2015年02月08日

財産開示手続の問題点

平成15年の民事執行法改正において,債権者の申立により債務者を法廷に呼び出し,保有する財産を開示させる制度,「財産開示制度」が創設された。

裁判で勝訴しても,相手方が任意に支払わない場合に,相手方の財産がどこにあるのか分からないと差押えすることもできず,判決書も紙切れ同様となってしまう。

それでは,司法手続の意味がないということで,債務者の財産を国家権力を行使して開示させ,金銭債権の強制執行の実効性をあげようとする制度だ。

しかし,ある統計によると開示される割合は3分の1に過ぎない。私自身も相当数財産開示の申立を行ったのだが,実効性には問題があると感じた。というのも罰則は最大で30万円の過料の制裁でしかない。過料の制裁に処してもらい,繰り返し申立を行い「開示しなければ永遠に過料の制裁が繰り返されますよ!」という気迫を見せることで支払を受けたこともある。しかし,財産開示申立にそれなりの弁護士費用もかかった。債権者の経済的利益だけを考えると,プラスになったともいえない状況であった。

同様の手続きについて,フランスでは検察官が金融機関から債務者の財産に関する情報の提供を受けられることになっており,米国やドイツでは債務者が出頭を拒否すると監獄に収監されることになり,財産開示は実効的になされている。

裁判で支払命令がでても現実には支払われないというのであれば,裁判をする意味もない。そのような状況が続けば,司法に対する信頼も揺らいでしまう。そう考えると財産開示手続の実効性の確保は重要な問題だ。

改正について議論はなされているのだが,なかなか前に進まない。
ベストの制度を考えるのは難しいところだが,もう少し実効性を高めることは容易な話だと思う。難しいことを考えずに,まずは変えてみる必要があると思うのだが・・・。


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posted by 内田清隆 at 21:37| Comment(0) | TrackBack(0) | 債権回収・管理