2013年07月22日

サルカニ合戦のカニを弁護した弁護士の話


  サルカニ合戦のカニは,雄弁で名高い某弁護士の弁護にもかかわらず,死刑になったそうである。
http://www.aozora.gr.jp/cards/000879/files/140_15196.html 

 いわれてみれば,至極当然である。いかにサルの態度が悪かろうが,復讐として殺してしまうことを正当化する法理論はない。
 そもそもサルがひどいといっても,サルはわざとカニをつぶしたわけではないのであろうから,復讐され殺されるべきほどひどいともいえない
(なお,最近はカニやサルは怪我をする程度で,サルは反省して平和に暮らすと改作されたものが多く出回っているようだが,カニはサルにつぶされ圧死し,サルは臼につぶされ圧死するというお話を前提としている)。

 
 その弁護士がふるっている。

 芥川氏によれば,
 蟹の弁護に立った,雄弁で名高い某弁護士も,裁判官の同情を乞うよりほかに,策の出づるところを知らなかったらしい。
 その弁護士は気の毒そうに,蟹の泡を拭ってやりながら,「あきらめ給え」と云ったそうである。
 もっともこの「あきらめ給え」は,死刑の宣告を下されたことをあきらめ給えと云ったのだか,弁護士に大金をとられたことをあきらめ給えと云ったのだか,それは誰にも決定出来ない。

とのことである。

 裁判官の同情を乞うよりほかに策のない案件に弁護士が直面する場合は多い。
 そんなときどうすれば良いのか皆悩むのが常であるが,泡を拭ってやりながら「あきらめ給え」と言うとは。。。


↓↓弁護士ブログの人気ランキングです。↓↓
にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ

金沢市の人気ブログランキング
↑↑参加しています。クリックでご協力お願いします。↑↑
posted by 内田清隆 at 11:36| Comment(0) | TrackBack(0) | 弁護士雑感

2013年07月10日

合弁契約とロシアンルーレット条項

 A社とB社が出資して合弁企業を作ったとしても,A社とB社との意見が対立して,合弁企業の経営を進めることができなくなるという状況(いわゆるデッドロック)が生じる場合がある。
 合弁契約を締結する際には,そのような状況を打開するためのいわゆるデッドロック条項が入れられることになるのだが,そのネーミングが面白い。

 有名なのは,通称ロシアンルーレット条項である。
 ロシアンルーレット条項とは,一方当事者が株式の単価を決定し,他方当事者に対して,その単価で相手の所有する株式全部を相手から買い取るか,その価格で自己の所有する株式全部を相手に売却するかの選択を迫れるようにするという条項である。
 例えば,A社がB社に対して「A社の有する株式を1株100円で買い取れ」と申し出る。B社はこれを承諾することもできるし,これを拒絶して,逆にB社の有する株式を1株100円でA社に買い取らせることが可能となる。

 ロシアンルーレットとは,拳銃に一発だけ弾薬を装填し,適当にシリンダーを回転させてから自分の頭に向け引き金を引くという恐怖のゲームである。
  A社は,高く株式を売却しようとすると逆にB社に申し出を拒絶され,高い値段でB社の株式を買い取らざるを得なくなるという恐れがある。
 その恐怖は,自分の頭に向け弾が出るかもしれない拳銃を引く恐怖と似ているし,売却しようと申し出したのに,逆に購入しなければいけなくなる点が,自分に拳銃を引く行為に似ている点からつけられたネーミングであろう。
 なかなか,ひどいネーミングだと思う。

テキサスシュートアウト条項というのもある。
 テキサスシュートアウト条項とは,双方当事者が,第三者に売却希望価格を書いた紙を封をして渡し,封を同時にあけて,高い値段をつけた方がその値段で相手方の有する株式を購入できるようになるという条項である(なお別の条項をテキサスシュートアウト条項と呼ぶ人もいて,結構適当である)
 例えば,A社が「1憶円」,B社が「2億円」として入札すると,B社はA社の有する株式を2億円で買い取ることになる。

 テキサスシュートアウトとは,ラスベガスでもっとポピュラーなポーカーのルールである。相手がつける売却希望価格を予想する点が,ポーカーで相手の手の内を予想する点に似ているためのネーミングであろう。

 日本において,法律用語が「おいちょかぶ条項」やら「ちんちろりん条項」などとネーミングされることは考えづらい。
 しかし,アメリカの法律の本では,まじめに「ロシアンルーレット条項とは?」「テキサスシュートアウト条項とは?」などと説明されているのだ。

 アメリカでは,契約や商取引を,ギャンブル同様のゲームととらえているともいえるし,逆にギャンブルを契約や商取引同様の真面目な頭脳戦であるととらえているのかもしれない。

 そう考えると,法律用語にもいろいろと国民性があらわれるものだ。


↓↓弁護士ブログの人気ランキングです。↓↓
にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ

金沢市の人気ブログランキング
↑↑参加しています。クリックでご協力お願いします。↑↑


posted by 内田清隆 at 16:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 契約書作成

2013年07月03日

ニコ二コ動画をサイトに埋め込むと著作権侵害?

 違法にアップされているニコニコ動画やYouTubeを自分のサイトやFACEBOOK等に貼り付け埋め込んでいる例をよく目にする。
 私自身もやってみたいと思ったことがあるのだが,弁護士として,違法な動画を自己のサイトに埋め込むわけにはいかないと思っていた。

 しかし,大阪地裁の平成25年6月20日判決によれば,違法にアップされたニコニコ動画を埋め込むことは著作権侵害にならないようだ。

 裁判所は
原告は,被告において,本件記事の上部にある動画再生ボタンをクリックすると,本件ウェブサイト上で本件動画を視聴できる状態にしたことが,本件動画の「送信可能化」(法2条1項9号の5)に当たり,公衆送信権侵害による不法行為が成立する旨主張する。
しかし,前記判断の基礎となる事実記載のとおり,被告は,「ニコニコ動画」にアップロードされていた本件動画の引用タグ又はURLを本件ウェブサイトの編集画面に入力することで,本件動画へのリンクを貼ったにとどまる。
この場合,本件動画のデータは,本件ウェブサイトのサーバに保存されたわけではなく,本件ウェブサイトの閲覧者が,本件記事の上部にある動画再生ボタンをクリックした場合も,本件ウェブサイトのサーバを経ずに,「ニコニコ動画」のサーバから,直接閲覧者へ送信されたものといえる。
すなわち,閲覧者の端末上では,リンク元である本件ウェブサイト上で本件動画を視聴できる状態に置かれていたとはいえ,本件動画のデータを端末に送信する主体はあくまで「ニコニコ動画」の管理者であり,被告がこれを送信していたわけではない。したがって,本件ウェブサイトを運営管理する被告が,本件動画を「自動公衆送信」をした(法2条1項9号の4),あるいはその準備段階の行為である「送信可能化」(法2条1項9号の5)をしたとは認められない。

と判示した。

 要するに,違法な動画がアップされているニコニコ動画を自分のサイトに埋め込んだとしても,違法な動画を送信する主体はニコニコ動画であり,埋め込んだ人ではないのであるから,埋め込んだ人に著作権侵害は成立しないという判断だ。

 ニコニコ動画をサイトに埋め込むと,一見すると,その動画はサイトの一部になっているかのように見えるようになる。
 リンクを張ることが著作権侵害になるかという議論において,あたかもサイトの一部のようになっている場合には,著作権侵害になるという見解が有力に主張されている。
 それと同じように考えると,違法にアップされたニコニコ動画を埋め込むことも著作権侵害になりそうであり,大阪地裁の判断が出たとしてもグレーな問題であると思う。

 いずれにしても,大阪地裁の判断も,違法にアップされていることが明らかな動画を埋め込むことは,著作権侵害の幇助として違法になることを前提としており,気を付けた方が良いことはいうまでもない。

↓↓弁護士ブログの人気ランキングです。↓↓
にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ

金沢市の人気ブログランキング
↑↑参加しています。クリックでご協力お願いします。↑↑
posted by 内田清隆 at 15:48| Comment(0) | TrackBack(2) | IT法