2018年04月24日

「言ったもん勝ち」のアメリカ的発想

英米法を少し本格的に勉強している。

その中で、どうしても慣れないのが「間違っていても何でもいいから言わないとダメ!」というアメリカ流の考え方だ。
米国司法試験では、余計なことを書いても、間違ったことを書いても減点されることはないそうだ。
一方で、言うべきことを書かないと大きく減点されるため、ともかく関係がありそうなことは何でも書いておくというのが基本になる。
とはいえ、なかなか間違っているかもしれないことをともかく書いてみるということはできないものだ。

そういえば以前米国の弁護士から、法廷で見た新人弁護士の面白い行動を聞いたことがある。
証人尋問では「異議あり」と述べて「誘導尋問です」と異議の理由を示すのだが、異議の理由をすぐに示すのは難しい。
そこで、新人弁護士は「異議あり」「誘導,重複,侮辱的,論争的,伝聞,誤導・・・尋問のいずれかです」とすべての理由を挙げていたというのである。
「そんな人いるかな〜」と笑って聞いていたのだが、アメリカ的にはそれほどおかしくないのかもしれない。
「間違ってもいい」「言わないよりは言った方がいい」、だから可能性のあることは全部言うという発想がアメリカ的なのだ。

思えば幼い頃から、「無駄口を叩くな」「余計ないことを言うな」と教育され、口に出さなくても理解し合える関係が理想の関係だと教わって生きてきた気がする。
しかし、「言わなくても当然分かるだろ!」ということが伝わっておらずに、紛争や裁判になるケースは多い。確かに口に出さずに理解し合うのは難しい。
そう思うと、アメリカ的な、間違っているかもしれないけれども関係するかもしれないことは、何でもともかく言っておくという姿勢にも一理あるのかもしれない。

言い過ぎればうっとうしくなるが、「言わなくても分かるだろう」が原因の誤解を生じさせないよう、少しはアメリカ的発想を身につけていきたいものだ。


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2018年01月21日

現代将棋界と「知のオープン化」の果て 


特許を取得するためには、新規性とともに、産業上の利用可能性が必要である。
そのため,いかに独創的であっても,産業に利用できない将棋の戦法について特許を取ることはできない。

特許取得が可能であれば,あの革命的な戦法『藤井システム』の創設者藤井猛九段は多大な利益をあげていただろう。
しかしながら,実際には,藤井システムで一番勝ったのは羽生善治竜王であり,彼が一番利益をあげたのかもしれない。


2014年米国電気自動車の王手テスラモーターズは、自らの特許を広く一般に無料で利用させるというオープン化宣言をした。
すると2015年、トヨタ自動車も自社が持つ燃料電池車の関連特許約5680件の無償提供を発表し、さらにはパナソニックも自社が持つIOT関連特許などすべてを無償提供すると発表した。
特許の世界のオープン化である。 

自社の技術をオープンにすることで、市場への他社の参入を誘導し,自社技術を世界標準仕様,デファクトスタンダードにしようという企みはもちろんあるだろう。
しかしそればかりでなく、LINUXが明示するように、知を共有することで共同的創造作業が可能となり、より技術を発展させ人類を幸せに導くという利他的な思想もあるのであろう。

この知のオープン化の果てにはどんな世界が待つのであろう。

知のオープン化をいち早く行ったのが将棋界だ。
エポックメイキングとなったのは,1992年、名著「羽生の頭脳」の発売であった。
羽生竜王は,最先端の研究について惜しむことなく公開した。
そのため,同書はそれまでの将棋本とは異なり,プロ棋士が参考にする本となった。「羽生の頭脳」を読んでいないプロ棋士が同書のとおりに負けるといった事態を引き起こした。

以降,研究内容を隠さないのが将棋プロの主流へと変わり、知のオープン化が進むことになった。
孤独な研究を続けるプロ棋士は少数派となり,多くのプロ棋士は自らの研究内容を惜しみなく公開しつつ,共同研究をするようになったのだ。

近年の将棋界は,いわばイノベーションの嵐が吹き荒れている。
以前は,矢倉91手組を筆頭に,長手数,前例をなぞることが多かった。前例の上に改良手を加えるという研究にウェイトがおかれていた。
ところが,最近では,3手目から,5手目から新手が飛び出すことも珍しくない。
見たこともない戦型が毎週のように飛び出す。
「狭く深く」から「広く浅く」へ。「改良」から「革新」へと変わったわけだ。

知がオープン化され,共同研究が進むにつれて,穴は一人で掘る時代でなくなった。
人気のある穴には,次から次へと人がやってきて鉱脈を探す。しかし、そこで新鉱脈を見つけることは競争が激し過ぎて大変だし,見つけたとしても得られる利益は少ない。それだったら,誰も手を付けていない大地を掘った方がいい・・・そんな理由で将棋界に変革が生じたように思える。

藤井4段の29連勝、加藤一二三引退、羽生竜王の国民栄誉賞受賞と将棋界が熱い。これは、知のオープン化にともなう技術革新の成果といえるのではないだろうか。

産業界においても,このまま知のオープン化が進めば,次から次へと技術革新が進み,見たこともないアイディアが次々と現れるのか。楽しみである。


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2017年12月07日

色彩のみからなる商標

今年4月から「音」や「色」だけで商標登録することが可能になった。
しかし,登録のハードルはなかなか高いようだ。

この記事を書いた12月6日の段階で,色彩のみからなる商標が登録されたのは,トンボ鉛筆とセブンイレブンの2つに限られるようだ。

トンボ.jpg


セブンイレブン.jpg

「色彩のみからなる商標」は,基本として商標登録はできず,その色彩が使用された結果,誰の商品・役務であるかが分かるようになること,すなわち「使用による識別力」が必要とされている。

トンボ鉛筆もセブンイレブンも,相当有名なマークであり,確かに,強い識別力をもっている。
ここまで強い識別力がないと登録できないのだとすれば,かなり厳しいハードルといえよう。

実際に特許庁のホームページによると,少なくとも282件の申請があったものの,前述のとおり登録にたどり着いたものは,たったの2件である。
もっとも厳しいといわれている,単色により特定する方法での商標登録は0件だ。https://www2.j-platpat.inpit.go.jp/syutsugan/TM_AREA_A.cgi?0&1512633844484

「MONO」のブランド名で知られるトンボ鉛筆にしても,当初,文房具全体での登録を目指していたが,最終的に「消しゴム」に絞ったうえで登録されることになったようだ。

実は私も,当事務所のイメージカラーを商標登録をしたいと夢見ていたが,これではとても登録は不可能だと思った。

どんな運用になるのだろうかと思っていたが,かなりの大企業だけに意味のある制度であり,MONOやセブンイレブンのデザインをうっかり使ってしまうこともなさそうなので,今のところあまり気にする必要はなさそうだ。


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2017年10月20日

No.1

随分前であるが,公正取引委員会は,
「No.1表示に関する実態調査報告書」
http://www.yakujihou.com/content/pdf/2-D2.pdf
というものを出したことがある。

「顧客満足No.1」「No.1法律事務所」「地域No.1」・・・
我々が目にする広告には「No.1」という表示がよく使われている。
これが不当な有利性・優位性の表示として消費者を誤信させ,景表法上の問題を発生させていないかについて調査したものである。

結論としては,No.1表示が不当表示とならないためには,
@No.1表示の内容が客観的な調査に基づいていること
A調査結果を正確かつ適正に引用していること
の両方の要件を満たす必要がある。

「顧客満足度No.1」といった表示は多いが,この場合の@客観的な調査としては,アンケートで顧客に意見を聞く必要が出てくる。
その際には,
・調査対象を自社の関係者に限らずに無作為に抽出する
・統計的客観性を確保できるだけの人数を準備する
・自社に有利になるような調査項目を設定しない
などに配慮する必要がある。
 古い報告書だが,現在でも同じことは当てはまるであろう。

余談であるが,同調査のもとになったアンケート調査は,公正取引委員会の消費者モニター(消費者取引適正化推進員194名)を調査対象者としている。
つまり,調査対象者は自組織の関係者に限っており,無作為に抽出していないのである。

本調査報告書の意見に従えば,同アンケート調査は,客観的な調査とはいえないダメな調査ということになるのだが・・・。


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2017年09月12日

「記録化」社会による裁判所の崩壊 

信号を無視したのはAかBか、、、それが分からないことで裁判が長期化する例は多かった。
 軽微な物損事故において、信号が何色であったか分からないために何年も裁判をしていると、不誠実ながら不毛感を感じることもあった。

 しかし,社会は変わりつつある。
 交差点付近の防犯カメラなどから、事故時の信号の色が分かることが増えた。
 最近ではドライブレコーダーの映像から、事故時の信号の色が分かることも多い。
 技術の進歩により,不毛を感じさせるような長い裁判が減ってきたのである。

 また、スマホのように,多くの人々がもてる簡易に録音・録画できる装置が増えた。
 昔は,長時間の録音をすると、テープの量が膨大になりその管理が大変であった。
 しかし今では,何時間にも及ぶ録画内容がごく小さな媒体にすべて記録できてしまう。
 そのため,録音・録画媒体が,種々の裁判に提出されることも非常に増えた。

 考えてみると,裁判の多くは,「信号が青だったのか赤だったのか」,「保証すると言ったのか言わなかったのか」といった,過去の事実の内容について争いがあるため起こるものだ。
 人間の行動の全てが録音・録画されていれば,ほとんどの裁判は不要になり,裁判所は閑古鳥が鳴くようになるであろう。
 そうなれば「裁判」をするのはもはや裁判官ではなく,録音・録画を調査するロボットだ。
現在の裁判所は不要となる。

 裁判になると分かるが,街には,すでに驚くほど多くのカメラが設置されており,人々の行動の多くがカメラに捉えられている。
 人間の行動の全てが録音・録画され,裁判所が不要となる社会の到来も,そう遠くないのかもしれない。


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2017年09月04日

著作権侵害判断の避けられないあいまいさ

ファンの方には,怒られそうだが,レゲエに精通していない自分に取って,レゲエの歌は,全部同じに聞こえる。ズッチャカズッチャカ,チャカポコチャカポコ・・

キャプチャ.PNG

あるとき,テレビCMで利用している楽曲が,某有名アーティストの楽曲とよく似ているので,著作権(翻案権)を侵害していないか心配であるという相談を受けた。

 実際に聞いてみたところ,非常によく似ている。これは著作権侵害にあたると直感した。
 ところが,その曲を弊所の職員数名に聞かせてみると「全然違う」「まったく似ていない」そんな意見が多かった。
 自分はもともと音痴であり,音楽の著作権侵害については,自分の耳を信用しない方がいいなと思った。

 最高裁は,有名な「江差追分事件」の判決で,著作権(翻案権)を侵害するかどうかの判断は,
既存の著作物の表現上の本質的な特徴を直接感得することのできるか
 という基準によるべきであると判示した。
  しかし,極めてあいまいな基準というしかない。プロのミュージシャンと私のような音痴のようでは,表現上の本質的特徴を感得できるかどうかは大きく違ってくる。音楽的素養の有無によって,判断は大きく異なってしまうのだ。
 「通常の音楽的素養をもつ一般人」を基準とすべきなのであろう。 
しかし,裁判官が通常の音楽的素養をもっているとは限らない。
通常の音楽的素養をもっていない裁判官が,通常の音楽的素養をもつ一般人がどう考えるかを判断することは非常に困難だ。

 陪審員制のように,一般人が関わり,多数決で決めることが正しい判断につながるのかもしれない。
 「本質的な特徴を直接感得できた人,手をあげて」と聞いて,手が多く上がったら,著作権(翻案権)を侵害しているというわけだ。
 いい加減すぎる感じだが,裁判官による判断であってもそう違わないのではという気がする。


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2017年08月16日

海外取引における管轄の決め方

海外企業との契約において、管轄をどこにするのかでもめることは多い。
日本企業は日本に、海外企業は自国に、管轄を設定しようとして争いになりがちだ。

しかし、本当に日本に管轄をもってくることが有利なのかはよく考える必要がある。

日本と中国会社の取引を例にとって考えてみよう。

日本に管轄を決めた場合には日本で裁判をすることになる。そこで勝訴判決を得たとしよう。
その場合でも中国会社の資産が日本にない場合には、日本の強制執行手続では債権を回収できない。
債権を回収するためには、中国で強制執行手続をとる必要がある。

しかしである。
日本の裁判所の判決は、中国(中華人民共和国)では承認を受けることができないというのが通説だ。
そうなると、日本でとった勝訴判決は中国では使えない。そして,中国で強制執行をするには新たに中国の裁判所で勝訴判決を得る必要があるということになる。
ところが管轄を日本と決めてしまうと中国で裁判をすることはできない。
その結果,法的手続では中国会社から債権回収が不可能という結果になってしまうのだ。

日本に管轄があった方が有利だと単純に考えられないわかりやすい事例である。

そう思うと、被告地主義、つまり訴える側が訴えられる側の国に行って訴訟を提起しなければならないとすることは合理的な選択の一つだ。
相手方会社の所在国に相手方の資産がないことはないし、相手方所在国でとった勝訴判決がその国の強制執行手続きに使えないはずもない。

また、日本の仲裁裁判所を管轄としておけば安心でもある。
仲裁条約によって、日本の仲裁判断はほとんどの国で承認される。

いずれにせよ、承認の可否、資産の所在地、取引の規模、紛争の可能性など諸般の事情を考慮して管轄を決めることが重要だ。


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2017年07月11日

崩壊する「弁護士」ブランド

1991年には約1万4000人だった弁護士数が2016年には約3万7000人へと急増した。
一方で法科大学院の入学者数は2004年度の約7万2000人から2016年度には約8000人まで急減し、定員割れとなる大学院が散見されるようになった。

ライセンス生産で売上を拡大する一方で、ブランド価値の減少に苦しむ高級ブランドを見ているようだ。
バーバリーは三陽商会とのライセンス契約を打ち切り、金沢市の老舗百貨店からも撤退した。
ライセンス契約で売上は増大し知名度も上がったが、「高級」ブランドとしての評価が薄まることを心配したのだろう。

弁護士もその数を急激に増やし過ぎてしまい、ブランド価値は大きく低下してしまった。
それによって法科大学院にも人が集まらなくなっているのだろう。

これは由々しき問題だ。

弁護士のブランド価値が下がる
→いい人が弁護士にならない
→いっそう弁護士のブランド価値が下がる
→いっそう人が集まらない
という負のスパイラルの行く先には司法制度の崩壊。
「法」ではなく「力」が支配する世界だ。

司法制度が信頼を得るためには、弁護士という職業のブランド価値を高めることも大切だろう。


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2017年06月19日

法律は年利6%

明治時代から大きく改正されることがなかった商法が平成7年にようやく改正された。
同改正により、手代や番頭といった用語は支配人に変えられた。
また,商法はカタカナ交じりの文語文が残っている数少ない法律だ。

商人カ其営業ノ範囲内ニ於テ寄託ヲ受ケタルトキハ報酬ヲ受ケサルトキト雖モ善良ナル管理者ノ注意ヲ為スコトヲ要ス

といった,濁点のないカタカナ交じり文が今も現役だ。しかしその点も,近く改められる予定と聞いている。

 明治以来一度も変わっておらず,かなり現実とかい離していると思われるのが商事法定利率の年6%だ。

第五百十四条  商行為によって生じた債務に関しては、法定利率は、年六分とする。

この条文により,特に約束がなかった場合、商売により発生した債権,例えば売買代金や請負代金は年6%も利息がつく。
低金利時代の現代においては極めて高い利率だ。

何年も続く裁判では,利息がものすごく膨らむことも多い。元金が1000万円の場合,4年経てば利息は6%×4年×1000万円≒約250万円にまで膨らむ。
そのため,ゆっくり寝かせて(利息分を膨らませて)請求されると,恐ろしいことになってしまう。

もっとも現在民法改正にあわせて,この利息も世の中の一般的な利率にあわせて変動するものに変えられる予定だ。
理論的にはそれが妥当だろう。

もっとも,弁護士的には計算が面倒になりそうな点が心配だ。


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2017年05月20日

眞子さまのお相手はパラリーガル

秋篠宮眞子さまのご婚約相手の職業が、パラリーガルであるとの報道がなされた。
ワイドショーでリポーターが、「パラリーガルって何ですか?」と質問していた。

説明しよう。
パラリーガルとは、法律事務所において、法律文書の作成補助、法律・規則の調査、裁判所提出書類の調製など弁護士を補助する様々な準法律行為をおこなう法律事務所にかかすことのできない、特別な知識と技術を備えた存在なのだ。

学ぶことは多く、やりがいもあるとても面白い仕事だと思っている。しかし残念ながら認知度は極めて低く、「パラリーガルって何ですか?」というのが多くの人の反応だろう。
眞子さまご婚約報道をきっかけに、多くの人がパラリーガルに興味をもってくれたらとても嬉しいことだ。


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2017年04月09日

人間の勘と経験をコンピュータが超えた日

将棋電王戦、第1局4月1日。ついに、初めて将棋の名人がコンピュータに破れた。
しかも、王手もかけられず、71手という短手数での敗北。勝負にならなかったというべき大敗である。

残念ながら大きなニュースにもならなかった。
二年前に羽生名人対最強コンピュータ!と煽れば盛り上げられたであろう。
しかし、既にコンピュータが人間より強いのは明白。そのことの確認作業に過ぎなかったのかもしれない。

驚くべきはコンピュータが初手38金という、見たこともない手から作戦勝ちを果たしたということである。
計算力がものをいう詰む詰まないという終盤にコンピュータが強くても、大局観や構想力といった数字化できない「勘と経験」が重要な序盤はコンピュータには不向きと思われていた。
しかし、感性すら人間を凌駕しかねない時代が来ているようだ。

もちろんコンピュータは与えられたプログラムにしたがい計算しているだけだ。
実は、「勘と経験」と思われていたものも計算でクリアーできるということだ。

尋問技術、交渉技術、勘と経験が必要と思われてきた弁護士の技術も計算でクリアーできるはず。
そのためのプログラムを作成していきたいものだ。


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2017年01月27日

ピコ太郎は歌えなくなるのか〜PPAPの商標問題

ピコ太郎で有名な「PPAP」を,無関係の会社が商標出願していたとしてニュースになっている。
http://www.asahi.com/articles/ASK1V3GMCK1VUCLV003.html


特許情報プラットフォームで,調べてみると,確かにエイベックスが商標出願する直前などに,商標出願がされているようだ。 

果たして,ピコ太郎は,PPAPを歌えなくなるのであろうか?

「需要者の間に広く認識されている商標」は,商標登録ができない(商標法4条1項10号)。PPAPが広く認識されていることは間違いないであろう。
しかし,PPAPは「商標」として認識されているわけではない。そのため,同項で却下するのは難しそうだ。

しかし,知財高裁平成24年5月31日判決によれば, 商標登録されるには 「現に自己の業務に係る商品又は役務に使用をしている商標 ,あるいは将来自己の業務に係る商品又は役務に使用する」意思が必要であり,第三者に権利を売却する意思しかなければ商標登録できない。本件は,この点で却下される可能性は高そうだ。

また,仮に同項に当らないとしても,これほど有名になった言葉を関係ない人が商標登録するのは公序良俗上,問題だ。
「ポパイ」「がんばれニッポン」「トトロ」
といった「有名な商標」とはいえないが,非常に有名な言葉については,公序良俗違反(商標法4条1項7号)として,商標出願が却下されている。
同じ理由でPPAPの商標出願が却下される可能性も高そうだ。
いずれにせよ,登録は難しそうである。

しかも,登録されたとしても,ピコ太郎が歌えなくなることはあり得ない。
そもそも「PPAP」を歌うことは商標としての利用に当らないし,広く認識されている商標には先使用権があり(商標32条),後で別人に登録されたとしても,利用を続けられるからだ。

調べてみたら,「パン・パイナッポー・アッポー・パン」というパンが高校生に大人気という記事を見つけた。
http://rocketnews24.com/2016/10/21/815570/
法律問題としては,こちらの方が微妙で興味深い。


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2016年11月25日

税務調査対応サービスの開始

l_b06.jpg
http://ksd01.com/zeimu/

当事務所と税理士事務所で協力し税務調査対応サービスを開始しました。

課税庁が不当に多額の納税を求めてきても,納税者の法的知識が乏しいため対応できないということもなくはありません。
そんな場合には,法的知識と訴訟となった場合の見込みを考慮した,ギリギリの交渉が必要となります。

ひとりで悩まず,ぜひご相談下さい。


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2016年10月22日

パロディ商標の限界〜KUMAとPUMA

有名なPUMAの商標
PUMA.png
KUMA事件(知財高裁平成25年4月25日判決)では,下記商標は,PUMAの商標と外観上酷似しており,混同を生ずる恐れがあり,無効であるとされた。


KUMA.png
一方で, SHI-SA事件(知財高裁平成22年7月12日判決)では,下記商標は,PUMAの商標と外観上必ずしも類似するとはいえず,混同を生ずる恐れがあるとはいえないとして,有効であるとされた。


SHISA.png
KUMAとPUMAは「K」と「P」しか違わないが,「SHI−SA」と「PUMA」はスペルがだいぶ違う。また,「SHI−SA」の方には,「OKINAWA ORIGINAL・・・」など小さな文字でいろいろと書かれている。
それを考えれば,KUMAは似ている,SHI−SAは似ていないという判断もあり得ないとはいえない。しかし,かなり微妙な判断である。

 もしかすると,両社の態度が結論を変えさせたのかもしれない。
 KUMAは「本件商標以外にも,欧文字4つのロゴにピューマの代わりに馬や豚を用いた商標や,他の著名商標の基本的な構成を保持しながら変更を加えた商標を多数登録出願し,商品販売について著作権侵害の警告を受けたこともある」として,知財高裁は,「公正な取引秩序を乱し,商道徳に反する」とまで述べている。
 KUMAだけでなく「BUTA」や「UUMA」も使い,以前から注意されていたというわけである。

 一方でSHI−SAについては,「本件商標の跳躍するシルエットの動物図形には,沖縄を象徴するシーサーが沖縄から大きな舞台に跳び出してほしいという原告の願いが込められている」「パロディの趣旨で本件商標を創作した事実を認めるに足りる証拠は存しない」と判示している。
 
 ふざけた態度で作っているKUMAはだめだけど,まじめな態度で作っているSHI−SAはOKと裁判所が判断したというわけだ。
 しかし,それではパロディという行為自体が悪いということになってしまう。諸外国のようにパロディを広く認めるためには立法が必要であろうが,少なくともパロディだから悪いという価値判断はおかしいと思われる。

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2016年09月14日

事業引継ぎ 〜90歳から?40歳から?〜

最近,事業引継ぎに関する案件が増えている。

親族に引継ぐ場合,従業員に引継ぐ場合,第三者に引き継ぐ相手は様々である。
株式譲渡,事業譲渡,合併・会社分割等の組織再編など方法も様々である。
引継ぎといっても,相続の問題,債務の整理,税金の処理など,様々な問題が絡む。
このように,なかなか複雑であるため,「準備は早いに越したことはない。」とよくいわれる。

以前,一代で相当の会社をつくられた90歳の経営者から事業引継ぎの相談を受けた。
息子に事業を引き継ぎたいということであったが,息子は,すでに70歳。
息子と娘婿が会社に入っていたのだが,その息子,娘,さらには嫁いだ娘までもがでてきて,三つ巴の言い争いとなり,手続きは困難を極めた。
90歳にして,しっかりと自分の意見をもち,力強く手続きを進める経営者の態度には感服したが,それでも判断能力は歳相応に衰えており,それがたびたび混乱を招いた。
どうしてもっと早く準備できなかったのか・・・,そんなことを思った。

一方で,ある40歳の経営者から事業引継ぎの相談を受けたこともある。
「自分もいつ何があるかわからないから,今のうちから考えておきたい」ということであった。
息子に事業を引き継ぎたいということであったが,息子は,なんとまだ5歳。
40歳にして,自己が衰えた場合のことを考え,手続きを進めようとする経営者の態度には感服したが,それにしても気が早い。
どうしてそんなに早く準備するのか・・・,そんなことを思った。

遅れれば上手くいかず,早すぎても無駄になる。
とかく,この世は難しい。


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