2013年02月22日

「かちかち山」にみる復讐の快楽

 残酷な昔話は多々あれど,かちかち山ほど極悪非道,人倫無視の昔話は寡聞にして知らない。
 「食人」という強烈なテーマで幕をあける。
 タヌキ汁にされそうになったタヌキは,縄をほどいたお婆さんを撲殺した上,それだけで飽き足らず,お婆さんの肉を骨から外し,これを鍋で煮ることで,自己を捕えたお爺さんに,「ばばぁ汁」を食わせる。何ともおぞましい復讐劇である。
 これに対するウサギの復讐も残虐を極める。タヌキの背中に負わせた薪に火をつけ,背中一面に大やけどという重傷を負わせ,さらにそこに唐辛子をすり込み絶望的な苦痛を与え,最後には,泥の船に乗せて溺死させてしまうのである。 

 「正々堂々と一騎打ち」という我々の知るサムライ魂とはおよそ無縁の陰湿かつ冷酷な世界観がそこにはある。

 そんなかちかち山だが,江戸時代には大人気を博していたそうである。
 思えば,同じく江戸時代に大人気だった「忠臣蔵」も我々の知るサムライ魂に反する残酷な話である。
 確かに,吉良上野介は悪い人間であったのかもしれない。しかし,屈強な47人もの男たちが正々堂々と戦いもせず,深夜に寝込んでいる高齢の吉良を襲い,惨殺したのである。

 人間とは残虐な生き物であり,残虐な復讐を好むのかもしれない。だからこそ,忠臣蔵やかちかち山が長年人気を博しているのであろう。

 裁判とは実に残酷な制度だと感じることがある。
 民事事件であれば強制的に財産を奪うことができるし,刑事事件であれば強制的に命さえ奪うことができる。
 それは法に則った正式な制度であり,何ら恥ずべきものではない。しかし,その中に,残虐な復讐心が紛れ込んでいることもまた間違いない。
 法に則っているのであるから,どんな厳しい行為であっても正義であると盲信して,残虐性から目をそむけ,残虐な復讐心に流され過ぎないようにしなければいけないと改めて思った。


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posted by 内田清隆 at 17:16| Comment(0) | TrackBack(0) | 弁護士雑感