2012年05月28日

精神異常を理由に解雇できるか?

 ある従業員が,事実でないにもかかわらず,
「自分は3年間にわたり,加害者集団やその依頼を受けた専門業者や協力者らによる盗撮や盗聴等を通じて日常生活を子細に監視されている。」
「加害者集団から職場の同僚に情報が伝わっていて,同僚から嫌がらせを受けている。」と言ってきた。
そして,
「このままでは危険だから事実が明らかになるまで出勤しない。」
と述べ,有給休暇をすべて取得し,40日も欠勤を続けている。

 さあ,どうしたらよいであろうか。

従業員が,明らかに精神異常をきたしている場合,会社はどう対応すべきであろうか。

 上記は,平成24年4月27日の最高裁判決の事案であり,実際にあった話である。
 その事案では,会社は,その従業員に対して,正当な理由なく無断で欠勤したことを理由として諭旨退職の懲戒処分とした。
 
 しかし,最高裁は,会社の処分を不当として,その懲戒処分を無効と判断した。
 最高裁は,「精神科医による健康診断を実施するなどした上で・・その診断結果等に応じて,必要な場合は治療を勧めた上で休職等の処分を検討し,その後の経過を見るなどの対応を採るべき」であると判示し,本件処分は,懲戒事由を欠き,無効であると判断したのである。

 つまり,正解は「あなたは精神異常の疑いがあるから病院にいきなさい」と命じなければいけないということになる。
 
 冷静に考えれば,最高裁の判断はもっともなものであると思う。
 しかし,相当に言いづらい話だ。



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posted by 内田清隆 at 11:22| Comment(0) | TrackBack(0) | 労働問題

2012年05月21日

ステルスマーケティングの違法性

 以前「食べログやらせ」は違法か?で,いわゆるステマが違法かどうかについて,基本的には違法でないが,やりすぎたら違法になるかもしれないというものに過ぎないことを説明した。
 
 その後,消費者庁は本年5月9日に「食べログやらせ」問題を受けてと思われるが,ガイドラインを一部改定し,下記の例を問題となる事例として追加した。 

 商品・サービスを提供する店舗を経営する事業者が、口コミ投稿の代行を行う事業者に依頼し、自己の供給する商品・サービスに関するサイトの口コミ情報コーナーに口コミを多数書き込ませ、口コミサイト上の評価自体を変動させて、もともと口コミサイト上で当該商品・サービスに対する好意的な評価はさほど多くなかったにもかかわらず、提供する商品・サービスの品質その他の内容について、あたかも一般消費者の多数から好意的評価を受けているかのように表示させること。
http://www.caa.go.jp/representation/pdf/120509premiums_1.pdf) 
つまり,代行業者に多数の投稿をさせ,「もともと好意的な評価はさほど多くなかった」場合に,「好意的評価を受けているかのように表示させること」は,問題であるということを明示したというわけだ。
 結局は,やりすぎると問題になるということであり,業者に投稿をさせること自体を取り締まろうというわけではない。
 
 しかし,好意的な評価が多いのであれば,わざわざ業者にお金を払って好意的な投稿をしてもらう理由はない。好意的な評価が「さほど多くなかった」からこそ,ステルスマーケティングを行うのである。そう考えれば,業者に投稿させることは,常に問題があると消費者庁は考えているともいえよう。
 
 とはいえ,消費者庁は,「具体的な表示が景品表示法上に違反するか否かは個々の事案ごとに判断されますので、御留意ください。」と指摘し,「違法となる事例」ではなく,「問題となる事例」とわざわざしており,どこまでやると違法になるのかははっきりしない。
 
 そもそも,不当景品類及び不当表示防止法は20条しかない法律である。そして,「実際のものよりも著しく優良であると示し・・・不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められる」表示を禁止しているに過ぎない(2条1項)。
 これだけの法律で,ステルスマーケティングが違法であるかどうかを判断しようとすること自体そもそも無理があるのではないだろうか。


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posted by 内田清隆 at 11:00| Comment(0) | TrackBack(0) | IT法