2014年09月22日

契約書に著作権はあるの?

先日,契約書には基本的に著作権はないという投稿をした。
http://uchida-houritsu.sblo.jp/article/92790905.html

契約書に附帯する約款・規約なども同様に考えてよいはずである。

しかし,東京高等裁判所平成26年7月30日判決では,規約に著作物性を認めている。
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/445/084445_hanrei.pdf

 東京高裁も,基本的には規約においては,「著作物性は否定される場合が多い」としながらも,「全体として作者の個性が表れているような特別な場合」には著作物性が認められるとした。そこまでは,異論はないだろう。

問題は,そのあてはめである。
東京高裁は,
原告規約文言は,疑義が生じないよう同一の事項を多面的な角度から繰り返し記述するなどしている点(例えば,腐食や損壊の場合に保証できないことがあることを重ねて規定した箇所がみられる原告規約文言4と同7,浸水の場合には有償修理となることを重ねて規定した箇所が見られる原告規約文言5の1の部分と同54,修理に当たっては時計の誤差を日差±15秒以内を基準とするが,±15秒以内にならない場合もあり,その場合も責任を負わないことについて重ねて規定した箇所がみられる原告規約文言17と同44など)
を指摘し,同規約は全体として作者の個性が表れているとして,著作権法の保護の対象としたのである。

規約本文が見られないのでなんともいえないが,規約において,同じことを重ねて記述することは珍しいことではないだろう。にもかかわらず,それだけで「全体として作者の個性が表れている」というのには違和感を感じる。

判決文を見る限り,長文の規約をほとんどデッドコピーしたという事案のようである。
規約には,基本的に著作権はないとしても,長文のものをデッドコピーすることは,相当にリスクがあると考えた方がよいのかもしれない。


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posted by 内田清隆 at 16:47| Comment(0) | TrackBack(0) | 契約書作成

2014年09月03日

アセアン諸国の模倣品対策と特許権侵害の刑事告訴

 先日,ジェトロ金沢https://www.jetro.go.jp/jetro/japan/kanazawa/で,別の弁護士と共に「海外ビジネスに取り組む際の留意点」という内容のセミナーを行わせていただいた。
 その際にうかがったジェトロ知的財産課アドバイザーによる東南アジアにおける模倣品対策のお話が,具体的な実例も多く大変興味深かった。

 各国の税関における水際対策の概要については,
インドネシア:水際対策前に訴訟が必要か「未決定」
マレーシア :水際対策前の訴訟は著作権の場合は不要と「解される」
という非常に曖昧なものであった。

 詳しく話を聞いてみると,法律は存在しても,上記両国では水際対策は実際には機能していない状況であるため,実際どのように運用されるのかよく分からないという話であった。
 そのお話を聞き,アセアン諸国は法律整備が遅れていることを改めて感じた。

 しかし,考えてみれば,日本でも似たような状況はある。
 あるデータによれば,特許権侵害を刑事事件として,検挙した件数は平成25年において全国で1件しかない。
 特許権侵害について刑事罰を定める法律は存在しても,実際には機能していない状態であるといえよう。
http://www.npa.go.jp/safetylife/seikeikan/niseburando.pdf#search=%27%E8%AD%A6%E5%AF%9F+%E7%9F%A5%E7%9A%84%E8%B2%A1%E7%94%A3%27 4頁

 そう思うと,当然のことながら,「法律の内容」だけでなく「実際の運用」を知らないと適切な判断はできないことを改めて感じた。
 ついつい弁護士は,「法律はこうなっている」という点ばかりに目を向けてしまいがちだが,実際問題としてどこまで効果的なのかという視点を忘れないようにしたい。


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posted by 内田清隆 at 23:16| Comment(0) | TrackBack(0) | 知的財産法