2014年04月09日

他人の契約書をコピペしていいの?〜契約書の著作権

契約書案を作るときに,誰かが作った契約書を少しだけ修正して,契約書案を作ってもいいのであろうか?
「契約書」に著作権があるのであれば,無断複製として著作権侵害になる。
一方で,「契約書」に著作権がないのであれば,自由に利用しても問題ないということになる。
では,「契約書」に著作権はあるのであろうか。

結論からして,基本的に著作権はない。
誰かが作った契約書を少しだけ修正して契約書案を作っても原則OKである。

古い裁判例であるが,

東京地裁昭和40年8月31日判決は,「(契約書案には)思想は,何ら表示されていのであって・・・著作権の生ずる余地はない」「契約条項の取捨選択にいかに研究努力を重ねたにせよ,その苦心努力は,著作権保護の対象とはなり得ない」として,船荷証券の原案という特殊事例であるが,契約書には著作権がない旨を述べている。

東京地裁昭和62年5月14日判決においても,「(契約書案の内容は)思想または感情を創作的に表現したものであるとはいえないから,著作物ということはできない」として,契約書案の著作物性を否定している。

著作権法の大家,中山信弘先生も,その判決に対する解説において
「作成に多大な労力や知識を必要とするとしても,契約の内容に関する苦労であり,表現についての創作でないことが多い。」として,著作権法で保護されるのは,創作的表現である以上,「契約書は著作物とならない場合が多いと考えられる。」
「相当特徴ある表現がなされていない限り…著作物性は否定される」(ジュリスト・989号・106頁)と結論付けている。

何時間も考え抜いて作りだした契約書案を他人が自由に利用できるというのは,悲しいものがある。しかし,逆に,他人が作った契約書案をコピペできないとなすれば,とても大変だ。
そう思うと,契約書の文案に強い著作権を与えないというのはバランスのよい結論なのであろう。


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posted by 内田清隆 at 14:14| Comment(0) | TrackBack(0) | 知的財産法