2025年02月25日

犯罪減少社会

令和5年版犯罪白書を信じるのであれば、平成15年頃をピークに、刑法犯の認知件数や検挙件数は、激減している。
犯罪全体.PNG
 
窃盗犯の激減がすごいが、殺人、強盗、放火といった凶悪犯も軒並み減少しており、特殊詐欺など一定の犯罪を除き、ほとんどの犯罪が大きく減少している。
殺人.PNG
強盗.PNG
放火.PNG

20年前からすでに、日本は治安のよい犯罪の少ない社会と言われていた。悪いことばかり大きく報道されるためイメージがわかないかもしれないが、その犯罪の少ない社会からさらに、犯罪は激減しているのである。
いうまでもなく、犯罪が少ない社会とは、安心・安全な素晴らしい社会である。この統計からすれば、日本はさらに素晴らしい未来に向かっているといえるであろう。

刑事事件は、弁護士にとって「儲かる」事件ではないので、刑事事件の減少により法律事務所が経営難に陥ったという話は聞かないが、もし「儲かる」事件であったとしたらそのような話が出てきても不思議じゃない激減ぶりだ。

そういえば、最近、少年非行が減ったため、若い弁護士が少年事件を経験できなくなっていることが、弁護士の教育上問題であるといった意見を弁護士会で聞いたことがある。

そこで調べてみたが、確かに統計上も少年事件は激減している。

少年事件.PNG

こうしてみると、尾崎豊が「15の夜」でデビューした昭和58年頃がピーク。今や、その10分の1程度にまで減っている。つまり、誰も、盗んだバイクで走り出さなくなったわけだ。

そういえば、世の中の高齢化と共に、私が最近担当した刑事事件をみても犯罪者の高齢化を感じる。
原因は他にも色々あるだろうが、子どもたちが悪いことをしなくなり、犯罪をするような人間は年寄りだけになってきたというのが、犯罪減少の一つの理由だろう。

日本がよい方向に向かっている証拠だと思う反面、なんだか社会の活力がなくなっているようにも思え、少しだけノスタルジーも感じてしまう。


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2025年01月12日

法廷ジョーク集

アメリカでは、弁護士ジョークだけでなく、法廷ジョークも人気があります。
確かに、大真面目に行われる法廷だからこそ、笑ってしまうようなやり取りがなされることがあります。ジョークは、実際にあった話を元にしているのかもしれません。

弁護士 : そのとき、何が起こったのですか?
証人  : 彼は私に「顔を見られた以上、お前を殺すしかない」と言いました
弁護士 : それで、彼はあなたを殺したのですか?
証人  : いいえ
・・・確かに、当たり前すぎることを確認のために聞いてしまうことはあります。「令和元年というのは令和1年ということですか?」という無意味な尋問が先日ありました。

弁護士 : あなたの誕生日はいつですか?
証人  : 6月18日です
弁護士 : 何年のですか?
証人  : 毎年です。
・・・よく考えてみると難しい話で、「誕生日」には2つの意味があるんですね。

弁護士 : あなたはこの町で人生のすべてを過ごしたということでいいですか?
証人  : まだです。
・・・1文目は「Have you lived in this town all your life?」、2文目はnot yetなのですが、和訳してしまうとあまり面白くないかもしれません。

最後に上手く訳せないのですが、
弁護士 : 答えは簡単ですから、すぐに答えてくださいね
     あなたはなんという学校に行っていましたか
証人  : 簡単・・・
・・・原文は、”your answer must be oral”と言われた上で、学校名を聞かれて“oral…”と答えるというものですが、少し変えてみました。
 「インドの主食はなんですか」という質問に「はい、そうです」と回答するというのと同じパターンでいかにもあり得なそうな話ですが―

裁判官「それでは、住所を言ってください」
被告人「住所」
裁判官「そうではなくてあなたの住所を言ってください」
被告人「あなたの住所」
といったやりとりは聞いたことがあります・・・

引用元
https://onward.justia.com/april-fools-lawyer-jokes-courtroom-funnies/


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2024年11月26日

アメリカ弁護士ジョーク分析

アメリカでは(イギリスでも)、弁護士に関するジョークLawyer Jokesが非常に人気で、一つの分野を形成している。

「金に汚い」弁護士
ジョークで一番多いのは、弁護士はお金のことばかり考えていて「金に汚い」というものだ。
・・・・・
質問者「あなたの弁護士報酬は3回の相談で10万円だそうですね?」
弁護士「その通りです」
質問者「それはいくらなんでも高いんじゃないですかね。」
弁護士「確かに、そうかもしれません。それでは、最後の質問をどうぞ。」
・・・・・
Q 弁護士とバッファローは何が違う?
A 弁護士の方がよりチャージする(The lawyer charges more.)
※チャージchargeに「体当たりをする」と「費用を請求する」の2つの意味があるのをかけている。
・・・・・
弁護士「裁判官、新しい証拠が発見されたので、高等裁判所に控訴したいです。」
裁判官「どんな新しい証拠が見つかったのですか?」
弁護士「裁判官、依頼者はまだ1000ドル持っていることが発見されました。」
  
「正直でない」弁護士
ジョークで二番目に多いのは「弁護士は正直でない」というものだ、
・・・・・
Q サンタクロースと妖精と正直な弁護士と年取った酔っ払いが歩いているとき、全員が同時に20ドルが落ちているのを発見しました。誰がそれを拾ったでしょう?
A もちろん年取った酔っ払いです。他の3つは、架空の生き物です。
・・・・・
あるお母さんと男の子が墓地を歩いていると、「ここに正直な男、弁護士が眠るhere lies a lawyer and an honest man」と書かれている墓碑がありました。それを見た男の子が言いました。
「お母さん、どうしてこの墓地には二人の人が埋葬されているの?」
※here lies a lawyer and an honest manは、「一人の弁護士と一人の正直な男」とも、「弁護士で正直な男」とも読めるが、弁護士が正直なはずがないから、前者と判断したというジョーク。

「地獄に落ちる」弁護士
金に汚く、正直でない弁護士、地獄に落ちるしかなくなります・・・
・・・・・
あるエンジニアが間違って地獄に落とされました。そのエンジニアは地獄にエレベータをつけて、地獄の池に橋を作り、ジャクジーを作り、地獄は快適になっていきました。
神様「おい悪魔。そのエンジニアはうちに来るはずの人だぞ」
悪魔「いまさらいってもどうしようもない」
神様「おいエンジニアをこちらに戻さないと、お前を裁判にかけるぞ」
悪魔「お前はどうやって弁護士を探すつもりだい?」
※弁護士が天国にいるはずがないから探せないという趣旨のジョーク・・・
・・・・・
弁護士と教皇が天国に行きましたが、弁護士の部屋の方が教皇の部屋より立派でした。
そこで弁護士は聖ペテロに言いました「教皇よりも立派な部屋で驚いたよ」。
聖ペテロは言いました
「ここには教皇はたくさんいますので、もう飽き飽きしていました。でも、弁護士は初めてですから」。


英米の弁護士はどうしてこんなに嫌われているのでしょうか?日本でも弁護士のイメージが悪くなっているということは聞きますが、ここまで嫌われてはいないでしょう。
これだけジョークがあるということは、それだけ弁護士という存在が人々の生活に浸透している証拠なのかもしれませんが、地獄には落ちないように襟を正して行動していきたいものです。


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2024年10月20日

共通テストで「契約書」が出題!?

2025年の大学共通テストから国語に大問が追加され「実用的な文章」が出題範囲となり、企画書、報道文、説明書などとともに「契約書」が出題されるという。
https://www.sokunousokudoku.net/media/?p=9290
そのようなものを専門的に学ぶ「論理国語」という新たな科目もできたらしい。

弁護士として、理解できない契約書に押印し、被害を受ける人を何度も見てきた。そんな被害を減らすためにも契約書の読み方を教えることは重要だと思う。

ただ、大きな問題がある。それは、契約書を読むことは、非常につまらないということだ
依頼者の重要な取引に関わる契約書となれば、弁護士も気合を入れて契約書をチェックする。しかし、誰だかわからない人の、なんだかわからない契約書をチェックするのは苦痛だ。
契約書とは、可能な限り人間性とか感情を排した無機質なもので、それを面白いと思って読める人はごく少数であろう。

そう考えると、契約書の読み方を教えることは重要だと思う反面、教わる方はかわいそう・・・というのが正直な感想だ。

先生は、冷たい論理として教えるのではなく、生きた実例として教えることが、重要になるであろう。

しかし、そもそも、試験における「国語」で重要なことは、感覚的に回答するのではなく、論理的に回答することであるといわれる。
だとすれば、あえて、契約書を持ち出さなくても、契約書読解に必要な「論理国語」は、今までの国語の勉強でも身につけられるのではないのではないだろうか。
我々弁護士も、「論理国語」として契約書の読み方を習ったことはない。

https://www.youtube.com/watch?v=1eC6WK8MRw8

第20回サムネイル➀.JPEG
youtube始めました!
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2024年08月04日

AI VS 人間の現在 〜AI時代の弁護士像

2013年3月、第2回将棋電王戦で、佐藤慎一四段(当時)が、現役のプロ棋士として初めてAIに公式の場で敗れた。その後、憑き物が落ちたかのようにプロ棋士たちが次々とAIに敗れていった。私を含めて、多くの将棋ファンが衝撃を覚えた出来事であった。

その4年後の2017年4月1日,当時名人だった佐藤天彦九段は,人間の名人として初めてAIに敗れた。いいところなく完敗であったが、既に驚きはなかった。将棋において既にAIが人間を超えていたことは明らかになっていたのだ。

ATVS.png
(撮影/川村直子) (c)朝日新聞社

圧倒的に強いAIが人間に勝つ惨殺ショーを好んでみたい人はいない。以降、AIと人間が本気で勝負をするという興行も行われなくなってしまった。


 2019年10月10日,東京カルチャーカルチャー(渋谷)にて開催された「商標調査対決AI VS 弁理士 」イベントで,AIが弁理士に勝った。
AIが弁理士に勝ったのは,ロゴ等の画像商標について,似ている商標がないかを検索する勝負(判定は,ある元審査官による)。「似ていると思うか」という人間的感覚の判断においてAIが人間に勝ったということが衝撃的だった。

 2020年12月8日,浙江大学光華法学院とアリババグループ傘下の研究所主催で行われた契約書レビュー大会において,AI弁護士と人間弁護士の連合チームが優勝と準優勝になり,人間弁護士だけのチームを圧倒した。

 その頃から、人間とAI対決の興行は、それほど話題にもならなくなった。特定の分野では、AIが人間を超えていることは明らかであり、興行としての価値がなくなってしまったのかもしれない。

 ある記事によると、アメリカではすでに、100の大型法律事務所の内41の法律事務所でAIを日常的に利用しており、AIの情報を鵜呑みにして存在しない裁判例を存在するとして書面を裁判所に提出した弁護士らが次々と懲戒処分にあっているそうだ。
参考
https://www.themarshallproject.org/2024/02/10/ai-artificial-intelligence-attorney-court

 2023年11月27日、イリノイ州南部地区連邦地方裁判所は、本物の弁護士(real lawyer)とロボットの弁護士(robot lawyer)の間の事件を取り扱った。
https://fingfx.thomsonreuters.com/gfx/legaldocs/gdpzwlbwjvw/MillerKing%20v.%20DoNotPay%20Decision.pdf
被告は、ネットを通じて「ボタン一つで誰でも企業と戦うことができる」AIを弁護士の代わりとするサービスを提供する会社。
原告であるシカゴの小さな法律事務所は、無資格で弁護士業を提供しているとして被告を訴えたが、結果的には被告の行為により損害が発生した立証がないとして原告敗訴となった。

 人間弁護士とAI弁護士との競争は、既に興行の段階にはなく、リアルな法廷闘争の段階に進んでいたというわけだ。

 今のところ日本では、AIを積極的に業務に取り入れている弁護士は少数派だと思うが、AIがプロ棋士に勝ち始めてから圧倒するまでわずか数年。日本でもAI弁護士が大きな力を持つようになるまで、そう時間はかからないであろう。 


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2024年06月05日

東南アジア進出企業向けセミナー〜金沢から海外へ!

シンガポールでご活躍の栗田哲郎弁護士と北國フィナンシャルホールディングスのコンサルティング会社株式会社CCイノベーション様との共催でハイブリッド形式の東南アジア進出企業向けのセミナーを行います。

キャプチャ.PNG
https://www.ccinnovation.co.jp/seminar/20240729-kaigai/
東南アジア進出をお考えであれば参考になる最新事情をお聞き頂けますので、ふるってご参加ください。


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2024年03月25日

大谷選手は「大規模窃盗」の被害にあっていない

大谷選手の弁護士写真)が、大谷選手が「大規模窃盗」の被害にあっていることを当局に申告したと、報道されている。

この「大規模窃盗」は、「massive theft」を、翻訳したものであるが、「theft」は日本法でいう「窃盗」と同じではなく、誤解を招く翻訳だと思う。

日本法でいう窃盗とは、
@他人の占有する財物を、
A暴行・脅迫の手段によらず、占有者の意思に反して
B自分の占有下にうつす
ことである。

他人ではなく自分の占有する財物を、所有者の意思に反して自分のものにするのは「横領」であり、他人の占有する財物を、暴行・脅迫を用いて自分の占有下に移すのは、「恐喝」や「強盗」である。

法律用語としての「窃盗」は「larceny」だ。
確かに「theft」も「窃盗」の意味で使われることも多い、横領や強盗も含めて不法に他人の財物を取得すること一般の意味で使われることもあり、意味が明確ではない用語だ。
いずれにしても、「theft」を法律用語である「窃盗」と訳すのは適切ではないだろう。

とはいえ、代案も難しい。

大谷選手は「大規模に窃盗などの不当に財物を奪われる犯罪」の被害にあったと訳せば、正確であるが、長すぎる・・・。
大谷選手は「大規模な盗み」の被害にあったと法律用語を使わずに訳した方がベターではあるが、これもなんだかおかしい・・・。

改めて翻訳の難しさを感じた。


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posted by 内田清隆 at 11:15| Comment(0) | TrackBack(0) | その他

2024年03月23日

大谷選手は大丈夫?〜カリフォルニア州法とスポーツ賭博

カリフォルニア州では、スポーツ賭博は違法であり、大谷選手の通訳の水原一平氏は、スポーツ賭博にお金をかけるという違法行為をしたといった内容の報道がなされている。

確かに、カリフォルニア州では、スポーツ賭博を合法化する法案が繰り返し否決されており、同州でスポーツ賭博が違法であることは、一般論としては間違いない。

しかし、同州においてスポーツ賭博自体が違法であるとしても、一般人がスポーツ賭博することが刑罰の対象といえるかは簡単に判断できる問題ではない。

スポーツ賭博に対する刑罰を決めているのは、カリフォルニア州刑法337aである。
https://codes.findlaw.com/ca/penal-code/pen-sect-337a/ 

同条は、
the result, or purported result, of any trial, or purported trial, or contest, or purported contest, of skill, speed or power of endurance of person or animal, or between persons, animals, or mechanical apparatus.(「人や動物あるいは機械装置との間で行われる」「技能や速度や耐久力などの競い合いの結果」に対するギャンブルを規制する。
スポーツは、人間同士で行われる技能の競い合いであるから、スポーツ賭博は同条による規制の対象だ。

しかし、同条は、
(1)賭け元(book maker)になること
(2)ギャンブル場所や道具の保持
(3)賭けられた物の保管
(4)賭けの記録の保管
(5)賭け元に場所や人を提供すること
などを禁止している。
すなわち、同条は、賭けをする一般人を罰するためのものではない。
いわゆる「親」や「胴元」、つまりスポーツ賭博の運営者を罰するのが主目的の法律である。

もっとも、カリフォルニア州刑法337a(a)(6) は、
(every person who) Lays, makes, offers or accepts any bet or bets, or wager or wagersは罰せられると規定し、スポーツの結果について、賭けをすること(lay and make),賭けを申し出ること(offer)、賭けを受け入れること(accept)を刑罰の対象としている。

これを普通に読めば、スポーツに賭けをする一般人(今回の件でいう水原氏)も処罰の対象であり、一般的にもそのように解されているようだ。
しかし、同条文の趣旨からして、同条における「賭けをする」(make bets)とは、賭け元の行為を指し、一般人がスポーツ賭博をすることを指さないという解釈もあるようだ。
https://repository.uclawsf.edu/cgi/viewcontent.cgi?article=1230&context=hastings_business_law_journal  81頁参照

また、少なくとも、カリフォルニア州刑法337a(a)(6)により、スポーツ賭博に興じた一般人が刑事罰を受けるということは、カリフォルニア州では、ほとんどないことであるようだ。
それも踏まえて考えれば、カリフォルニア州でスポーツ賭博ビジネスをすることは明確に違法であるが、一般人がスポーツ賭博することが、すぐさま違法であるとはいい切れない。

ましてや、水原氏の場合がどうであるのか不明であるが、オンラインでスポーツ賭博に興じた場合、すなわち、カリフォルニア州から、他州の賭け元に送金した場合、同送金が違法になるのかが、はっきりしていないことは明確だ。

カリフォルニア州法が適用されるのは、カリフォルニア州内で、賭けをした (make bets)場合であるが、賭け金を他州に送金した場合に、カリフォルニア州で賭けをしたといえるのかどうかははっきりない。はっきりしないのであれば、刑罰法規は適用できないという考えの方が有力のようだ。

以上からして、水原氏が、仮にスポーツ賭博をしたのだとしても、それがスポーツ賭博を禁止するカリフォルニア州法に違反するかどうかは、簡単には判断できない問題だ(なお、一般人である水原氏が違法性を認識していたはずというのは言い過ぎだろう)。
ましてや、大谷選手が違法賭博に関わったとして、カリフォルニア州法に基づき罰せられる可能性はなさそうだ。

もっとも、現時点での報道によれば、カリフォルニア州ではなく、IRS(内国歳入庁)が動いているという話であり、違法賭博とは違う、脱税やマネーロンダリングが問題となっているのかもしれない。

私が受験した当時カリフォルニア州の司法試験では、カリフォルニア州刑法は試験の範囲外だったため、今回、水原氏の問題が気になって、報道により現時点で得られる情報をもとに、急いで調べてみたに過ぎないが、どうやら大谷選手がカリフォルニア州で刑事罰に処される可能性はなさそうである。


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posted by 内田清隆 at 15:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 労働問題

2024年02月27日

有名商品(ブランド商品)を広告に使えるか

フェラーリの自動車をあるいはエルメスのバッグといった有名商品を、広告に使うことは許されるだろうか?
非常に難しい問題だ。

商標法
もちろん、有名商品の登録商標を、商標的に使用すれば、すなわち、商品の出所を表示するために用いれば、当然に商標法違反である。
まずは、商標を写さないように、あるいは写すとしても意匠的効果や装飾的効果だけをもたらすようにして商標的に使用しないことは当然必要である。

パブリシティ権
では、商標的に使用しなければ大丈夫なのであろうか。
物のパブリシティ権侵害http://uchida-houritsu.sblo.jp/article/78754293.htmlについては、最高裁が明確に否定しており、一般論としては、心配する必要はないであろう。
もっとも、過去には認めていた裁判例も多数あり、最高裁がパブリシティ権侵害になるといったような、専ら他社商品の有する顧客吸引力の利用を目的とした場合まで不法行為が成立しないのかは明確ではない。
ただ、他人の商品を利用して、そのような広告を作ることは常識的には考えられないであろう。

意匠権・著作権
意匠権については、類似形状商品の製造・販売等が禁止されるだけであるので、意匠登録されている商品を使用しても意匠権侵害にはならない。

では著作権はどうであろうか。
工業製品については、原則として意匠権で保護されるべきものであるため、著作権が認められないとするのが一般の裁判例ではある。
そう考えれば、著作権侵害も心配することはないことになる。

しかし、工業製品であっても創作性があれば美術の著作物にあたるとする知財高裁の裁判例http://uchida-houritsu.sblo.jp/article/164829131.htmlも存在する。その考えによれば、特別な形をした商品の広告利用は、著作物の複製として著作権侵害にあたることにもなり得る。

そのような場合、いわゆる写り込み(著作権法30条の2)として許容されないかが問題となる。
しかし、写り込みは@著作物の利用により利益を得る目的A分離の困難性B著作物が果たす役割などから正当な範囲内といえる場合にだけ許容されるものである。
広告においては、@有名商品を利用して利益を得る目的は明らかであるうえ、A意図的に有名商品を利用しているのであるから分離は極めて容易であり、写り込みとして許容されづらい。

そうなると、個人的には、著作権侵害という結論はあり得ないと思うが、著作権侵害が成立するかについては、学説・裁判例を注視する必要があり、簡単には判断できないというのが妥当な結論なのかもしれない。

不正競争防止法
不正競争防止法2条1項1号により、広く認識されている他人の商品等表示を使用し、他人の営業との混同を生じさせる行為は、違法となる。
一般論としては、他社の商品を広告に利用しても、営業の混同が生じることはないため、不正競争防止法違反にはならないといえるであろう。
しかし、使用方法によっては、誤解が生じることはあり得るため、注意が必要なことは確かだ。
(他人の著名な商品等表示を「自己の商品等表示として」使用すれば同2号の問題になるが、広告では普通、そんなことはない。)


他にも一般不法行為の成立も検討が必要かもしれない。
知的財産権の問題は得てしてそうだが、多数の法律が問題になる上、明確な回答がない場合が少なくない。
明確な回答がなければ委縮効果をもたらし、表現の自由が侵害されることになる。
積極的に立法で解決していくことが重要であろう。

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posted by 内田清隆 at 15:36| Comment(0) | TrackBack(0) | 知的財産法

2023年11月17日

カリフォルニア州弁護士が教える英文契約書講座

カリフォルニア州弁護士が教える英文契約書講座
というタイトルでYouTubeを始めました。 

willとmayといった助動詞の使い方といった基本中の基本から、


thereinやthereafterといった契約書独特の用語の説明などを、

おもしろおかしくやっています。

「こんな講座、必要としている人いるかな・・・」「誰も見てくれないのでは・・・」という思いもあるのですが、ユーモアを交えながらシンプルに分かりやすくして、軽い気持ちで見ることができるようにという思いでやっておりますので、ご笑覧いただければ幸いです。

軽い気持ちで始めたものの、やってみると意外に手間もかかり、いつまで続くか分かりませんが、しばらくはやっていくつもりです。


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2023年10月21日

とても便利な「法令用語日英標準対訳辞書」

法務省は、法律用語をどのように英語に翻訳するべきかについてのサイトを作成している。
https://www.japaneselawtranslation.go.jp/en/dicts/download
いわば公定訳であり、非常に参考になる。

全単語が網羅された「法令用語日英標準対訳辞書」は無料でダウンロードすることも可能だ。
https://www.japaneselawtranslation.go.jp/en/dicts/download

読んでみると色々と面白いのだが、日本語では難しいが、英語では簡単になる単語がたくさんあることに気付いた。
意匠design 複製物copy 風説rumor 評決vote  労役場workhouse 督促demand 謄本copy 煤煙soot and smoke 聴取hearing 審問hearing 思料するconsider 情を知ってknowingly 支弁payment 減殺reduction 毀棄destruction 勧奨encouragement 永小作権farming right等々、英語だとずいぶん簡単な言葉になる。
特に、囲障fence 準則rules 威力forceなどは日本語では無意味に難しい言葉を使っているなあと感じさせられた。

その他、本文main clause 補正correction 正本original 成年者adult 引渡delivery 廃棄物waste 任命権者appointer 準ずるequivalent 積み立てるreserve 立会いattendance 等々難しい単語ではないものの、英語にしろと言われたらなかなかできないなあと思わせられる単語も多い。
博徒habitual gamblerなど見事な訳だ。

残念ながら素晴らしい試みにもかかわらず、そこまで知られていないようにも思える。
法律用語を翻訳する必要が生じた場合には、まず確認したいサイトだ。


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posted by 内田清隆 at 17:23| Comment(0) | TrackBack(0) | 弁護士雑感

2023年09月07日

メタバースのアバターはバーチャルコートの夢を見るか?〜宇宙際弁護士の誕生

宇宙際弁護士.jpg

https://www.youtube.com/@HoushouMarine/aboutより

宝鐘マリン氏(画像)は、「宝石、宝、お金が大好きで、海賊になって宝を探すのが夢で、 海賊船を買うのが目標で今は陸でVTuberをしている」そうである。
※VTuber=「2D又は3Dのキャラクターを使って活動しているYouTuber」(大阪地裁H4.3.31)

同マリン氏に対する
「仕方ねぇよバカ女なんだから 母親がいないせいで精神が未熟なんだろ」
という発言が名誉感情(人格的利益)を害する違法行為になるかについて訴訟で争われた。

平成4年3月31日、大阪地裁は、同発言は表面的にはマリン氏に向けられたものであったとしても、「アバターの表象をいわば衣装のようにまとって」活動する中の人の名誉感情を侵害する違法行為であるとの判決を下した(判タ1501号202頁)。

これは、「VTuberにとっては、アバターは『服』のようなものであり、アバターというファッションを全身に纏っているという感覚に近」く、アバターが「中の人」の実際の顔を全く反映していなくても、彼女・彼の「肖像」と認めることに障害はない・・・とする原田伸一朗氏の論文を意識したものと理解されている。
※知的財産戦略本部
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/kanmin_renkei/dai2bunkakai/dai1/siryou5.pdf
※「サイバネティック・アバターの法律問題」
https://www.icr.co.jp/newsletter/wtr411-20230629-keiomatsuo.html

確かに、生身の人間の名誉感情を現実世界で侵害する行為であれば、現行法上違法行為になることに特に異論はないであろう。
しかし、VTuberには、キャラクターこそがVTuberの本体であって、「人間」がその背後にいてキャラクターを操作しているわけではない(「中の人」はいない)という設定を遵守する「キャラクター型VTuber」も存在する。
そのようなVTuberのアバターであっても保護が必要だと考えれば、「中の人」の人格権侵害ではなく、アバター固有の人格権を考えるべきであろう。

もっとも、そのようなアバター固有の人格権は、現実の宇宙空間=uni-verseで保護されるべきものではなく、超越宇宙空間=meta-verseで保護されるべきものであり、アバター固有人格権侵害はメタバース裁判所(バーチャルコート)で救済が図られるべきなのかもしれない。
旧来型の現実の宇宙空間における裁判所は、物理的現実としての生身の人間の人格権だけを保護し、アバター固有人格権は超越宇宙空間のバーチャルコートで保護するという役割分担だ。

日本の弁護士は、日本法だけでなくもっと英米法や中国法など外国の法律を勉強し国際弁護士を目指さなければいけないと言われることがあった。
しかし、これからは、現実の宇宙空間の法律だけではなく超越宇宙空間の法律にも熟達した宇宙際弁護士inter-universal lawyerを目指さなければいけなくなるだろう。

宇宙際弁護士2.jpg https://optimizemyfirm.com/personal-injury-metaverse/

宇宙際弁護士3.jpghttps://youtu.be/PxWBmngmJtQ

※既に多くの法律事務所がmetaverseに支店を有しているが、現在のところ扱っているのは現実空間の法律だ。

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posted by 内田清隆 at 13:36| Comment(0) | TrackBack(0) | IT法

2023年07月27日

謎の法律業界用語集4

以下の記事の続き
謎の法律業界用語集1
http://uchida-houritsu.sblo.jp/article/39406502.html
謎の法律業界用語集2
http://uchida-houritsu.sblo.jp/article/39416916.html
謎の法律業界用語集3
http://uchida-houritsu.sblo.jp/article/54066903.html

書証
 「証拠となるべき文書」の意味で普通使われる。文書の証拠→文書証拠→書証と略されるに至ったらしい(文書を証拠資料とするための証拠調べ手続というのが本来の意味らしいが、あまりその意味では使われない)。
 とにかく、噛みやすくて発音しづらい用語で、話す前に若干緊張してしまう。「骨粗しょう症訴訟、書証の証書で勝訴」という早口言葉を普段から練習して、いざというきに噛まないように備えたい。

赤い本
 赤本といえば、一般には毎年発行される大学入試の過去問題集のことを指すことが多いが、法律業界では毎年発行される「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準」を指す。交通事故訴訟で損害額を算定する際には必ず必要となる本だ。
 表紙に「赤い本」と書かれており、「赤本」でなく「赤い本」が公式だが、どちらの名称もよく使われる。
 ちなみに「青本」も必携。私は集めていないが「緑本」「黄色本」もあるらしい。揃えると戦隊ものになりそうだ。

期(き)
 法曹界における業界経験年数をはかる物差し、それが「期」である。
 法曹になるためには、司法研修所を卒業する必要があるが、昭和22年に司法研修所に入所した「1期」以下、すべての法曹には「期」がつけられている。平成13年に司法研修所を出た私は「54期」、令和5年には「76期」が生まれる。
 「自分の方が期が上」「あの人の期って知ってる?」「期にこだわらない」といったように用いる。
 「キ」と聞いて「木」でも「気」でもなく、「期」が出てくるようであれば法曹関係者と考えてよいだろう。

懈怠  
 義務を怠ることを意味する言葉。業界では、「けたい」と読む。
 「任務懈怠」=任務を怠ること、「通知の懈怠」=通知をし忘れること、「懈怠約款」=支払を怠った場合に適用となる約束、といった用語で用いられる。
 昔、「かいたい」と読んだら、「『けたい』と読むんですよ。これくらいは、常識ですよ!」と笑われたことがあるのだが、改めて辞書を引くと「かいたい」という読み方もあるらしい・・・。

期日
 裁判所で開催される当事者が出頭して行われる手続の日を、業界では、まとめて「期日」と呼ぶ。
 弁護士が「その日は期日がありまして…」と言えば、裁判所に行く予定があるという意味であるし、裁判官が「次回の期日までに・・・」と言えば、次回裁判所に集まる日までにという意味である。
 非常によく使われるため、もはや業界用語だと分かっていない人も多い。
 
ブル弁
 ブルジョワ弁護士の略。歴史を感じさせる用語だ。大きな会社の企業案件を担当し高収入を得ている弁護士を指し、軽蔑的に用いることもあるが、羨望や親しみを込めて用いることもある。
 初めて聞いた時、ブルっている、ブルブル震える情けない弁護士の事なのかと思ってしまった。

スタッフ
 法テラスに常時勤務する「スタッフ弁護士」のことをいう。語源は謎である。原則としてお金のない人のための扶助事件や国選事件だけを扱い,その代わりに法テラスから給料をもらう、一種の公務員弁護士である。
 昔は「スタッフ弁護士」と呼んでいたと記憶しているが、最近では「スタッフ」と短縮されることも多い。狩野英孝の「スタッフゥー」の影響でホストを想像してしまうので、正式名称で呼ぶべきであろう。


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posted by 内田清隆 at 15:42| Comment(0) | TrackBack(0) | その他

2023年04月01日

4月1日 民法改正!〜柿もタケノコと平等に

2023年4月1日、重大な改正民法が施行された。
ついに、隣の家の樹木の枝が境界線を越えて出ている場合に、その境界線を越えた枝を、切除することが一定の条件で許されるようになったのである。

今までも、隣地の所有者に「切除させる」権利はあったが、侵害を受けている側が「切除する」権利はなかった。
そのため、隣地の所有者が切除に応じない場合には、多額の費用をかけて裁判をしなければ切除させることができなかったのである。
隣地から勝手に境界線を出てきた枝を切除するために、自らが費用を負担して弁護士を頼んで、裁判所に出頭し・・・。「割が合わない!」として泣き寝入りする人も多かったはずである。

実は、今までも、境界線を越えて出てきた「枝」は切除できないが、境界線を超えてきた「根」は切除できるという謎のルールがあった。
そのため、隣地の竹から伸びてきたタケノコは勝手に取ってしまっていいが、隣地の柿の木から伸びてきた枝になった柿は勝手に取ってはいけなという、豆法律知識がよく本などで紹介されていた。
しかし、本改正により、長年望まれてきたタケノコと柿の間の平等がようやく実現するというわけだ。ダウンロード.jpg

とはいえ、喜んでばかりもいられない。
明治二十九年に「隣地ノ竹木ノ根カ疆界線ヲ踰ユルトキハ之ヲ截取スルコトヲ得」と定められて以降、私が子供のころから不合理と言われ続けてきたにもかからず、改正されるまで、何十年もかかったのである。

実際のところタケノコや柿が問題になることはそう多くはない。現状として圧倒的に多い問題は、不法駐車の問題である。自分の土地に他人の自動車が不法に駐車されている場合、法律的にはこれを勝手に動かすことが原則としてできず、裁判をしないといけない。
しかし、明らかに廃棄された自動車を動かすために、弁護士を頼んで、裁判所に出頭し・・・、「割が合わない!」として泣き寝入りする人も多い。
タケノコや柿の問題より、こちらの問題の方が重要であるが、新たな法律ができるのはいつの日になることやら・・・。


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posted by 内田清隆 at 15:22| Comment(0) | TrackBack(0) | 諸法

2022年11月29日

財産開示の効用と限界2

「財産開示」制度を利用すれば、差押えることができる財産の所在が分からなくても、相手方を裁判所に呼び出し、財産の所在を聞き出すことができる。しかし罰則が軽すぎて何の意味もない・・・と10年ほど前に、このブログhttp://uchida-houritsu.sblo.jp/article/79947907.htmlに書いたことがある。

ブログを書いた7年後の令和2年に改正民事執行法が施行され、同法により、正当な理由なく裁判所出頭しなかったり裁判所で虚偽の陳述をした場合には、6か月以下の懲役又は50万円以下の罰金という、それなりに重い罰を科すことが可能になった。

まだ正式な統計データは多くは発表されていないが、以降、財産開示の申立ては急速に増えており、警察でも相当数の件数の告訴を受理しているそうである。

しかしながら、正直いって、現在も実効性には相当の疑問がある。
それを知ってか、財産開示期日に出頭しない人は半数近くに及んでおり、申立件数の増加に合わせて、期日に出頭しない人の割合も増えているらしい。

一つの問題点は、「正当な理由」を捜査機関が甘く判断するなどして、熱心に起訴していないことだ。
例えば、裁判所からの付郵便送達(手渡しではなく郵便での連絡)の場合、裁判所からの通知を見てないといった言い訳を真に受け、不出頭に正当な理由がないとはいえないとして起訴をしないことが日常化している。
日弁連のアンケート結果https://www.nichibenren.or.jp/library/pdf/activity/civil/reiwa_questionnair_bunseki_kekka.pdf
にも問題点として指摘されているが、全国的にある問題のようだ。

ニュースhttps://www.yomiuri.co.jp/national/20220817-OYT1T50067/によると、財産開示手続の無視について刑事告発をしても起訴がなされず、検察審査委員会が起訴相当の議決をした例まであるらしい。この例からも、捜査機関の不熱心さがうかがえる。

裁判所から支払を命じられても支払わらず、裁判所から出頭を命じられても無視する人の言い訳を、なぜ捜査機関が真に受けるのかと思う。
しかし、そもそも「正当な理由」がない場合に刑事処分を科すというやり方ではなく、出頭しない場合には警察が裁判所に引っ張ってくる制度にするなど法自体を改正する必要があると思う。

「逃げ得」は許さない社会にしなければ、日本人の良心は損なわれてしまうであろう。
早めの改正を期待したいものである。


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posted by 内田清隆 at 21:03| Comment(0) | TrackBack(0) | 債権回収・管理