2013年11月27日

パテントトロールとテキサスの蛮行

表向きは,ソフトウェア開発などの事業を行っているようだが,実は,個人などから特許権を買い集め,特許権侵害を理由に大企業から損害賠償金を得ることで生計を立てる中小企業や個人,通称「パテントトロール」が米国で大活躍をしている。

先日受けた日弁連の研修によると,米国ではパテントトロールによる訴訟が急増しており2010年には特許侵害訴訟の29%に過ぎなかったものが,2013年には62%に達しているとのことであった。

米国特許訴訟では多額のコストがかかる。特にe-ディスカバリーと呼ばれる文書の開示手続に費用がかかる。1000万件の書類の提出を余儀なくされ億単位のコストがかかるということもよくあるということである。
パテントトロールに訴えられた大企業はその莫大なコストを負担するが,実体のないパテントトロールはそのコストを負担しない。そう考えれば,特許を買い取り,負けそうな事件でも訴訟を提起し和解に持ち込むというのは合理的な戦略なのかもしれない。

パテントトロールは全米各地を放浪し,勝てそうな裁判所を探して,そこで訴訟を提起するそうだ。テキサス東部地区の裁判所では,数年前まで原告が90%という圧倒的な勝率を誇り,多数のパテントトロールを引き寄せていたらしい。

私はパテントトロールには好意的であったりする。中小企業が知力を武器に大企業に戦いを挑む姿は悪いイメージではない。
昔テキサスに住んでいたとき,ちょっとした揉め事に遭遇したところ,友人が銃をもって走ってきたことがあった。「自らの手は自らで守る」「政府や大企業の庇護はいらない」アメリカンドリームを愛する,個人の自由を何よりも愛する古き良き?アメリカがそこにあった。

現在の米国のパテントトロール跋扈状況は異常であろうが,米国だけは,力の弱い発明家の個人が夢をもてる国のままであってほしい。


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posted by 内田清隆 at 21:28| Comment(0) | TrackBack(0) | 知的財産法

2013年11月16日

競業避止義務特約の有効性の判断ポイント

従業員が退職後,ライバル会社に就職するのを辞めさせたい!というニー ズはかなりある。
私自身もそのような裁判に何度か関わったことがある。

そのときに,いつも問題となるのが「ライバル会社で働くことを禁止する」といった就業規則や誓約書,すなわち競業避止義務特約である。

契約は本来自由であるはずである。
しかし,競業避止義務特約は職業選択の活動の自由を制限するものであるため,一定の場合にしか有効にならないのである。

この点,経産省が,過去の裁判例を詳しく分析し,有効性判断のポイントをあげている。
http://www.meti.go.jp/policy/economy/chizai/chiteki/trade-secret.html#kuwashiku

乱暴にまとめると以下のとおりである。
・会社に営業秘密等の守るべき利益がないとダメ
・従業員すべてはもちろん特定の職位にある者すべてを対象と している場合はダメ
・競業避止義務期間が2年以上となっているとダメ,1年以下にすべき
・競業を禁止するかわりに手当等の代償措置が設定されていないとダメ

これらはなかなか厳しいもので,数年前に読んだ本と比較してもそのハードルは上がっているように思える。
中小企業において,従業員によって誓約書を使いわけ,それにふさわしい代償措置を準備するというのは容易な話ではないだろう。

当然のことではあるが,ライバル会社に転職されないように,「よい会社」にするというのが一番大切ということであろう。


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posted by 内田清隆 at 20:48| Comment(0) | TrackBack(0) | 労働問題

2013年11月05日

財産開示の効用と限界

「財産開示」制度利用すれば,差押えることができる財産の所在が分からなくても,相手方を裁判所に呼び出し,財産の所在を聞き出すことができる。相手方が嘘を述べた場合には過料の制裁もある。

しかし,その過料の制裁額は,わずか30万円である。ずる賢い相手方であれば,嘘をついて30万円を支払い,差押えを逃れようとするはずである。

しかも,その30万円は,刑事罰としての「罰金」ではなく,過料に過ぎない。刑事罰の罰金であれば,支払をしないと労役場留置といって刑務所に入れられ労働をしなければいけなくなる。しかし,過料の場合は,税金と同じで,支払をしないと財産の差押えを受けるだけである。差押を逃れるために嘘を述べた者に対する罰が差押だけでは意味がないと思われる。

実際に,財産開示期日に嘘をついて差し押さえを逃れて,過料の制裁を受けたものの,それすら踏み倒している者を目にしたこともある。

このような制度では実質がないとして,現在,改正が議論されているわけであるが,もちろん現制度がまったく意味がないわけではない。

裁判所に呼び出され,自分の財産がどこにあるかを言わなければいけないというのは非常に苦痛だ。

しかも,嘘をつくと低額とはいえ罰則があるにもかかわらず,嘘をつくというのは良心がある者にとってはなかなかできるものではない。そのため,実際には財産開示制度を利用すると,任意で支払をする人も少なくないのである。

とはいえ,数百万円であればそのような「良心」に基づく対応も期待できるところであるが,数千万円以上の話となれば,良心も期待できない。

早めの改正を期待したいものである。 


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posted by 内田清隆 at 10:05| Comment(0) | TrackBack(0) | 債権回収・管理