2013年08月26日

存在しない町「アーグルトン」と著作権トラップ

かつてのグーグルマップでは,イギリス本島の北西部にアーグルトンという町が表示されていた。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%BC%E3%82%B0%E3%83%AB%E3%83%88%E3%83%B3アーグルトンの店やアーグルトンでの就職情報,アーグルトンのジョギングコースまで表示されていたが,実はアーグルトンという町が存在ないことが判明し,ネットでは話題になった。

存在しない町が表示されていた理由として,有力に主張されているのが「著作権トラップ」である。
グーグルマップを無断で複製するとアーグルトンの町まで複製されてしまう。そうすることで多少表示を変えていてもグーグルマップを複製したことが明らかになり,著作権を侵害していないと言い逃れできなくするためのトラップ(罠)だということである。

著作権トラップの恐ろしさを感じる事例を最近経験した。
トラップなのか,偶然なのか分からないが,あるプログラムにおいて,「JAPAN」のスペルがなぜか「JAPANE」になっていた。そのプログラム著作権を侵害したと主張されていたプログラムにおいても,同じく「JAPAN」が「JAPANE」となっていた。そのため,プログラムが似ているのは偶然であるという主張が,もろくも崩されてしまったという事例である。

著作権トラップの考え方は無断複製を禁止する以外にも色々使えるのかもしれない。
 それにしても悪いことはできないものである。


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posted by 内田清隆 at 23:51| Comment(0) | TrackBack(0) | 知的財産法

2013年08月12日

労働審判に強い弁護士

労働審判では口頭での審理を重視するというのが建前であった。
しかし,多くの審判官は,実態についてはほとんど書面だけで審理し,口頭で行うのは和解に向けての交渉ばかりというケースが多い。

そうなると労働審判に強い弁護士に必要な能力は,
@説得的な書面の作成能力
A的確な和解をする能力
ということになるであろう。

説得的な書面の作成能力は常に要求される弁護士の基礎的能力であるが,労働審判において的確な和解をする能力はやや特殊である。

労働審判の大きな特徴は3回で終わってしまうという点であり,とにかく時間制限が厳しい。
そのため,審判官も早急な和解を求めてくるので,和解といっても,駆け引き的要素は乏しく,審判官の提示する和解案を承諾するか否かについて即決を迫られるケースが多い。
したがって,労働審判において的確な和解をするには,和解案の妥当性の判断,つまり訴訟となった場合の結論の見通しを的確にすることが重要である。

しかし,これがなかなか難しい。私の経験からしても,全国の平均からしても労働審判から訴訟へ移行するケースは少なく,多くは和解によって終わってしまう。そのため,訴訟となった場合の経験が少なく,訴訟での結論の見通しを理解するのが困難なのである。

そう考えると,経験に頼らず多くの裁判例を読み,勘を養うしかないのであろう。どんな案件でもその勘が重要であるが,労働審判では特に重要だ。

労働審判については問題点も感じるが,早期解決という点で非常によい制度だと思う。
労働審判に強い弁護士になるべくもっと精度の高い勘を養っていきたいところである。


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posted by 内田清隆 at 17:32| Comment(0) | TrackBack(0) | 労働問題

2013年08月06日

土屋アンナ舞台降板事件と知的財産権違反の警告

http://www.nikkansports.com/entertainment/news/p-et-tp0-20130806-1168788.html
 土屋アンナ(31)の初主演舞台「誓い〜奇跡のシンガー」が公演中止となった問題で、制作会社「タクト」が土屋に対して3000万円の損害賠償を求める民 事訴訟を東京地裁に起こすことが5日、分かった。「タクト」社長で演出家の甲斐智陽さんが「今週中に提出します」と明かした
 との報道があった。

http://anna-t.com/index.html
土屋アンナ氏側の言い分によると,
 原案の作者の方から「本件舞台の台本を見ていないうえ、承諾もしていない」という連絡があり、
不安に思い,出演を拒んだということらしい。

 制作会社が原案の作者の承諾なく,舞台化していたのであれば,公演は原案の作者の著作権侵害となる。
 その場合,同舞台に土屋アンナ氏が出演しないことは当然許されることであり,むしろ出演するわけにはいかないだろう。

 問題となるのは,原案の作者の承諾があったにもかかわらず,原案の作者が承諾をしていないと土屋アンナ氏に誤って述べていた場合である。


 似たような問題はよく起こる。
 B社が大手デパートと契約を結び,ある製品を大手デパートに大量に販売していた。
 ところが,その大手デパートに,A社から「B社の販売する製品は当社の特許権を侵害する製品であるので,販売を止めろ」という内容証明が届く。
 デパートがB社に確認すると,A社から特許権の実施の許諾を受けているといわれる。
 さてデパートはどうすべきなのか。販売を続けるべきか,販売を止めるべきか。
 デパート=土屋アンナ氏といった状況である。

 A社を信用して,B社との取引を止めるとB社に訴えられるかもしれない。
 B社を信用して,A社との取引を続けるとA社に訴えられるかもしれない。
 いずれかを判断せざるを得ないのだが,どちらを判断するにおいてもリスクはある。

 事前にそのような事態が生じた場合の対応について契約をしておけばリスクは減らせる。
 つまり事前に「知的財産権者から異議が出た場合には,その件が解決するまで販売(出演)を停止する」と契約を結んでおけば,取引を停止してもデパートはB社から訴えられることはないし,土屋アンナ氏は舞台に出演しなくても制作会社から訴えられる心配もない。

 しかし,大手デパートでもそんな契約はしていないし,ましてや芸能界の常識からしてそんな契約が交わされることは考えづらい。

 この訴訟はどうなるのであろうか。今後の進展を見守りたい。


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posted by 内田清隆 at 10:18| Comment(0) | TrackBack(0) | 知的財産法