2015年06月06日

懲罰的損害賠償の可否

昨今,日本弁護士連合会は,「抑止的付加金制度」という名称で,不法行為において,実際に生じた損害額以上の賠償金を被害者に支払うことを加害者に命ずる制度を検討している。
http://www.toben.or.jp/message/libra/pdf/2012_06/p02-19.pdf
http://www.nichibenren.or.jp/library/ja/jfba_info/organization/data/17th_keynote_report_11.pdf
これは名称は異なるが,米国で認められている懲罰的損害賠償と同様の制度である。米国では,3倍賠償と呼び,一定の悪質な不法行為に対しては,懲罰として実際に生じた損害額の3倍の金額の支払を命じている。

私は,かかる制度の導入に強く賛成したい。
理由は,「正しい人が損をしない」社会の実現に必要だからに尽きる。

「無断駐車した場合には罰金1万円を頂きます」というはり紙は法的には無効である。現在の法律では,基本的には,無断駐車に対しても,実際に生じた損害=妥当な駐車料金の賠償が可能なだけである。
1日1000円の駐車場に1日無断駐車された場合には,1000円の損害賠償しか請求できない。
つまり,無断駐車であっても,契約をして駐車する人と同じだけの駐車料金を払えばよいのであり,ばれなければ,1円も払わなくてよいのである。ばれてしまっても,ばれるまでに使用した時間分だけ通常の駐車料金を支払えば済む。これで,公平といえるであろうか。

私の関わった案件でこんなことがあった。
依頼者の商標権を侵害している製品が市場に出回っていることが判明した。少なくとも10個は販売されていた。
そこで,出処を突き詰め,相手方に賠償を求めたが,相手方は責任を否認した。
そのため,訴訟を提起し,ようやく勝訴した。

しかし,認められた賠償額は,製品10個分の妥当なライセンス料だけであった。10個分についてライセンス契約を結んだ場合と同じライセンス料に過ぎない。
しかも,相手方が販売した個数が10個というのは相当に疑わしいにもかかわらず,販売を証明できた10個分のライセンス料しか受け取れないのである。
苦労に苦労を重ねて裁判をしても,このような結果である。
これで,公平といえるのであろうか。


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posted by 内田清隆 at 23:36| Comment(0) | TrackBack(0) | 弁護士雑感