性を具備している」こと,いわば,芸術的でないと著作権が認められないとするのが一般の裁判例だ。

 例えば,大阪高裁平成17年7月20日判決
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/446/009446_hanrei.pdf
は,海洋堂のフィギュアについて,これを「実用目的」だとしたうえで,妖怪フィギュアについては相当程度の美術性を備えているとして著作物とした一方,動物フィギュアについては,美的創作性はないとして,著作物ではないとした。

さる.jpg

常々,この結論には疑問を持っていた。

古来日本では,「用の美」こそを尊んできた。襖絵にしても屏風絵にしても,日本美術の多くは,実用品であり,実用品であるからこそ「美」であるとしてきたのである。
にもかかわらず,実用品は著作物ではないとすれば,すべての日本美術が否定されることになりかねない。

また,裁判官が美的創作性を備えているなどと判断できるのであろうか。
「美」とは何かについては,古来より多くの哲人たちが頭を悩ませてきた結論の出ない問題である。
「美的」かどうかなど,どうやって判断してよいのか私にはわからない。

海洋堂のつくる猿に,どのような実用目的があるのか分からないし,十分に美的であると思うのは,自分一人ではないだろう。

知財高裁平成27年4月18日判決
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/044/085044_hanrei.pdf
は,この点につき画期的だ。
「茶の湯に用いられる茶碗などの茶碗は,実用品であるが・・・著作権法によって保護されることは明らかである。」
「応用美術が,量産される実用品に用いる目的で作成されることは,著作物として保護されるために特別な要件を課す根拠にはならない。」
として,
いす.jpg

椅子であっても,著作物であると判示した。

実に妥当な判決だと思う。


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posted by 内田清隆 at 10:37| Comment(0) | TrackBack(0) | 知的財産法