2015年08月17日

王陽明と訴訟

 私が敬愛する王陽明は,仕事が忙しくて勉強ができないと言うある裁判官に対してこう答えている。

 我何ぞ嘗て爾(なんじ)をして簿書訴獄を離了(はな)れて,懸空に去りて学を講め(きわめ)しめんや
 その応対の無状に因りて,この怒心を起すべからず。
 他(かれ)の言語の円転なるに因りてこの喜心を生ずべからず。
 自己の事務の煩冗なるに因りて,意に従いて荀旦(こうしょ)に之を断ずべからず。
 ただ此の心一毫も偏倚(へんい)有りて人の是非を曲げんとことを恐るるは,這れ(これ)便ち(すなわち)是れ格物致知なり(伝習録下巻・18条)

 (私がいつ,訴訟事件の処理を離れて勉強を極めなさいと言ったか。
  当事者の態度が悪いからと言って腹を立てるな。
  当事者がうまいことを言うからと言って喜ぶな。
  仕事が忙しいからと言っていい加減に処理するな。
  このように良心に偏りがなく,是非を誤らないようひたすら留意することこそが勉強である。)

  「仕事が忙しい!勉強する時間がない!」という言い訳は,古来から多くの人が言っているらしい。
 「それは言い訳だ。仕事を離れて勉強などない。誠実に仕事をすることこそが勉強だ!」と王陽明は言う。
 「事上磨練」にして「知行合一」,王陽明の言葉はいつも身に染みる。

  しかし思うのは,陽明がこのようなことをいうということは,
   当事者の態度が悪いと怒る裁判官
   当事者から気の利いたことを言われて喜ぶ裁判官
   仕事が忙しいからと言って手を抜く裁判官
 が昔はたくさんいたということだ。
  いや,今も変わらないのかもしれない。
  それは,弁護士でも同じことであろう。
  心しておきたい。

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posted by 内田清隆 at 10:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 弁護士雑感