2017年06月19日

法律は年利6%

明治時代から大きく改正されることがなかった商法が平成7年にようやく改正された。
同改正により、手代や番頭といった用語は支配人に変えられた。
また,商法はカタカナ交じりの文語文が残っている数少ない法律だ。

商人カ其営業ノ範囲内ニ於テ寄託ヲ受ケタルトキハ報酬ヲ受ケサルトキト雖モ善良ナル管理者ノ注意ヲ為スコトヲ要ス

といった,濁点のないカタカナ交じり文が今も現役だ。しかしその点も,近く改められる予定と聞いている。

 明治以来一度も変わっておらず,かなり現実とかい離していると思われるのが商事法定利率の年6%だ。

第五百十四条  商行為によって生じた債務に関しては、法定利率は、年六分とする。

この条文により,特に約束がなかった場合、商売により発生した債権,例えば売買代金や請負代金は年6%も利息がつく。
低金利時代の現代においては極めて高い利率だ。

何年も続く裁判では,利息がものすごく膨らむことも多い。元金が1000万円の場合,4年経てば利息は6%×4年×1000万円≒約250万円にまで膨らむ。
そのため,ゆっくり寝かせて(利息分を膨らませて)請求されると,恐ろしいことになってしまう。

もっとも現在民法改正にあわせて,この利息も世の中の一般的な利率にあわせて変動するものに変えられる予定だ。
理論的にはそれが妥当だろう。

もっとも,弁護士的には計算が面倒になりそうな点が心配だ。


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2017年05月20日

眞子さまのお相手はパラリーガル

秋篠宮眞子さまのご婚約相手の職業が、パラリーガルであるとの報道がなされた。
ワイドショーでリポーターが、「パラリーガルって何ですか?」と質問していた。

説明しよう。
パラリーガルとは、法律事務所において、法律文書の作成補助、法律・規則の調査、裁判所提出書類の調製など弁護士を補助する様々な準法律行為をおこなう法律事務所にかかすことのできない、特別な知識と技術を備えた存在なのだ。

学ぶことは多く、やりがいもあるとても面白い仕事だと思っている。しかし残念ながら認知度は極めて低く、「パラリーガルって何ですか?」というのが多くの人の反応だろう。
眞子さまご婚約報道をきっかけに、多くの人がパラリーガルに興味をもってくれたらとても嬉しいことだ。


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2017年04月09日

人間の勘と経験をコンピュータが超えた日

将棋電王戦、第1局4月1日。ついに、初めて将棋の名人がコンピュータに破れた。
しかも、王手もかけられず、71手という短手数での敗北。勝負にならなかったというべき大敗である。

残念ながら大きなニュースにもならなかった。
二年前に羽生名人対最強コンピュータ!と煽れば盛り上げられたであろう。
しかし、既にコンピュータが人間より強いのは明白。そのことの確認作業に過ぎなかったのかもしれない。

驚くべきはコンピュータが初手38金という、見たこともない手から作戦勝ちを果たしたということである。
計算力がものをいう詰む詰まないという終盤にコンピュータが強くても、大局観や構想力といった数字化できない「勘と経験」が重要な序盤はコンピュータには不向きと思われていた。
しかし、感性すら人間を凌駕しかねない時代が来ているようだ。

もちろんコンピュータは与えられたプログラムにしたがい計算しているだけだ。
実は、「勘と経験」と思われていたものも計算でクリアーできるということだ。

尋問技術、交渉技術、勘と経験が必要と思われてきた弁護士の技術も計算でクリアーできるはず。
そのためのプログラムを作成していきたいものだ。


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posted by 内田清隆 at 22:53| Comment(0) | TrackBack(0) | その他

2017年01月27日

ピコ太郎は歌えなくなるのか〜PPAPの商標問題

ピコ太郎で有名な「PPAP」を,無関係の会社が商標出願していたとしてニュースになっている。
http://www.asahi.com/articles/ASK1V3GMCK1VUCLV003.html


特許情報プラットフォームで,調べてみると,確かにエイベックスが商標出願する直前などに,商標出願がされているようだ。 

果たして,ピコ太郎は,PPAPを歌えなくなるのであろうか?

「需要者の間に広く認識されている商標」は,商標登録ができない(商標法4条1項10号)。PPAPが広く認識されていることは間違いないであろう。
しかし,PPAPは「商標」として認識されているわけではない。そのため,同項で却下するのは難しそうだ。

しかし,知財高裁平成24年5月31日判決によれば, 商標登録されるには 「現に自己の業務に係る商品又は役務に使用をしている商標 ,あるいは将来自己の業務に係る商品又は役務に使用する」意思が必要であり,第三者に権利を売却する意思しかなければ商標登録できない。本件は,この点で却下される可能性は高そうだ。

また,仮に同項に当らないとしても,これほど有名になった言葉を関係ない人が商標登録するのは公序良俗上,問題だ。
「ポパイ」「がんばれニッポン」「トトロ」
といった「有名な商標」とはいえないが,非常に有名な言葉については,公序良俗違反(商標法4条1項7号)として,商標出願が却下されている。
同じ理由でPPAPの商標出願が却下される可能性も高そうだ。
いずれにせよ,登録は難しそうである。

しかも,登録されたとしても,ピコ太郎が歌えなくなることはあり得ない。
そもそも「PPAP」を歌うことは商標としての利用に当らないし,広く認識されている商標には先使用権があり(商標32条),後で別人に登録されたとしても,利用を続けられるからだ。

調べてみたら,「パン・パイナッポー・アッポー・パン」というパンが高校生に大人気という記事を見つけた。
http://rocketnews24.com/2016/10/21/815570/
法律問題としては,こちらの方が微妙で興味深い。


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posted by 内田清隆 at 14:45| Comment(0) | TrackBack(0) | 知的財産法

2016年11月25日

税務調査対応サービスの開始

l_b06.jpg
http://ksd01.com/zeimu/

当事務所と税理士事務所で協力し税務調査対応サービスを開始しました。

課税庁が不当に多額の納税を求めてきても,納税者の法的知識が乏しいため対応できないということもなくはありません。
そんな場合には,法的知識と訴訟となった場合の見込みを考慮した,ギリギリの交渉が必要となります。

ひとりで悩まず,ぜひご相談下さい。


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2016年10月22日

パロディ商標の限界〜KUMAとPUMA

有名なPUMAの商標
PUMA.png
KUMA事件(知財高裁平成25年4月25日判決)では,下記商標は,PUMAの商標と外観上酷似しており,混同を生ずる恐れがあり,無効であるとされた。


KUMA.png
一方で, SHI-SA事件(知財高裁平成22年7月12日判決)では,下記商標は,PUMAの商標と外観上必ずしも類似するとはいえず,混同を生ずる恐れがあるとはいえないとして,有効であるとされた。


SHISA.png
KUMAとPUMAは「K」と「P」しか違わないが,「SHI−SA」と「PUMA」はスペルがだいぶ違う。また,「SHI−SA」の方には,「OKINAWA ORIGINAL・・・」など小さな文字でいろいろと書かれている。
それを考えれば,KUMAは似ている,SHI−SAは似ていないという判断もあり得ないとはいえない。しかし,かなり微妙な判断である。

 もしかすると,両社の態度が結論を変えさせたのかもしれない。
 KUMAは「本件商標以外にも,欧文字4つのロゴにピューマの代わりに馬や豚を用いた商標や,他の著名商標の基本的な構成を保持しながら変更を加えた商標を多数登録出願し,商品販売について著作権侵害の警告を受けたこともある」として,知財高裁は,「公正な取引秩序を乱し,商道徳に反する」とまで述べている。
 KUMAだけでなく「BUTA」や「UUMA」も使い,以前から注意されていたというわけである。

 一方でSHI−SAについては,「本件商標の跳躍するシルエットの動物図形には,沖縄を象徴するシーサーが沖縄から大きな舞台に跳び出してほしいという原告の願いが込められている」「パロディの趣旨で本件商標を創作した事実を認めるに足りる証拠は存しない」と判示している。
 
 ふざけた態度で作っているKUMAはだめだけど,まじめな態度で作っているSHI−SAはOKと裁判所が判断したというわけだ。
 しかし,それではパロディという行為自体が悪いということになってしまう。諸外国のようにパロディを広く認めるためには立法が必要であろうが,少なくともパロディだから悪いという価値判断はおかしいと思われる。

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2016年09月14日

事業引継ぎ 〜90歳から?40歳から?〜

最近,事業引継ぎに関する案件が増えている。

親族に引継ぐ場合,従業員に引継ぐ場合,第三者に引き継ぐ相手は様々である。
株式譲渡,事業譲渡,合併・会社分割等の組織再編など方法も様々である。
引継ぎといっても,相続の問題,債務の整理,税金の処理など,様々な問題が絡む。
このように,なかなか複雑であるため,「準備は早いに越したことはない。」とよくいわれる。

以前,一代で相当の会社をつくられた90歳の経営者から事業引継ぎの相談を受けた。
息子に事業を引き継ぎたいということであったが,息子は,すでに70歳。
息子と娘婿が会社に入っていたのだが,その息子,娘,さらには嫁いだ娘までもがでてきて,三つ巴の言い争いとなり,手続きは困難を極めた。
90歳にして,しっかりと自分の意見をもち,力強く手続きを進める経営者の態度には感服したが,それでも判断能力は歳相応に衰えており,それがたびたび混乱を招いた。
どうしてもっと早く準備できなかったのか・・・,そんなことを思った。

一方で,ある40歳の経営者から事業引継ぎの相談を受けたこともある。
「自分もいつ何があるかわからないから,今のうちから考えておきたい」ということであった。
息子に事業を引き継ぎたいということであったが,息子は,なんとまだ5歳。
40歳にして,自己が衰えた場合のことを考え,手続きを進めようとする経営者の態度には感服したが,それにしても気が早い。
どうしてそんなに早く準備するのか・・・,そんなことを思った。

遅れれば上手くいかず,早すぎても無駄になる。
とかく,この世は難しい。


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2016年08月03日

著作権切れの絵画の写真

著作権が切れている絵画の写真を,誰の許可も得ないでホームページで公開することに問題はないのであろうか。
何度か訴訟でも争われているが,結論からいえば,原則問題がないということになる。

所有権侵害
まず,絵画の所有者に無断で絵画の写真を公開することが,絵画の所有者の所有権の侵害にならないかが問題となる。
この点が争われた有名な裁判が,いわゆる顔真卿事件である。
唐時代の書家である顔真卿の書の写真を,書の所有者に無断で発行した人が,所有者から所有権侵害で訴えられた。
28.8.3 図@.jpg

それに対して 最高裁は,
「博物館や美術館において、著作権が現存しない著作物の原作品の観覧や写真撮影について料金を徴収し、あるいは写真撮影をするのに許可を要するとしているのは、・・・所有権者が・・・原作品を所有していることから生じる反射的効果にすぎない」として,所有者に無断で芸術作品の写真を公開することは所有権の侵害にはならないことを明確にした。

写真の著作権侵害
また,写真の撮影者に無断で絵画の写真を公開することが,写真の撮影者の著作権の侵害にならないかが問題となる。
この点が争われた裁判が版画写真事件である。
ある雑誌に掲載されていた版画の写真を,撮影者の承諾も受けずに別の本に載せたところ,撮影者から著作権侵害で訴えられたという事件である。
28.8.3 図A.gif

裁判所は,「撮影対象が平面的な作品である場合には,正面から撮影する以外に撮影移置を選択する余地がない」「技術的な配慮も,原画をできだけ忠実に再現するためにされるものであって,独自に何かを付け加えるというものではない」として,版画の写真の著作物性を否定して訴えを棄却した。
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/734/013734_hanrei.pdf

「写真の著作物」として著作権で保護されるためには,撮影者の創作性が表現されることが必要であるが,通常の絵画写真は,絵画の複製物であって,撮影者の創作性は表現されていないというわけである。

もっとも前者の所有権の問題については,確定した判例であるといってよいと思うが,後者の著作権の問題については微妙な点もある。
凹凸のある絵画である場合はどうか,光の当て方や露出などに工夫がみられる場合はどうか,どの程度の工夫があれば「創作性」があるといえるのかなど,未解決な問題も多い。
今後も注意して裁判例を見守っていきたい。


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2016年07月21日

英文契約書の分かりづらさ〜その2 謎の繰り返し

 以前,英文契約書にはラテン語由来の非日常的な単語が多数使われるという話をしたが,英文契約書の理解を妨げるもう1つの原因は,同じ意味の言葉の並列という謎の現象である。
each and every      =every それぞれの
act and deed       =act 行為
final and conclusive   =final 最終的な
new and novel      =new 新しい
など,1つでよい単語をなぜか2つ並列させることで,文章を長くし分かりづらくさせている。

 この現象も,フランス語(又はその元のラテン語) の英語への影響によるものであるらしい。
 イングランドにおける公式法律用語は,18世紀まではフランス語であった。
 そのため法律用語をフランス語から英語にしようとした時,フランス語由来の単語を使うか元々の英語由来の単語を採用するかが問題になった。
 そして,最終的に「面倒だ,両方使ってしまえ!」ということになり,同じ意味の言葉の並列という謎の現象が発生したらしい。
参考 http://user.keio.ac.jp/~rhotta/hellog/2013-04-09-1.html

 なんとも,乱暴かつ迷惑な話である。

 しかし,日本語でも同じような事情はあるのかもしれない。
 法律用語で欠陥のことを「瑕疵」というが,「瑕」も「疵」も,もともとは不完全なところを意味する同じ意味の言葉である。
 「損害賠償」も損したこと及び害を受けたことの賠償という意味であるが,「損」と「害」という同じような意味の言葉を羅列したものである。
 「委任」とは「委ねる」ことであり「任せる」ことであり,これもまた同じような意味の言葉を羅列したものに過ぎない。
 
 同じような言葉を繰り返すことは,分かりやすく伝えるためには必要であり,ある程度はやむを得ないことなのであろう。


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2016年06月18日

田村善之先生のご講演

知財業界では知らない人のいない北海道大学教授の田村善之先生を,知財ネット北陸支部でお招きし,昨日は,そのご講演をうかがった。
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著作権法には,保守・修理等のための一時的複製(法47条の4)など,妙に細かい規定がある。
これらの規定がどのような力関係に創出されるのかを具体的にお話しいただいた。

一方に,著作権法改正に大きな利害関係をもつ巨大組織がある。
他方に,小さな利害関係しかもたない,しかし極めて多数の一般人がいる。
前者の巨大組織は,自己に有利な政策実現に向けて,積極的な活動を行う。
後者の多数の一般人は,何らの活動も行わない。
(「校庭でアンパンマンの雪だるまを作ること」が著作権侵害でないことを明確にするために,積極的に運動をする人はいない。)

その関係性により,著作権法では現実と乖離した偏った立法がなされるのだ。
「そんなにお話しされて大丈夫なのだろうか」と思うほど実名を挙げながら,具体的にお話しいただいた。
裁判官や立法府の考え方というものも理解でき,実に興味深かった。


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2016年04月25日

バベルの図書館とインターネット

1941年にラテンアメリカの奇想作家ボルヘスが発表した「バベルの図書館」という奇妙な小説がある。
バベルの図書館には,今までに書かれたすべての本とそれらの本の落丁・乱丁・誤訳版,それらの本の解説書や解説書の偽書にいたるまで,ありとあらゆるすべての本が納められている。そればかりか,これから書かれるすべての本も納めれており,その図書館にない本が出版されることすらない。


インターネットの世界では,一度公開されたものが半永久的に存在し続ける。
誤った情報でもくだらない情報でも,過去に公開された情報は,遠い未来においても検索することが可能だ。

最近,5年以上も前にネット上に書き込まれた名誉を毀損する書込みを削除するという業務を行った。
5年も経過しているにもかかわらず,その書込みは,あちこちのサイトで引用されおり,それらを1つずつ削除するのは大変な業務であった。
検索されてもヒットしない状態にまではなったが,本当に根絶できたかどうかはかなり怪しい。

フランスのある女性はグーグルに対して,過去のヌード写真の消去を請求する裁判を起こして勝訴している。
10代の時に調子に乗ってアップした恥ずかしい写真がいつまでも消えることがない,それがインターネットなのである。

インターネットの世界には,際限のない大量のデータが保存されている。
米国の大手調査会社IDCの推計によれば、2013年の1年間でインターネットに蓄積されたデータは2,000,000,000,000,000,000,000,000バイト(1兆×2兆バイト)。
20世紀終わりまでに人類が蓄積したデータ量の300倍以上である。
http://1000ya.isis.ne.jp/file_path/1601_img001.jpg

際限のない大量の情報が半永久的に保存される。
つまりインターネットはバベルの図書館なのである。


ボルヘスの描くバベルの図書館には出口がない。
バベルの図書館は,真ん中の大きな換気孔を取り囲む六角形の回廊で成り立っている。
その回廊が下にどこまで続くのか,上にどこまで続くのか誰も分らない。
無限階続いているわけだ。
その中で,どこで生まれたかすらわからない司書官が,果てしなく本を調べ続ける。
そして,生涯を終えると中央の換気孔に捨てられる。

ボルヘスの描く奇想の図書館は,既に現実化されつつあるのかもしれない。


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2016年03月04日

英文契約書の分かりづらさ〜謎のラテン語

英語ができても,英文の契約書を理解することは大変である。
その原因の一つは,英文の契約書ではラテン語由来の借用語が使われるためである。
 ●bona fide   =善意の
  例 bona fide third party=善意の第三者  
 ●pro rata   =按分計算で
  例 on a monthly pro-rata basis=月割りで
 ●lex fori    =法廷地法
 ●inter alia   =とりわけ,なかんずく
 ●force majeure =不可抗力
などなど,おそらく普通のアメリカ人も分らないのではないかという単語が多用されることが少なくない。
 
 実は,昨今の日本における外来語のように,英単語の半数以上は,フランス語及びその元であるラテン語からの借用語である。
 11世紀にフランスのノルマンディー公がイングランドを征服して以来,英国人が「フランスの言葉ってカッコいい!」として,どんどんラテン語系の単語を取り入れ続けてきたためである。
 こうして,契約書という威厳が必要な書類に,普段使わないカッコいい外国由来の言葉がどんどん使われるようになってしまった。

 考えてみれば,日本語の契約書でも事情は変わらないかもしれない。
 契約書を「甲と乙とは」で始めるのが通常だが,「甲」「乙」などいまどき契約書以外では目にしない。
 「不可抗力」も「善意の第三者」も「法廷地法」も普通の日本人が日常使う言葉ではない。
 中国の言葉を「カッコいい!」「威厳がある!」と当時の日本人が感じたため,それを借用して作り出した単語が日本語の契約書でも多用されているのである。

 「もっと分かりやすい単語を使うべきだ!」と思うのは私だけでないようで,最近では,英文契約書では,以前よりラテン語由来の単語が使われるケースは少なくなってきた。
 日本語の契約書でもそうあるべきであろう。


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2016年02月09日

覚せい剤密売人の教える「商売のコツ」


 以前覚せい剤の密売人から,「商売のコツ」を聞く機会がありました。

 その密売人のいう「商売のコツ」とは
誠実性 
 適正な利益を受ける。1万円で仕入れたものを2万円で売ったり,量をごまかしたり,混ぜ物をしたりしては信用を失い,最終的には顧客が離れる
心遣い
 注射器をもっていないようであれば注射器をプレゼントし,急に必要と言われれば家まで届けるといった細やかな心遣いが重要である
スピード 
 欲しいと言われれば,できる限り急いで渡すこと。「明日でいいだろ〜」という気持ちが良くない。今欲しいという顧客の気持ちを考えてあげないといけない。
といったことでした。

 「どうやったら警察に捕まらないのか」ということが麻薬密売のコツかと思っていましたが,どんな商売にも通じる真面目なものでした。
 自身も覚せい剤中毒でもある密売人が,そんな真面目に商売をしているとは,なんだか驚きでした。
 どうして,その真面目さを正しい方向に活かせなかったものか…。


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posted by 内田清隆 at 10:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 弁護士雑感

2015年11月26日

石川県事業引継ぎ支援センター主催のM&Aセミナー

この度、当事務所の渡辺数磨弁護士が、平成27年12月3日(木)開催予定の「経営支援セミナー」の講師を務めます。
 主題 : 経営支援セミナー(テーマ:事業承継)
 日時 : 2015年12月3日(木) 13:30 〜 16:50
 場所 : 石川県地場産業振興センター新館2階 第10研修室 (石川県金沢市鞍月2-20)
 http://www.isico.or.jp/dgnet/eventseminar/38098
キャプチャ.PNG

 中小企業の経営者は高齢化の傾向にあり、将来の存続に課題や悩みを抱える企業が多くなっています。
 最近,そのような中小企業における事業引継ぎのためのM&Aが盛んに行われるようになっていますが,様々な法的トラブルも起こっています。
 ご関心のある方は、この機会にぜひご参加ください。
posted by 内田清隆 at 11:33| Comment(0) | TrackBack(0) | その他

2015年11月06日

江戸時代の破産 〜「あさが来た」の山王寺屋

NHK朝の連続テレビ小説「あさが来た」でヒロインの姉が嫁いだ両替商は倒産し,姉は悲劇的な生活に陥った。
そのシーンを見ていて,何やらいやなものを感じた。
借りたものを返すのは人の義理ではあるが,どれだけ頑張っても返せなくなるときもある。そのときのために破産制度がある。破産をすれば,ぜいたくな暮らしはできなくなるとしても,普通の日常生活は送れる。
にもかかわらず, 世間で余りに破産を悲劇的に描くため,破産を恐れて自殺する者がいなくならないのでは・・・などと感じた。

江戸時代においても,破産(当時の言葉でいう「分散」)は,実際のところさほど悲劇的なものではなかった。

明治初頭に作られた全国民事慣例類集の485頁以下に,各地の分散した者の取り扱いが書いてある。
http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/786945

なかには,
「表町に住むことを禁ずる」
「分散人は町村にて賤視し同等の交際をなさざる慣習なり」
「分散人は大に権利の劣る者としてその生涯は人の長たる職には選任さられざる」
「大いに権利の劣る者にて集会の席に発言することあたわず。婚姻することなくあるいは縁組せしものも離縁して交際を絶つ」
「多く他国へ出ることなれども,その町内に住居すれば大に権利の劣る者とし,尋常の交際をなさざることなり」
などという厳しい処遇が書かれているものもある。

しかし多数は,
「挽回の方法を付与する」「身代持直しを取り計らう」
「いったん『松前稼』と称し北海道に渡って身代を持ち直し帰る者あり」
「町村の交際において別段権利の劣るなき習慣なり」
「分散せし者も別段権利の劣ることなき例なり」
「分散せし者も別に権利の劣ることなく自ら謙遜して人の風下に立つ習慣があるのみ」
「町方にては・・別段賤視することなし」
とあり,さすがに大手を振っては歩けないにしても,人並みの生活は送ることができていたようである。
時代や場所で取り扱いが異なっており確実なことは言えないが,江戸時代においては破産者に対する制裁は緩やかであり,厳しくても所払いされるに過ぎなかったというのが通説である。

また,日本においては17世紀から,破産者はもっている資産をできる限り処分し破産をすれば,「免責」,すなわち,それ以上の返済をしないでよくなることが通例であった。
イギリス・アメリカが19世紀になって,フランス・ドイツが1990年代になって免責制度を取り入れたことを考えると,異常に早い。
破産は,破産者に罰を与えるためのものではなく,経済的更正のチャンスを与えるためのものであったわけだ。

つまり,江戸時代より,日本は破産者に寛容な社会だったのである。

「破産をすると選挙権を失うのでしょ?」「破産をしたら,周りの者にそのことが分かり,今の場所に住めなくなるのでしょ?」などと質問を受けることが多い。
しかし,弁護士・会計士など限られた職業につけなくなることを除けば,破産者に対する懲罰は存在していない。
失敗しても,再起を図るチャンスが与えられているのである。


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posted by 内田清隆 at 16:41| Comment(0) | TrackBack(0) | 債権回収・管理